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王様の下僕 ・春原 駿 2 (R18描写あり)
しおりを挟む最初に抱かれたのは、俺が副会長に就任して…そうだな、2ヶ月以上経ったくらいの頃だったか。
香原は最初、良い奴だった。
あんな学園で生徒会長って言えば、実質並み居るα達の頂点というか…
まあ群れのボスだよな。
耳にした家系だって、俺なんかとは比較にならないような旧華族の血統らしいから、俺がたまたまαに生まれてなきゃ一生同じ空間に存在する瞬間すら無かったんじゃないかと思う。
そういう生まれに恥じないような品格は、言動の端々に感じた。
身長が高くてスタイルが良いのは当然みたいなαの中でも目立つ手足の長さと、なんと言うか…派手な顔立ちなのに品はある。
香原は本当に王様だった。
だから俺は、一緒に生徒会の業務をこなす度に少しずつ信頼していった。
2年に上がったらクラスも隣になったから顔を合わせる事も増えて、急速に距離は縮まったと思う。
でもそれも、香原にとっては俺を代用品に仕立て上げる為の行程に過ぎなかったんだよな。
梅雨の真っ只中で、あの日も朝からずっと雨だった。
俺は放課後生徒会室に少しだけ寄った。
次の集会で使う資料の準備だけしておいて、直ぐに寮に帰って勉強するつもりだった。テスト前だったから、ほんとに最低限の事だけして帰るつもりで。
他の生徒達も同じように考えたのか、校舎内は殆ど人気が無かった。
静かな廊下を歩いて生徒会室に向かってると、不思議な気分になったよ。
人がいないだけで、こんなに雰囲気が変わるなんてって。
ウチの学園の生徒会室は最上階の7階にあって、役員や教職員は専用エレベーターで上がる。
上昇しながら見える景色は周囲の山と遠くに見える街くらいなもので、本当に絶望的な気分になるんだけど、その度に 3年間の我慢、3年間の我慢、って自分に言い聞かせてた。
3年程度で後の人生がサクサクになるならその方がラクだし。
エレベーターを降りれば、7階全フロアが生徒会執行部。会社かよ。
それで、生徒会長の執務室が中の左手奥に別に設けられてるって感じ。
こんな規模で執行部があるのってあんまり無いんじゃないのかと思う。
少なくとも俺の出身の公立中学では、もっとこう…精々部室程度の部屋が生徒会室だったように記憶してるから、やっぱ色々優遇されてるんだなα校って思った。
役員専用のカードキーで部屋を開けると、同時にパッと電気がついた。
ガランとした広い室内には生徒会メンバー達のデスクやPCが並んでいるだけで、今日は誰もいない。
俺は自分の使っているデスクの上に鞄と荷物を置いて、資料棚に向かった。
今日の内に抜粋した資料のコピーを人数分刷っておこうと思った。
30分くらいで済む筈だったんだ。
なのに、探した資料を持ってコピー機の前に立ってたら、後ろから抱きしめられた。
誰もいないと思い込んでたから心臓が止まりそうにびっくりした。
振り返ろうとしたらそいつが首に噛み付いてきて、痛みで実際に一瞬息が止まった。
「春原、静かに。」
「…香原?!」
噛み付き犯人は香原だった。
何故香原が。
それから俺は、テンパってる内に執務室に引きずり込まれて、服を剥かれて犯された。
だから最初は殆どレイプで、香原は最初に俺に上下関係を叩き込む為に敢えてそうしたんだと思う。
何方がオスなのか。
誰が自分をメスにしたのか。
人間…特に男って、一度体を支配されたら、その相手には弱腰になる事ってあると思う。
実際、俺はそれからずっと香原に逆らえなくなった。
脅されるように呼び出された2度目。
香原は最初の乱暴さが嘘のように俺を甘やかしながら抱いた。
男を知って間も無い筈の俺の体が香原のでっかいαそのもののペニスを受け入れて、健気に鳴いたのが自分でも信じられなかった。
俺は男で、αだ。
濡れる事も受け入れる性でもないこの体を悦ばせる術を、未だ若い香原が何故知っているんだろうと不思議だった。
俺は何度もキスをされて、身中に吸いつかれて、尻の穴を舐められて、ほじくられて、前立腺を責められて、浅い場所を擦られて、ペニスを口や手で執拗く丁寧に可愛がられて、ふにゃふにゃにされたところにぶち込まれた。
未だ処女同然だった俺の直腸の肉壁は、香原のペニスをきつく締め上げていた筈だ。
腹にくる圧迫感が嘔吐く程だった。
αの交合は長い。
呼び出されたら一晩中離してくれない程。
そんなに情熱的に抱く癖に、香原は俺の中に出しながら、俺とは違う名を呼んだ。
ああ、そうか、ソイツの代わりか。
トワ。
よく香原と居る、生徒達の間で姫と呼ばれている、やたらと綺麗な顔をした同級生を思い出した。
弓月 斗和。
そんなに小柄な訳でもないけれど、周りの生徒達よりは一回り二回り細身で、繊細な印象を受ける。
俺は彼に似ていたのか。
香原は、弓月を好きなのか。
その時迄、全く意識もした事が無かった。自分が弓月に似ているなんて。
だが、そうか。
だから執行部で仕事をしていると、よく香原からの視線を感じたのか、と納得もした。
しかし、という事は、だ。
香原は"俺"が好きな訳ではない。
そうわかると、何故か逆に安心した。
多分それは、その時未だ俺が挿入する側の快感を忘れられなかったからだ。
中学でもカノジョがいたし、学園に来てからも、声をかけられれば性欲処理で誰かを抱いていた。
学園に入る迄、同性の経験は無かったけど、朱に交われば何とやら…で、若さと性欲を持て余していた俺は、独特の雰囲気と風習に、流された。
男の体にそんなに嫌悪感が無かったのは自分でも意外だったけれど、これで卒業迄何とかもつかなあ、なんて思ったりもして。
まあ、まさか自分が掘られる側になるとは思っていなかったけど。
だから、香原が俺を弓月の身代わりとしてしか見ていないなら、俺も誰かを抱く楽しみを捨てなくて良さそうだと安心したんだ。
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