傾国の性悪Ωは悪役令息に恋をする

Q矢(Q.➽)

文字の大きさ
20 / 22

…王道…?

しおりを挟む




「お前らアレスに悪いと思わないのか?」


聞き慣れない声だ。

2人して声の方を見ると、ふわふわしたストロベリーブロンドの髪に、俺より少し小柄な少年。

ストロベリーブロンド…。
それは…地毛、か?


「婚約者を裏切って、番とか最低だな!!」

「……?」


(誰か知ってる?)

(わかんない。見た事ない子だね。)

エリオと目と目で会話するが、エリオも困惑している。
いやマジで誰。


「…どなた?」

「留学生のマクリルだよ!!
アンタ、教室にいたじゃねーか!!
今朝皆に挨拶した時見たぞ、1番前の席にいたじゃん!!」

ストロベリーにビシッと指を指される俺。

…留学…生?挨拶…?
記憶にないな。

だって俺は近くて遠いエリオの身を案じるのに忙しい。


「マクリル様ですか。
それは、失礼致しました。」

俺は席を立ち、余所行きの笑顔を張り付けて優雅にお辞儀をしてみせたが、

「嘘くせぇ笑顔してんじゃねえよ!」

と言われてしまった。
エリオがブワッと怒りの圧を出す。いや待て待て待て。

「君、話した事も無い他人にその言葉遣いはいくら何でも失礼なんじゃないのか。」

「エリオ、大丈夫だよ、落ち着いて…。」

ほんと待って待って。


エリオが苛立ちを顕にすると、少しビクついたストロベリーだったが、

「…あ、そ…だよな。頭に血が上って…。すみません。」

と、意外にも素直に謝罪してくる。

ん?
端々からの特徴で、懐かしの王道とかかなって思ったけど、違った?か?


「俺、今朝この学園に来て、」


季節外れの、ってやつね。うん。

「直ぐにアレスとダチになって、」

アレス?王太子の名前だよね?もう呼び捨てなんだ?うんうん?  早くない?

「アレス、最近辛かったけど俺が来てくれて元気出そうって言うから、何があったのか話聞いてて…、」

大体読めて来た読めて来た~

「婚約者と、婚約者がいるってわかってるのに言い寄って来た奴らに、裏切られて婚約破棄されたとか聞いて、」


……ポンコツ殿下、てめぇ💢



そこ迄聞いて、おおかたの事を理解した俺達は頷き合い、取り敢えず俺はエリオの向かいから隣の席に移動。
ストロベリーを俺が座っていた向かいの席に座らせた。



「先ず、自己紹介をしましょう。
私は隣国イクスの公爵家の4男、セス・リスタニアです。
此方はエリオ・レニングスト様。この国の公爵家の次男で、私の番の方です。」


俺が滔々と述べると、エリオが無表情で会釈をする。
怒っとる…。

ストロベリーが頷き、やはり会釈しながら話した。


「マクリル・フォレスト。
ギアナ国から来ました。
父さんが亡くなって、この国に侯爵してる祖父がいるのがわかって引き取られました。
だからこの間迄は平民でした。」

ぺこり。


あ、なるほど。
だから開けっぴろげな話し方なんだな。
貴族間には無い感じだから違和感はあった。

「君がフォレスト侯が引き取ったって言うお孫さんか。」

エリオは知ってたらしい。

「平民出身でしたのなら、貴族間の事は覚えていくのはこれからでしょうね。
ですが、知らないならば知らないなりに、お祖父様のお顔に泥を塗るような言動は控える方がよろしいかと。」


…久々に塩エリオ見た。
対王太子モードの時のやつだ。

ストロベリーはそれを聞くと、途端にシュンとして、

「そうだよな…ごめんなさい。」

と謝罪した。

美麗過ぎる顔で無表情で怒られるのも怖いけど、どうやらお祖父さんがウィークポイントの様子。
というか、思ってたより素直だ。
単に少し熱し易いだけなのかもしれん。

それにしてもあのポンコツ王太子め。

ストロベリーが何も知らないのを良い事に、好きなように捏造してくれたらしいな。

ストロベリーを観察してみると、なかなか可愛い顔をしているし、おそらく次のターゲットなのだろうか。


上等だ。
俺はこう見えて、売られた喧嘩は買い叩いて転売する程 買い漏らさない男…。


(王道フラグ、叩き折ってやるぜ。)



俺は運ばれてきた紅茶を冷まして一口飲んでから、


「では、実際の事の顛末をお話致しますね。」


と、ストロベリーに満面の笑みを向けて言った。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息はもう待たない

月岡夜宵
BL
突然の婚約破棄を言い渡されたエル。そこから彼の扱いは変化し――? ※かつて別名で公開していた作品になります。旧題「婚約破棄から始まるラブストーリー」

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

悪役令嬢と呼ばれた侯爵家三男は、隣国皇子に愛される

木月月
BL
貴族学園に通う主人公、シリル。ある日、ローズピンクな髪が特徴的な令嬢にいきなりぶつかられ「悪役令嬢」と指を指されたが、シリルはれっきとした男。令嬢ではないため無視していたら、学園のエントランスの踊り場の階段から突き落とされる。骨折や打撲を覚悟してたシリルを抱き抱え助けたのは、隣国からの留学生で同じクラスに居る第2皇子殿下、ルシアン。シリルの家の侯爵家にホームステイしている友人でもある。シリルを突き落とした令嬢は「その人、悪役令嬢です!離れて殿下!」と叫び、ルシアンはシリルを「護るべきものだから、守った」といい始めーー ※この話は小説家になろうにも掲載しています。

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?

人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途な‪α‬が婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。 ・五話完結予定です。 ※オメガバースで‪α‬が受けっぽいです。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...