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監禁! 最後の文化祭
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武藤様は学校で何やら生徒会の雑務をこなしているらしく、朝八時に出て午後四時くらいに帰ってくる。ダラダラやっているだけだと本人は話すが、普段これを学業と両立してやっているのだ。頭が下がる。
今もちょうど帰ってきていたらしく、台所でエプロンをつけている。多分カバンにも彼の手元にももう鍵はない。武藤様がいる時は部屋にある金庫に入っている。
「そうそう、今日は武藤様がなんで監禁してくるんだろうなーって考えてたよ」
「そんで寝てたんか。夜変な時間に起きんだからやめろっつったろ」
「やる事ないし。俺分かったんだけど、やらなければならないことがないとメリハリがつかない」
朝起きて畑に行くというのは偉大な習慣になっていたんだな、と思う。軽やかな包丁の音に混じって武藤様が重苦しく黙るのでめちゃくちゃ慌てた。
「え!? なんでそんな落ち込んでんの武藤様どした!」
「ウルセェ……」
「落ち込むくらいなら最初っから監禁せんでよ~!」
「分かってんなら聞くんじゃねぇ!」
めんどくせぇ人だ~~! メンブレしやすいコミュ障人間に言われたくはないだろうが、武藤様は大概メンタルが弱い。勝手に落ち込む割に逃そうとはしないので意志は強い。
意志の強さとメンタルの弱さがマリアージュされ、面倒臭さが倍増している。
「武藤様、メンタル弱いくせに監禁とかするんだから……俺より自己管理ができてないんじゃねーの?」
「ウルセェ、監禁されておいて平然としてるてめーの方がおかしいだろが!」
「今んところ困ったことはないからね」
強いていうならCクラスにのみ出された宿題の範囲がわからないので夏休み明けに詰みが待っているということだろうか。
そして何故か俺に出されたひとことにっきも、やることが無さすぎて読んだ本とか晩御飯のメニューとかのメモ代わりになっている。
「まぁー監禁される程度で武藤グループ傘下の正社員って地位が手に入るならやるけどね」
ちゃちゃっと手を洗って席に着く。
当たり前の顔をして食事を待っていれば、まだ準備が終わっていないらしい武藤様がこれでも食ってろとミカンの山を俺の目の前に置いた。
「夕飯あるから腹は満たすなよ」
「やったー!」
みかんである。みかんは好きだ。
俺はみかんを下手の部分からわざと皮を剥ぎ取り、一本の線になるように剥くのが好きだ。地味に珍しいので基本的にボロボロと溢れる。
「相変わらず剥き方キモすぎるだろ」
「見せたことあったっけ?」
「去年。生徒会執行部にみかん届けただろ」
そういえばあったなそんなこと。
庭づくりのため、お金が足りなくなったので奉仕活動という名目で農家バイトをやったらみかんを二箱もらったのだ。
食べきれないので執行部にみかんを届けに行ったのだ。
「あの後食堂でみかん食ってただろ。まだあんのかと思って見てたら剥き方キモかった」
酷すぎる。
確かに俺はみかんを剥く時一本の線にしようとしすぎて切れた端から変に剥くが、ミカンの剥き方くらいは自由にさせて欲しい。
今自由の身じゃないんだし、ナンツッテ! 俺でも言わない方がいいことはわかるなやめよう。
じゅうじゅうと何かが焼ける音と旨そうなニンニクの匂い。外は陽が沈みかけていて、昼下がりという言葉を思い出した。
何で聞いたんだっけ、ああこうちゃんだ。
「てかさ、武藤様いない時もバルコニーでたいんだけど」
「……ダメだ」
「なんで!」
「逃げるだろ」
「俺のこと本当になんだと思ってる? ここは二十階で人間は五階以上から落ちたら確実に死に至るんだぞ」
死ぬて。あっみかんの皮ちぎれた。仕方ない、並べておくか。
「見て~流氷」
「……アホすぎる……」
どの口が言うか。外に出れたら確実に外に出られる訳じゃないんだぞ。現実はその構文でままならないことは結構ある。
俺のそんな様子を見て逃げる事はないと安心したのか、武藤様はわぁった、と声をあげる。
「出たいなら出りゃいい。鍵は渡しとく」
「いつのまにか何もかもに鍵がいるようになったなぁ」
「いつの間にかってか、てめーが呑気にしてる間に徐々になってんだよ。感知してねぇだけだ」
そうは言われても。武藤様はこの監禁を咎められたいのだろうか、認められたいんだろうか。
「カントリー○ァムってグラデで小さくなってたのに消費者からすると急に小さくなったように見えるじゃん、そういうのだよ」
「思った事ねぇ」
「お坊ちゃんじゃん……」
庶民はカントリーマ○ムの小ささになんの関係が無くても憤るというのに。そのひと周りの部分のクッキーが何よりも大切な時だってある。
そんなことを言っていたら目の前に皿が置かれる。流氷みかん(カワ)は捨てられたので、一口で中身を食べて咀嚼する。このジュースみたいなみずみずしさがたまんないんだわ。
「相変わらず食い方キモ」
「ミカンの食い方がキモいだけでここまで言われることある?」
追撃してくるな。
今もちょうど帰ってきていたらしく、台所でエプロンをつけている。多分カバンにも彼の手元にももう鍵はない。武藤様がいる時は部屋にある金庫に入っている。
「そうそう、今日は武藤様がなんで監禁してくるんだろうなーって考えてたよ」
「そんで寝てたんか。夜変な時間に起きんだからやめろっつったろ」
「やる事ないし。俺分かったんだけど、やらなければならないことがないとメリハリがつかない」
朝起きて畑に行くというのは偉大な習慣になっていたんだな、と思う。軽やかな包丁の音に混じって武藤様が重苦しく黙るのでめちゃくちゃ慌てた。
「え!? なんでそんな落ち込んでんの武藤様どした!」
「ウルセェ……」
「落ち込むくらいなら最初っから監禁せんでよ~!」
「分かってんなら聞くんじゃねぇ!」
めんどくせぇ人だ~~! メンブレしやすいコミュ障人間に言われたくはないだろうが、武藤様は大概メンタルが弱い。勝手に落ち込む割に逃そうとはしないので意志は強い。
意志の強さとメンタルの弱さがマリアージュされ、面倒臭さが倍増している。
「武藤様、メンタル弱いくせに監禁とかするんだから……俺より自己管理ができてないんじゃねーの?」
「ウルセェ、監禁されておいて平然としてるてめーの方がおかしいだろが!」
「今んところ困ったことはないからね」
強いていうならCクラスにのみ出された宿題の範囲がわからないので夏休み明けに詰みが待っているということだろうか。
そして何故か俺に出されたひとことにっきも、やることが無さすぎて読んだ本とか晩御飯のメニューとかのメモ代わりになっている。
「まぁー監禁される程度で武藤グループ傘下の正社員って地位が手に入るならやるけどね」
ちゃちゃっと手を洗って席に着く。
当たり前の顔をして食事を待っていれば、まだ準備が終わっていないらしい武藤様がこれでも食ってろとミカンの山を俺の目の前に置いた。
「夕飯あるから腹は満たすなよ」
「やったー!」
みかんである。みかんは好きだ。
俺はみかんを下手の部分からわざと皮を剥ぎ取り、一本の線になるように剥くのが好きだ。地味に珍しいので基本的にボロボロと溢れる。
「相変わらず剥き方キモすぎるだろ」
「見せたことあったっけ?」
「去年。生徒会執行部にみかん届けただろ」
そういえばあったなそんなこと。
庭づくりのため、お金が足りなくなったので奉仕活動という名目で農家バイトをやったらみかんを二箱もらったのだ。
食べきれないので執行部にみかんを届けに行ったのだ。
「あの後食堂でみかん食ってただろ。まだあんのかと思って見てたら剥き方キモかった」
酷すぎる。
確かに俺はみかんを剥く時一本の線にしようとしすぎて切れた端から変に剥くが、ミカンの剥き方くらいは自由にさせて欲しい。
今自由の身じゃないんだし、ナンツッテ! 俺でも言わない方がいいことはわかるなやめよう。
じゅうじゅうと何かが焼ける音と旨そうなニンニクの匂い。外は陽が沈みかけていて、昼下がりという言葉を思い出した。
何で聞いたんだっけ、ああこうちゃんだ。
「てかさ、武藤様いない時もバルコニーでたいんだけど」
「……ダメだ」
「なんで!」
「逃げるだろ」
「俺のこと本当になんだと思ってる? ここは二十階で人間は五階以上から落ちたら確実に死に至るんだぞ」
死ぬて。あっみかんの皮ちぎれた。仕方ない、並べておくか。
「見て~流氷」
「……アホすぎる……」
どの口が言うか。外に出れたら確実に外に出られる訳じゃないんだぞ。現実はその構文でままならないことは結構ある。
俺のそんな様子を見て逃げる事はないと安心したのか、武藤様はわぁった、と声をあげる。
「出たいなら出りゃいい。鍵は渡しとく」
「いつのまにか何もかもに鍵がいるようになったなぁ」
「いつの間にかってか、てめーが呑気にしてる間に徐々になってんだよ。感知してねぇだけだ」
そうは言われても。武藤様はこの監禁を咎められたいのだろうか、認められたいんだろうか。
「カントリー○ァムってグラデで小さくなってたのに消費者からすると急に小さくなったように見えるじゃん、そういうのだよ」
「思った事ねぇ」
「お坊ちゃんじゃん……」
庶民はカントリーマ○ムの小ささになんの関係が無くても憤るというのに。そのひと周りの部分のクッキーが何よりも大切な時だってある。
そんなことを言っていたら目の前に皿が置かれる。流氷みかん(カワ)は捨てられたので、一口で中身を食べて咀嚼する。このジュースみたいなみずみずしさがたまんないんだわ。
「相変わらず食い方キモ」
「ミカンの食い方がキモいだけでここまで言われることある?」
追撃してくるな。
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