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密着! 夏休み旅行!
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宿に帰ると、先に帰っていたらしい獅童くん達が浴衣姿で手を振っていた。もうすっかり夜になっていて、どうやら先にご飯を食べるらしい。
「おかえりんさいセンパイと~…………風紀の先輩!」
「真道で良い。俺達が最後だったのか?」
武藤様にあんなに反抗的な獅童くんだが、最近は狂犬っぷりも落ち着いてきており、目上の相手には敬意を表すようになっていた。二度いうが武藤様にはどう足掻いてもダメだった。
本人曰く『俺様というキャラクター性が現代において受け付けない、初対面相手に高圧的なのも余裕のなさが窺える』だそうだ。めちゃくちゃ的確に批判するのをやめないか。そもそも武藤様くらいだろ今どき俺様やって良い家柄と顔面と成績は。
「おん。祐司とかイブキとかももう帰ってきとりますよ」
「ゆうじ……? ああ市ヶ谷くんか」
「あっ酷いな先輩」
ごめんて。そういえばそんな名前だった。
爽やか風ドSイケメンの市ヶ谷祐司くん、一匹狼系男前ツッコミ役の東郷政広くん。獅童くんはいつも下の名前で呼ぶのだが、二人と絡む時大抵苗字で呼んでるので忘れてしまう。
「ふくかいちょ~も帰ってきてたんだ、おつかれさま~」
「…………はぁ、はやく食べてしまいましょう」
「んん??」
元気がないな。何かあったのだろうか。
ともかく遅れてしまったのは申し訳ないので、食堂に入る。もうすでに何人か人が居るらしい。修学旅行の時もそうだったが、大抵この旅館って窓際に席が──
「なぁ~良いだろ姉ちゃん、ちょっとお酌してくれよ~」
「こ、困ります……!」
おワッッッデジャヴ。
給仕をしていたらしいユキちゃんが、めちゃくちゃ見覚えのある制服の男に絡まれていた。着物で締め付けられた腰を抱きスキンシップを強制させる。最悪である。
昼間見た男どもとは別だが、昼間のように自分でやり返せる姉ちゃんとは違ってユキちゃんはこの店の看板を背負っている若女将だ。やり返せるからとやって良いわけではないが。
「なっ、ありゃ昼間の嬢ちゃんか! あの子には世話掛けたしのう、早よ助けに──」
「おい、やめろお前ら!! 嫌がってんだろ、離してやれ!!」
一喝。
イブキの声すら消し飛ばすような、気合の入った声であった。それが千桐高校のスペース、窓際の方から聞こえてくる。
周囲は喝によって一気に呑まれる。誰もが口を閉じて、その続きを待った。
「で、でもよヨッちゃん……こんな美人さん、どこでまた出会えるか……」
「それが出会いを求める男の態度かよ? 俺ァ今日学んだんだ、男の中の男ってモンをな……」
ヨッちゃん!!!!
お前ちょい役じゃなかったのかよ!!
昼間から何があったのか、越屋は品のない着崩しをやめ、千桐高校の灰色の学ランをきっちりと上まで止めていた。時代錯誤な短ランとボンタンは明日くらいにやめてそうだな。
というかその服装イブキにめちゃくちゃ似合いそうなんだよなぁ。まぁこいつ最近ちゃんと制服着てるしブレザーだし夏服なんだけど。
いやコイツら夏服ないんか? 何で学ランなんだよ。
「ヨッちゃん、何があったんだよそんなに変わっちまうなんて……」
「聞くな。あの美しく恐ろしい体験は俺ン中だけで思い出にし──」
「あ、た、田中くんっ!」
「ワーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ」
「ヨッちゃーーーん!?!?」
駆け寄ってきたユキちゃんを背に隠すと釣られてこちらを見たヨッちゃんが崩れ落ちる。なんかごめんな。というか美化早くないか? 俺たち会ってまだ一日も経ってないよな?
「また知り合いかお前は」
「まだですか田中宗介くん。懲りないですねぇ」
「ふくかいちょ~はともかくいいんちょ~にまで言われる筋合いないんだけど~!?」
「……?? あっ、昼の!!」
コイツ忘れてやがったな。あんなに俺のこと怒っておいて忘れるなんてことある? カードゲームに脳を浸しすぎだろ。
獅童くんに至っては何やまた知り合い作ったんかいなくらいのリアクションですでに席に着いている。俺の知り合いは君より少ないはずなのに遭遇率は高いね。世界って変なところで狭いね。
「ヨッちゃん、どうし、九鬼イブキ!?!?!?」
「おん?」
「知り合い?」
「知らんにゃあ。おおかたほげてわしにボコボコにされた相手なんやないか?」
九鬼イブキだ、九鬼イブキ……とざわめきが起こり、モーセの如く息吹の周囲が割れた。ついでに俺と真道の周りも割れた。
このままイブキのせいでヨッちゃんも驚いたことになんないかな。
「じ、地獄突きの弟!! あんた、九鬼イブキの舎弟だったんか!? 道理で……」
「ほぉ、何じゃ喧嘩してきちょったのか。わしも呼べば良かったんに」
「まぁ色々あってね、喧嘩ってほどの騒ぎでもなかったんだけど~」
東郷くんが遠くで聞きたがっているのを市ヶ谷くんが押さえていた。俺も早くご飯食べたいな……。
それより早く騒ぎを収めてほしい。イブキにチラリと目配せすると、心得たとばかりに頷かれる。
影響力のあるイブキの声であれば無視はできないだろう。イブキから静かにするよう注意してもらって──
「静かにせんかチンピラども! こちらにおられるがはわしの大将、田中宗介ぞ!!」
そういうことじゃねぇ。
周囲は静まり返った、越屋は気絶した、飯は美味かった。
「おかえりんさいセンパイと~…………風紀の先輩!」
「真道で良い。俺達が最後だったのか?」
武藤様にあんなに反抗的な獅童くんだが、最近は狂犬っぷりも落ち着いてきており、目上の相手には敬意を表すようになっていた。二度いうが武藤様にはどう足掻いてもダメだった。
本人曰く『俺様というキャラクター性が現代において受け付けない、初対面相手に高圧的なのも余裕のなさが窺える』だそうだ。めちゃくちゃ的確に批判するのをやめないか。そもそも武藤様くらいだろ今どき俺様やって良い家柄と顔面と成績は。
「おん。祐司とかイブキとかももう帰ってきとりますよ」
「ゆうじ……? ああ市ヶ谷くんか」
「あっ酷いな先輩」
ごめんて。そういえばそんな名前だった。
爽やか風ドSイケメンの市ヶ谷祐司くん、一匹狼系男前ツッコミ役の東郷政広くん。獅童くんはいつも下の名前で呼ぶのだが、二人と絡む時大抵苗字で呼んでるので忘れてしまう。
「ふくかいちょ~も帰ってきてたんだ、おつかれさま~」
「…………はぁ、はやく食べてしまいましょう」
「んん??」
元気がないな。何かあったのだろうか。
ともかく遅れてしまったのは申し訳ないので、食堂に入る。もうすでに何人か人が居るらしい。修学旅行の時もそうだったが、大抵この旅館って窓際に席が──
「なぁ~良いだろ姉ちゃん、ちょっとお酌してくれよ~」
「こ、困ります……!」
おワッッッデジャヴ。
給仕をしていたらしいユキちゃんが、めちゃくちゃ見覚えのある制服の男に絡まれていた。着物で締め付けられた腰を抱きスキンシップを強制させる。最悪である。
昼間見た男どもとは別だが、昼間のように自分でやり返せる姉ちゃんとは違ってユキちゃんはこの店の看板を背負っている若女将だ。やり返せるからとやって良いわけではないが。
「なっ、ありゃ昼間の嬢ちゃんか! あの子には世話掛けたしのう、早よ助けに──」
「おい、やめろお前ら!! 嫌がってんだろ、離してやれ!!」
一喝。
イブキの声すら消し飛ばすような、気合の入った声であった。それが千桐高校のスペース、窓際の方から聞こえてくる。
周囲は喝によって一気に呑まれる。誰もが口を閉じて、その続きを待った。
「で、でもよヨッちゃん……こんな美人さん、どこでまた出会えるか……」
「それが出会いを求める男の態度かよ? 俺ァ今日学んだんだ、男の中の男ってモンをな……」
ヨッちゃん!!!!
お前ちょい役じゃなかったのかよ!!
昼間から何があったのか、越屋は品のない着崩しをやめ、千桐高校の灰色の学ランをきっちりと上まで止めていた。時代錯誤な短ランとボンタンは明日くらいにやめてそうだな。
というかその服装イブキにめちゃくちゃ似合いそうなんだよなぁ。まぁこいつ最近ちゃんと制服着てるしブレザーだし夏服なんだけど。
いやコイツら夏服ないんか? 何で学ランなんだよ。
「ヨッちゃん、何があったんだよそんなに変わっちまうなんて……」
「聞くな。あの美しく恐ろしい体験は俺ン中だけで思い出にし──」
「あ、た、田中くんっ!」
「ワーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ」
「ヨッちゃーーーん!?!?」
駆け寄ってきたユキちゃんを背に隠すと釣られてこちらを見たヨッちゃんが崩れ落ちる。なんかごめんな。というか美化早くないか? 俺たち会ってまだ一日も経ってないよな?
「また知り合いかお前は」
「まだですか田中宗介くん。懲りないですねぇ」
「ふくかいちょ~はともかくいいんちょ~にまで言われる筋合いないんだけど~!?」
「……?? あっ、昼の!!」
コイツ忘れてやがったな。あんなに俺のこと怒っておいて忘れるなんてことある? カードゲームに脳を浸しすぎだろ。
獅童くんに至っては何やまた知り合い作ったんかいなくらいのリアクションですでに席に着いている。俺の知り合いは君より少ないはずなのに遭遇率は高いね。世界って変なところで狭いね。
「ヨッちゃん、どうし、九鬼イブキ!?!?!?」
「おん?」
「知り合い?」
「知らんにゃあ。おおかたほげてわしにボコボコにされた相手なんやないか?」
九鬼イブキだ、九鬼イブキ……とざわめきが起こり、モーセの如く息吹の周囲が割れた。ついでに俺と真道の周りも割れた。
このままイブキのせいでヨッちゃんも驚いたことになんないかな。
「じ、地獄突きの弟!! あんた、九鬼イブキの舎弟だったんか!? 道理で……」
「ほぉ、何じゃ喧嘩してきちょったのか。わしも呼べば良かったんに」
「まぁ色々あってね、喧嘩ってほどの騒ぎでもなかったんだけど~」
東郷くんが遠くで聞きたがっているのを市ヶ谷くんが押さえていた。俺も早くご飯食べたいな……。
それより早く騒ぎを収めてほしい。イブキにチラリと目配せすると、心得たとばかりに頷かれる。
影響力のあるイブキの声であれば無視はできないだろう。イブキから静かにするよう注意してもらって──
「静かにせんかチンピラども! こちらにおられるがはわしの大将、田中宗介ぞ!!」
そういうことじゃねぇ。
周囲は静まり返った、越屋は気絶した、飯は美味かった。
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