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9 (俯瞰・R18、近親相姦描写あり)
しおりを挟む一織の匂いが知りたい。
常に八束の頭の隅にあるその願望は、一織の中に自分のペニスを埋め込んでいる最中に最大に膨張する。
「あっあっあっ…ん、んっ!!」
「いお…中、うねってる…僕の、美味しい?」
「ぁあっ…おいしい…やつかのちんぽ、すきぃ…っ」
八束に組み敷かれ、貫かれている一織は乱れに乱れている。身を捩らせて、奥に奥にと誘い込もうと締め付けてくる濡れた肉壁が一際きゅううっと八束のペニスを締め付けた。
瞬間、胸から腹にかけて、熱い感触が広がる。
一織が達した白濁が、八束の体に降り掛かったのだ。
体調を案じて緩く動いていた筈なのに、何時の間にか夢中になって突いてしまっていた八束は、その締めつけを辛うじて耐えた。
少しばかり間を置いてから、射精して脱力した一織の体を再び突き始めると、掠れた悲鳴のような嬌声が絶え間無く上がり耳に心地良い。
「だめ…だめ、イった、イったから…、ぁ…」
「ごめんね、もう少しだから我慢して。…良い子だから。」
「や、あ、あ、あっ、」
「舌噛むよ……んっ…。」
きた、と一瞬動きを止めてぶるっと身を震わせる。
目がちかちかするような強烈な快感。粘膜を擦り合い、粘ついた愛を兄の腹の中にぶちまける悦楽。恍惚の表情で唇を震わせて自分を見つめる兄。幸せだ…――。
兄に折り重なり汗ばんだ肌を合わせる。似ていない双子だと言われるが、肌質はよく似ていて、抱き締め合うとしっくりと馴染んだ。
こういう時、何故自分はΩなのだろうと思う。αだったら、性を纏った時の一織のΩの匂いを嗅ぐ事が出来ただろうに、同じΩの八束にはその匂いが感知出来ない。
それはどれほどに官能的なものなんだろうかと、悔しい。
そうでなくても一織の体臭は良い匂いがするのだから。うなじからも分泌されるというヒートの匂いは、きっと甘い蜜のような匂いに違いない。
匂いがわからなくても、これだけ甘い体を持つ一織なのだから。
近親相姦を防ぐ為に遺伝子が近い程に不快な匂いに感じ、忌避するものだという説があるが、八束達にはそれは該当しないのだろうと思う。
だって八束はこれ迄、一織のように良い体臭のする人間に出会った事が無い。
自分はΩなのだから、αの匂いを好ましく思う筈だと思っていたが、出会ったりすれ違ったりしたαの匂いもαだとわかりはしたが聞かされていた程に良いものだとは感じなかった。不思議に思って一織に聞いてみると、一織もそうだとわかった。そういう部分は、二人共に母の水澄に似たのだろう。水澄は遅発性のΩでβとして過ごした期間が長く、αの匂いにも鈍感だった。きっと八束と一織にも遺伝しているのかもしれない。
「大丈夫?気持ち悪くなってない?無理させてごめん。」
額や頬に汗で張り付いた髪さえ艶めかしい一織。一生、αなんかにやりたくない。
「俺が、欲しかった、から…。」
首を振りながら、涸れてしまった声で恥ずかしそうに答える一織は可愛い。
普段、色事になんか興味無さげに見える兄が自分だけに晒す、しどけない姿に、八束の男心が満たされる。
兄弟は元々籍が同じなんだから、結婚してるも同然なんて言葉が頭を掠めた。
やはり自分は兄狂いだ。
きっと八束は、共にこの世に産まれ落ちた瞬間から一織に恋していたのだと思う。
翌朝、一織は本当に体調が戻り、普段通り程度の食事が出来た。と言っても元々食が細いから、朝胃に入れられるのはせいぜいご飯に御御御付け、香の物くらいのものだ。
世話係の篠宮が、本当にそれで良いのかと心配そうに八束にこそりと聞いてきたが、普段がこの程度なんですと答えると驚いていた。
それでも抜かないだけマシなんだけど、と八束は苦笑する。
昼もそう変わりなく、夜はもう少しくらいは食べられる。
八束は一般的な成人男性と同程度の食事量で問題無く、篠宮は安心したようだった。
一週間が過ぎた。
婚約者候補として滞在していると言っても、特別何かを課される訳でもない。
ネット環境は完備されているし、外部との連絡が制限されている訳でもない。
八束は勉強や課題を片付けるし、一織も特別休職中の職場のホームページを見たり動画を見たり、八束に比べればニート感は否めない。まあ実際似たようなものだが…。
毎日三時のお茶の時間には青秋の執務室に呼ばれてお茶や菓子を食べて少しばかり話をするが、今のところそれが唯一の婚約者候補らしい仕事だ。
屋敷に来て一週間にもなるというのに、こんな事で大丈夫なのだろうか。時間と金の浪費になってはいないか。
二週間経過したあかつきには、例え話が整わなくとも拘束した事に対する謝礼金が出るという。だから半ばバイト感覚で来ている二人だが、その割にはそれに見合う事は求められてはいない。休憩時間の茶の相手をするには高額過ぎる謝礼を貰う事になりそうだ。
あれだけ熱心に申し入れされたから、家に来てしまえばもっと押されるものかと思っていた八束は、少しばかり拍子抜けしていた。
今日もそろそろ三時という頃に篠宮が八束の部屋に呼びに来た。一織は初日から八束の部屋に入り浸っているから、篠宮ももうわかっていて、最初から八束の部屋に直行してくる。
二人は使っていたPCを閉じ、ストレッチを中断して、シャツだけを着替え、軽く身支度を整えてから部屋を出た。
もう歩き慣れた長い板の廊下を進んだ奥に、青秋の執務室はあった。
篠宮が襖を開けると、既に青秋は休憩用のテーブルの椅子に腰掛けていた。
「ご機嫌よう。」
青秋の挨拶に、それぞれ会釈を返しながら部屋に入り席に着く。
少し疲れたような様子の青秋は、それでも美しかった。
一織と八束以外のΩなら、きっと腰砕けになるんだろう。
なのに何もこんな半端なΩ二人を相手にする事になって、時間を無駄にしているとは思わないのだろうか、と八束は思った。
一週間も毎日会っていれば、一織と八束が青秋のαとしての部分に何の反応も示さないのは、もう察している筈だ。
そんな事を考えながら供された茶に口を付けた時、青秋が口を開いた。
「今日は、お二人に折り入ってお伺いしたい事がございます。」
低く響くその声では、昨日迄とは様子が違っていた。
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