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プロローグ
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吹き出しかけたのをパッと押さえ、品行方正な優等生の皮を被り直す。メイン攻略対象とはいえ相手はクソガキ。クソガキ一人に今まで積み上げてきたステータスをめちゃくちゃにされてなるものか。
「迷惑だなんて思う訳がない。むしろ殿下に頼られるのは魔術師として光栄なことだ……これからも、何かあれば声をかけてくれ」
「もちろん。早速だけど今週末はどうよ? しばらくこの領地にいるからさ~」
おいコイツ今週末また女遊びしに行くつもりか!? 元気だな、若さって怖……。こっちは髪切りに行くのすら一週間くらい心の準備がいる大イベントなんだぞ……。まだおじさんでは無い。
ヴィンセントが俺と出かけたがるはずがないので、口裏を合わせて街に出かけたいという要望なのだろう。
「すまない、今週末は弟の魔術道具を買い揃えてやらないといけないんだ」
「魔術道具~? へぇ、ウチに入学すんの? お前に似て優秀じゃん」
お、皮肉か? 俺は今からお前を殴っても良いんだぞ。
本編シナリオの強制力により、俺は十三の頃魔法学校に入学、ヴィンセントは十四の時に入学した。俺とヴィンセントは同い年なため、俺の方が一つ先輩となる。
が、学級長と呼ばれていることから分かる通り、俺はヴィンセントと同じクラスだ。
べっ別に無能すぎたわけじゃないからな!? そういう仕組みに関しては追々、魔法学校に戻った時にでも。
──ともかく、ヴィンセントは特別で優秀。反面俺は態度はいいのに凡俗の域を出ない成績。むしろ実技なんか悪い方である、という点を鑑みて今の発言を見てみると分かるが皮肉である。
な、殴りてぇ~!!
「はは! セリオンは俺なんかよりよほど優秀だよ。俺としては、あの魔術の才こそフィレンツェの主人に相応しいと思うくらいだ……」
「アーノルド、あまりそういうことを」
「何を止めるのです父上、事実ではありませんか」
なので俺は父親に飛び火させておく。皮肉合戦! 社交界らしい最悪さだ。
父は俺を無理やり連れてきて後継にしたことを申し訳なく思っており、そこを弄ると青ざめて押し黙る。
なら美少年連れてきてメイド服着せんのやめろよ父親のキモいとこ見たくないよ。息子より年下の相手に対してさ……。
(ま、そろそろいいだろう)
若干空気はピリついたが、義理は果たした。腰は青あざになるくらいつねられている。キレそう。靴に鋭利な刃でも仕込んでおいたらよかった。
「さて殿下、そろそろ失礼しよう。俺のような傷もある男がお前の連れ添いというのも味気ないだろう?」
「おー、じゃ、いい夜を」
空気の冷たさに耐えられないのか恨みがましい顔をしているが知ーらね。甘く色気のある顔をした男は少し名残惜しそうな──気まずいんだろうな──顔をした後俺を離した。
多分腰は明日見たらグロい紫とかになってるんだろーな。傷物にされちゃったぜ……。
俺は知らなかった。
この迂闊な演技のせいで、学校に戻った際──俺とヴィンセントが婚約者である、としこたま噂されるようになってしまったことを。
「迷惑だなんて思う訳がない。むしろ殿下に頼られるのは魔術師として光栄なことだ……これからも、何かあれば声をかけてくれ」
「もちろん。早速だけど今週末はどうよ? しばらくこの領地にいるからさ~」
おいコイツ今週末また女遊びしに行くつもりか!? 元気だな、若さって怖……。こっちは髪切りに行くのすら一週間くらい心の準備がいる大イベントなんだぞ……。まだおじさんでは無い。
ヴィンセントが俺と出かけたがるはずがないので、口裏を合わせて街に出かけたいという要望なのだろう。
「すまない、今週末は弟の魔術道具を買い揃えてやらないといけないんだ」
「魔術道具~? へぇ、ウチに入学すんの? お前に似て優秀じゃん」
お、皮肉か? 俺は今からお前を殴っても良いんだぞ。
本編シナリオの強制力により、俺は十三の頃魔法学校に入学、ヴィンセントは十四の時に入学した。俺とヴィンセントは同い年なため、俺の方が一つ先輩となる。
が、学級長と呼ばれていることから分かる通り、俺はヴィンセントと同じクラスだ。
べっ別に無能すぎたわけじゃないからな!? そういう仕組みに関しては追々、魔法学校に戻った時にでも。
──ともかく、ヴィンセントは特別で優秀。反面俺は態度はいいのに凡俗の域を出ない成績。むしろ実技なんか悪い方である、という点を鑑みて今の発言を見てみると分かるが皮肉である。
な、殴りてぇ~!!
「はは! セリオンは俺なんかよりよほど優秀だよ。俺としては、あの魔術の才こそフィレンツェの主人に相応しいと思うくらいだ……」
「アーノルド、あまりそういうことを」
「何を止めるのです父上、事実ではありませんか」
なので俺は父親に飛び火させておく。皮肉合戦! 社交界らしい最悪さだ。
父は俺を無理やり連れてきて後継にしたことを申し訳なく思っており、そこを弄ると青ざめて押し黙る。
なら美少年連れてきてメイド服着せんのやめろよ父親のキモいとこ見たくないよ。息子より年下の相手に対してさ……。
(ま、そろそろいいだろう)
若干空気はピリついたが、義理は果たした。腰は青あざになるくらいつねられている。キレそう。靴に鋭利な刃でも仕込んでおいたらよかった。
「さて殿下、そろそろ失礼しよう。俺のような傷もある男がお前の連れ添いというのも味気ないだろう?」
「おー、じゃ、いい夜を」
空気の冷たさに耐えられないのか恨みがましい顔をしているが知ーらね。甘く色気のある顔をした男は少し名残惜しそうな──気まずいんだろうな──顔をした後俺を離した。
多分腰は明日見たらグロい紫とかになってるんだろーな。傷物にされちゃったぜ……。
俺は知らなかった。
この迂闊な演技のせいで、学校に戻った際──俺とヴィンセントが婚約者である、としこたま噂されるようになってしまったことを。
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