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監禁! 最後の文化祭
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えっ嘘だろ前当主!?!? ひまりさんが!?!? いくつなのそれは、そんでそら材料費なんか知らんみたいな運営するわバチクソ金持ちの道楽なんだから!!!!!!!!!
「……知ってて取り入ってんだと思ったんだが」
「身内ネタに俺を巻き込まないでほしい……普通にバイト先だと思ってた……猫可愛いし……」
「日本全土の身内ネタなんだよ」
ふわふわしてる割になんか実力者なのは察してたけど、まさかそこまでとは。犬神の親戚だからお金あるとかくらいだと思ってた。
困惑してる俺に、武藤様が少し驚いた後にふっと笑みを漏らす。
「ほんとに紛らわしいヤツ」
「?」
何が……??
よく分からんが、機嫌が良くなったのでよしとしよう。しかし俺、半年以上あそこでバイトしておいて何も知らなかったのか。花音さんたちは知ってんのかな。次会った時に聞いてみよ。流石にこうちゃんは知ってるか。
「武藤様~ってすり寄る割に、権力構造は把握してねぇのな。にしてはファインプレーだが」
「??? 武藤様が武藤様なのは別に武藤様だからで武藤家と関係ないけど……」
「待て、ゲシュタルト崩壊する」
「自分の苗字忘れたらヤバいじゃん」
瑛一様って呼ぶのもなんか距離感近すぎない? ちょっと恥ずかしいというか。
馴れ馴れしい感じは何というか、過激派ユニコーンの特権だと思う。いや俺が一番過激派ユニコーンになるわけだがもう。
「……じゃあ何で苗字なんだよ。同級生だろ」
「えぇっ、いやなんか、俺武藤様のファンだし、畏れ多いっていうか、引かれたら悲しいし」
慌てて言い繕うと、武藤様はムッと嫌そうな顔をした。何だその顔、まるで俺に名前で呼んでほしいみたいに。
照れの入った金の瞳がじっと俺を見つめて、違うだろ、と小声で呟く。
「違うって、えっと」
「ただのファンじゃねぇし、引きもせん……恋人だから」
恋人すげ~……!!!!!!!!!
言葉の裏に隠された、名前で呼べというお願いがちゃんと聞こえてくる。ちょっと顔が赤いのもまた可愛くて、ええっ恋人なら武藤様のこの顔が見れるんですか!?!? 許せねぇ~永遠に俺が恋人になりたい。
(いやまぁ、そのために今日しっかり告白するんだけど!)
恥ずかしくなって来た。もうこんなに恥ずかしいのに。
顔が熱くなって喉がキュッと閉まる。涙が出そうになりながら、どうにかこうにか口に出す。
「……えいいち」
「ああ」
「……さま!」
「んでだよ」
様付けは許されんのか。
じゃあなんて呼べばいいんだ。武藤様はムッと機嫌が悪そうな顔をしている。瑛一って呼べってこと? いやいやいやいや何様だよマジで。確かに俺は恋人だけど、まだ仮初だよな? まだ、と信じたいけど。
「だっ、……大体武藤様だって俺の名前呼ばないじゃんっ! 俺、田中宗介なんですけどぉ!」
「あってめ! どうせ照れて話にならんだろ!」
「それ分かってるなら名前も呼ばせないでよ!」
「は? 何言ってんだ、照れるのは──」
言い争っている俺たちに、わぁあんと子供の泣き声が聞こえてくる。言い争いの声が大きかったかと口を閉じれば武藤様も黙って──そういうところも好きだ──しまって、続きは聞こえなかったが。
そういえば文化祭中だ。近くは……ゲームコーナー? まさか……
「ヒーーッヒッヒッヒ!! ガキどもがよぉ!! ほらほら、カードは勝ったやつのもんなんだよなぁ? それが大会きてーってヤツだろ?」
「お客様、困ります……!」
「ああん!?」
「ッヒ!」
またゲームコーナーかい。
どうやら今回は来賓の大人らしい。体格のいい着崩したスーツの男が、子供の持っているカードを奪って笑っている。生徒だけなので注意もできないらしい。
どうしてこうもヤベェ奴ばかりがいるのか。
どうやら大会にかこつけてカードをかけて勝負をしているらしい。一応子供の自由意志でかけている可能性があり、あまりカードゲームの運営をしたことのない生徒はやり込められている。
外部の俺が注意をするわけにもいかん。
なるほどね……。
「武藤様、ごめんけどちょっとここで待っててね」
慌てて出したらしい飛び込み参加関係の看板を持った受付に目を向ける。懐からデッキを取り出した俺に何をするのか察したらしく、ちょっと呆れたように笑われた。
「おー。ま、その辺で時間潰しといてやるよ」
「必要ないよ」
高校生ならともかく、大人で子供からカードを奪うとは。
子供向けのゲームをするにはあまりにもモラルが足りない。
ふざけてやるには、あまりにも胸糞が悪かった。
「──速攻で終わらせるから」
近付いた俺に、怯えたように俯いていた受付の生徒がぱっと目を輝かせた。
「……知ってて取り入ってんだと思ったんだが」
「身内ネタに俺を巻き込まないでほしい……普通にバイト先だと思ってた……猫可愛いし……」
「日本全土の身内ネタなんだよ」
ふわふわしてる割になんか実力者なのは察してたけど、まさかそこまでとは。犬神の親戚だからお金あるとかくらいだと思ってた。
困惑してる俺に、武藤様が少し驚いた後にふっと笑みを漏らす。
「ほんとに紛らわしいヤツ」
「?」
何が……??
よく分からんが、機嫌が良くなったのでよしとしよう。しかし俺、半年以上あそこでバイトしておいて何も知らなかったのか。花音さんたちは知ってんのかな。次会った時に聞いてみよ。流石にこうちゃんは知ってるか。
「武藤様~ってすり寄る割に、権力構造は把握してねぇのな。にしてはファインプレーだが」
「??? 武藤様が武藤様なのは別に武藤様だからで武藤家と関係ないけど……」
「待て、ゲシュタルト崩壊する」
「自分の苗字忘れたらヤバいじゃん」
瑛一様って呼ぶのもなんか距離感近すぎない? ちょっと恥ずかしいというか。
馴れ馴れしい感じは何というか、過激派ユニコーンの特権だと思う。いや俺が一番過激派ユニコーンになるわけだがもう。
「……じゃあ何で苗字なんだよ。同級生だろ」
「えぇっ、いやなんか、俺武藤様のファンだし、畏れ多いっていうか、引かれたら悲しいし」
慌てて言い繕うと、武藤様はムッと嫌そうな顔をした。何だその顔、まるで俺に名前で呼んでほしいみたいに。
照れの入った金の瞳がじっと俺を見つめて、違うだろ、と小声で呟く。
「違うって、えっと」
「ただのファンじゃねぇし、引きもせん……恋人だから」
恋人すげ~……!!!!!!!!!
言葉の裏に隠された、名前で呼べというお願いがちゃんと聞こえてくる。ちょっと顔が赤いのもまた可愛くて、ええっ恋人なら武藤様のこの顔が見れるんですか!?!? 許せねぇ~永遠に俺が恋人になりたい。
(いやまぁ、そのために今日しっかり告白するんだけど!)
恥ずかしくなって来た。もうこんなに恥ずかしいのに。
顔が熱くなって喉がキュッと閉まる。涙が出そうになりながら、どうにかこうにか口に出す。
「……えいいち」
「ああ」
「……さま!」
「んでだよ」
様付けは許されんのか。
じゃあなんて呼べばいいんだ。武藤様はムッと機嫌が悪そうな顔をしている。瑛一って呼べってこと? いやいやいやいや何様だよマジで。確かに俺は恋人だけど、まだ仮初だよな? まだ、と信じたいけど。
「だっ、……大体武藤様だって俺の名前呼ばないじゃんっ! 俺、田中宗介なんですけどぉ!」
「あってめ! どうせ照れて話にならんだろ!」
「それ分かってるなら名前も呼ばせないでよ!」
「は? 何言ってんだ、照れるのは──」
言い争っている俺たちに、わぁあんと子供の泣き声が聞こえてくる。言い争いの声が大きかったかと口を閉じれば武藤様も黙って──そういうところも好きだ──しまって、続きは聞こえなかったが。
そういえば文化祭中だ。近くは……ゲームコーナー? まさか……
「ヒーーッヒッヒッヒ!! ガキどもがよぉ!! ほらほら、カードは勝ったやつのもんなんだよなぁ? それが大会きてーってヤツだろ?」
「お客様、困ります……!」
「ああん!?」
「ッヒ!」
またゲームコーナーかい。
どうやら今回は来賓の大人らしい。体格のいい着崩したスーツの男が、子供の持っているカードを奪って笑っている。生徒だけなので注意もできないらしい。
どうしてこうもヤベェ奴ばかりがいるのか。
どうやら大会にかこつけてカードをかけて勝負をしているらしい。一応子供の自由意志でかけている可能性があり、あまりカードゲームの運営をしたことのない生徒はやり込められている。
外部の俺が注意をするわけにもいかん。
なるほどね……。
「武藤様、ごめんけどちょっとここで待っててね」
慌てて出したらしい飛び込み参加関係の看板を持った受付に目を向ける。懐からデッキを取り出した俺に何をするのか察したらしく、ちょっと呆れたように笑われた。
「おー。ま、その辺で時間潰しといてやるよ」
「必要ないよ」
高校生ならともかく、大人で子供からカードを奪うとは。
子供向けのゲームをするにはあまりにもモラルが足りない。
ふざけてやるには、あまりにも胸糞が悪かった。
「──速攻で終わらせるから」
近付いた俺に、怯えたように俯いていた受付の生徒がぱっと目を輝かせた。
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