王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

文字の大きさ
114 / 201
密着! 夏休み旅行!

38

しおりを挟む
小学校から十分ほど歩いた先にある、公民館裏の公園。遊具が豊富にあり片面グラウンドになっているそこでは子供達が楽しそうに遊んでいた。

「おーい、ガキども~」
「あ!! 宗介きた宗介!!」
「宗介だーー何でここいるの!!」
「知らねーのお前ら、昨日から宗介こっち泊まってるんだぜー!!」

わらわらと集まるガキンチョたち。全員敬称くらいつけろ、何で呼び捨てなんだ。
無邪気な子供の一人が手錠を引っ張っては真道を困らせている。おお、愉快愉快。
みつるはその盛り上がりが怖かったのか、俺の後ろにそっと隠れた。うーん血縁……。

「宗介、また異種ドッチボールやる!? ボコボコにするぜ!!」
「それボール五個使うクソバカゲームだろ。もうやらん」
「あ、負けるのが怖いんだー」
「何だと! あとでボコボコにしてやるからなガキども!」

きゃあーーっと幼く高い声をあげて子供たちが笑う。大人が思っているより今どきの子供はませていて生意気だ。小学生というものは人の想定より大人っぽい。

「あ、みつるもいんじゃん! みつるも遊ぶ?」
「え、あ、うう、僕」
「やめなよ男子~、みつるくん戸惑ってるじゃん!」
「みつるくんはあんたらみたいなレベルの低い遊びしないの! あっちで本よもっ」
「あ、ずるいわたしも!」

うーん、やはり子供でも女の子は女の子だな。肉食である。みつるは海で生まれ育った子供のように焼けておらず色白で賢いからか、女子からは王子様のように扱われているらしい。

「俺達が子供の頃は足の早いものが一等格好良かったのだがな……」
「真道みたいな家でもそれはあるんだ。時代は変わるよねえ~」

とはいえ今日はみんなで遊びにきたのだ。時代の変遷をしみじみと感じている場合ではない。

俺は手錠とは反対側にかけた学生鞄──中学時代のものである──をどさり、と地面に置いた。

「そんなガキどもに、俺が新しい遊びを教えてやるぞ!! ほら女子もおいで~」
「お、おじちゃん……!?」
「なにー!? 新作ゲーム!?」
「俺最近出たやつがいいー!」
「新しい遊びっつってるだろお前らの知ってるゲーム機なんか出す訳ねぇ」

この都会かぶれのキッズ達め。娯楽が豊富な現代だからこそ飢えてやがる。
しかし、俺がカバンから取り出したのはカセットでもゲーム機でもない──カードである。

「何それ、アメーボカード?」
「俺知ってるー! Do森で読み込んだら住民来るやつだろそれ!!」
「ゲームのことしか頭にないのかガキはよ~全然違う。来いッ俺が真の“遊び”を教えてやる!」

カードをしまってカバンを担ぎ、座って机もある休憩所に押しかける。真道が仕方なさそうについてくるのを皮切りに子供達もワァワァと楽しそうに駆け寄ってきていた。
その中にみつるがいるのを確認し、俺は着席する。

「なーなー宗介、ひろにぃはー?」
「ひろ兄ィ来てないの?」
「つまんなーい」
「お前らは俺より水瀬の方が好きかよ! いっつも遊んでやってるの俺の方じゃん!」
「だって宗介大人げないし」

なっ、なんだと!!

「ね、おとなげなーい」
「宗介ってゲームしてたら細かいコンボでハメてくる上に最後パフォ煽りしてこっち体力少ないのに笑いながら必殺打ってくるから嫌い」

真道のドン引きした顔よ。いや、戦うからには当然全力で戦うに決まってるだろ煽り含め。でもその辺が人気を分けているのかもしれない。水瀬は勝つけど煽らないし。

「一人に一つは迷惑をかけているんじゃないか?」
「俺も子供だったってこと」
「今の話は現在進行形だろうが」

ちなみに俺は一回水瀬を煽り倒して口論になり泣かされたことがある。
水瀬曰く『ここに来たらお前のクソガキエピソードが嘘かと思うくらい湧いて出てくる』だそうだ。

そんなこんなでフィールドの設置が終わった。邪魔せずにぎゅむぎゅむと集まってその様子を見ていた子供達が、これ何~と口々に聞いてくる。

「これはペケモンカード。ペケモンはお前ら知ってるだろー」
「知ってる! あんなあんな、俺こないだ伝説のペケモン捕まえたんだぜ~!!」
「昨日出たペケモン今日クリアした」
「108-130-95-80-85-102」
「新ペケがすげー可愛い!!」
「わたしドラゴンタイプすきー! かっこいい!」

今ヤバいやつ二人くらい紛れたな。こいつらは将来ペケモン廃になるだろう。多分対戦とかする。特に種族値を真顔で呟いたやつ。

ペケモンとは、老若男女大人気な大手ゲームである。三十年近く前にゲームボーイで発売されて以降世界的な人気を博しており、ペケモンの見た目や戦闘システムにおいて高く評価されている……と思う。

もちろんシナリオもいいけど、ペケモンは個人的にあの冒険が始まるワクワク感が魅力的だ。

そんなペケモンはアニメやぬいぐるみなど様々なメディアミックス作品を出しており、その中でも今回紹介するのはカードゲームである。

「これは初心者用デッキ。みつる、ちょっとこっちおいで」
「え、う、うん……」
「いいなーみつる!」
「お前らはあとで遊んでやるから」

みつるを対面に座らせ、初心者用に組んであるデッキを渡す。いつか一緒にやる人ができるのではないかと夢にながら組んだデッキである。使いやすさはピカイチ。ちなみに遊んでくれたのは水瀬だけである。

「今からルールと遊び方を教えてやるよ。ちょっと難しいけど、理解できるかな?」

子供達の視線がこちらに集中した。少し煽ればやる気を出すのだから、子供とはなんとも可愛いものである。少なくとも俺よりは捻くれていない。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために

ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話 ※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。

処理中です...