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監禁! 最後の文化祭
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そういうわけで文化祭二日目。明日は立食形式のお偉方との交流会があり、俺は夜会に出席はしないので、実質一番楽しめる日となっている。
俺はこの日に、武藤様に告白しようと思っている。
……いや。告白しただろって? したけど、したけどさぁ。それが真道やユキちゃんみたいに熱を持って心を打つものかと聞かれたら、全然違う。
(あの二人は全身全霊だった。真っ直ぐだった……俺は保身と逃げに走ったのに)
旧校舎のベンチに腰掛けて、本校舎の方を見つめる。賑やかに飾り付けられた昇降口の辺りが見えていて。このルーティーンも最近はしていなかったな。
同じものを持っているはずなのだ。煮詰まった嫉妬に捨てきれないエゴも、応えてほしいという祈りも。俺はそこに諦めを混ぜて、いつでも逃げられるようにしてしまった。だから綺麗になんて到底見えなかった。
全部わかって、覚悟して、何もかもをぶつけないと意味がない。
(真道にはゆっくりでいいって言われたけど、そういうわけにはいかない)
しかしここで障害になってくるのは、いつ告白するかという話である。告白する日を今日にしたのは、明日は俺も武藤様と会えないから。
昼過ぎから始まる立食形式の接待はAクラスの出席が必須だそうだ。水瀬達も嫌そうな顔をしていた。Bクラスですら場違い扱いされるため、Cクラスの俺は出席の空気に耐えられない。
文化祭が終わってからでもいいが、本格的に受験が始まり、空気がピリついてそれどころではない。生徒会なんて引き継ぎ期間で殆ど学校居ないしな。俺も大変。
「うーん、やっぱりこの日しかないかも」
「何がだ」
「うひゃぁっ!?!?」
うおーーびっくりした。集中し過ぎていたらしく、後ろにいた武藤様に気が付かなかった。慌てて振り返ると、きっちりと制服を着こなした武藤様がため息をつく。
……いやっ、何で武藤様!?!?
「テメーが呼んだくせに、何だその反応はよ。こんなとこまで迎えに来させやがって」
「え? 俺が?」
もしかして待ち合わせの場所に無意識に行ってた? と慌てて周囲を見回すが、旧校舎の庭に変わりはない。
えまって俺の整えた庭に武藤様がどうしてどういうことなんで!?!? 俺旧校舎に人入れないようにしてたよ!?!?
疑問符を飛ばしまくる俺に、武藤様が困惑したように首を傾げる。
「水瀬使って、旧校舎来いっつったんだろ。旧校舎の門も開いてたし、大月から鍵も、ほら」
「獅童くん、水瀬ェ……!!!!」
ちなみに俺はそんな連絡はしていない。約束の時間は九時半に本校舎だったが、今は九時。これ武藤様の中では約束を早めた挙句呼びつけた奴になるのでは????
固まって冷や汗をダラダラ流していると、特に何も気にしてなさそうな武藤様がため息をついた。
「鍵。早く受け取れ、大事なもんだろ」
「へっ、あ、うん、ありがと……」
「旧校舎の奴らも怯えるだろうし、準備しろ。行くぞ」
「ハイ……」
よく見たら汗臭いジャージ姿だった。武藤様の服装はノリの効いたシャツにかっちりとした制服で、恥ずかしくなる。こんな姿で隣を歩く訳にはいかない。
そうだ今日、俺はこの人に告白するのだ。無様な姿は見せられない。この、胸の内に秘めた想いを。
昨日、俺が。
「? オイ、顔色悪りぃぞ。体調でも悪いのかよ」
「へぁ、いっ、いや! 大丈夫!」
「……今日休むんか」
「休まない! 一緒にまわろ!」
え。
な、なんで、なんか心臓が痛い。眉間のとこが訳も分からないくらい熱くて、なのに顔は冷えている。
ちぐはぐな感情と体の作用に慌てて、ギュッと胸の辺りを掴んだ。よく考えたら、俺は全身全霊の告白をしたことがない。
そう、つまり。
(めっちゃくちゃ……緊張する……!!)
初めての告白というものは、緊張するものなのだ。
俺はこの日に、武藤様に告白しようと思っている。
……いや。告白しただろって? したけど、したけどさぁ。それが真道やユキちゃんみたいに熱を持って心を打つものかと聞かれたら、全然違う。
(あの二人は全身全霊だった。真っ直ぐだった……俺は保身と逃げに走ったのに)
旧校舎のベンチに腰掛けて、本校舎の方を見つめる。賑やかに飾り付けられた昇降口の辺りが見えていて。このルーティーンも最近はしていなかったな。
同じものを持っているはずなのだ。煮詰まった嫉妬に捨てきれないエゴも、応えてほしいという祈りも。俺はそこに諦めを混ぜて、いつでも逃げられるようにしてしまった。だから綺麗になんて到底見えなかった。
全部わかって、覚悟して、何もかもをぶつけないと意味がない。
(真道にはゆっくりでいいって言われたけど、そういうわけにはいかない)
しかしここで障害になってくるのは、いつ告白するかという話である。告白する日を今日にしたのは、明日は俺も武藤様と会えないから。
昼過ぎから始まる立食形式の接待はAクラスの出席が必須だそうだ。水瀬達も嫌そうな顔をしていた。Bクラスですら場違い扱いされるため、Cクラスの俺は出席の空気に耐えられない。
文化祭が終わってからでもいいが、本格的に受験が始まり、空気がピリついてそれどころではない。生徒会なんて引き継ぎ期間で殆ど学校居ないしな。俺も大変。
「うーん、やっぱりこの日しかないかも」
「何がだ」
「うひゃぁっ!?!?」
うおーーびっくりした。集中し過ぎていたらしく、後ろにいた武藤様に気が付かなかった。慌てて振り返ると、きっちりと制服を着こなした武藤様がため息をつく。
……いやっ、何で武藤様!?!?
「テメーが呼んだくせに、何だその反応はよ。こんなとこまで迎えに来させやがって」
「え? 俺が?」
もしかして待ち合わせの場所に無意識に行ってた? と慌てて周囲を見回すが、旧校舎の庭に変わりはない。
えまって俺の整えた庭に武藤様がどうしてどういうことなんで!?!? 俺旧校舎に人入れないようにしてたよ!?!?
疑問符を飛ばしまくる俺に、武藤様が困惑したように首を傾げる。
「水瀬使って、旧校舎来いっつったんだろ。旧校舎の門も開いてたし、大月から鍵も、ほら」
「獅童くん、水瀬ェ……!!!!」
ちなみに俺はそんな連絡はしていない。約束の時間は九時半に本校舎だったが、今は九時。これ武藤様の中では約束を早めた挙句呼びつけた奴になるのでは????
固まって冷や汗をダラダラ流していると、特に何も気にしてなさそうな武藤様がため息をついた。
「鍵。早く受け取れ、大事なもんだろ」
「へっ、あ、うん、ありがと……」
「旧校舎の奴らも怯えるだろうし、準備しろ。行くぞ」
「ハイ……」
よく見たら汗臭いジャージ姿だった。武藤様の服装はノリの効いたシャツにかっちりとした制服で、恥ずかしくなる。こんな姿で隣を歩く訳にはいかない。
そうだ今日、俺はこの人に告白するのだ。無様な姿は見せられない。この、胸の内に秘めた想いを。
昨日、俺が。
「? オイ、顔色悪りぃぞ。体調でも悪いのかよ」
「へぁ、いっ、いや! 大丈夫!」
「……今日休むんか」
「休まない! 一緒にまわろ!」
え。
な、なんで、なんか心臓が痛い。眉間のとこが訳も分からないくらい熱くて、なのに顔は冷えている。
ちぐはぐな感情と体の作用に慌てて、ギュッと胸の辺りを掴んだ。よく考えたら、俺は全身全霊の告白をしたことがない。
そう、つまり。
(めっちゃくちゃ……緊張する……!!)
初めての告白というものは、緊張するものなのだ。
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