傾国の性悪Ωは悪役令息に恋をする

Q矢(Q.➽)

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王道という名の生贄。

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俺とエリオから事実を聞いたストロベリーは青褪めた。

実際に俺達だけではなく、周囲で食事をしていた生徒を適当に捕まえて、その件に関して質問をさせてみたのも良かった。

「王太子様?
あ~…あの方のはもう…ね。病気だと思えば、優しい目で見られるかもしれないけどね。
当事者でなければ。」

「あれだけ派手に浮気相手を変えて連れ回していればねぇ。
エリオ様、本当良かったよ、αで発現して。」

…などなどの、リアルタイムで王太子の愚行を見ていた生徒達の生の声に触れ、流石の留学生も、認識を改めたようだ。


エリオは言った。

「君が、このまま祖父であるフォレスト侯のとこに世話になるのなら、留学生という気軽な立場ではいられなくなるだろう。
国へ帰って平民に戻る気なら別だけど、この国で貴族として生きるつもりなら今日みたいな事はフォレスト侯の立場を危うくするものだと覚えておく方が良いよ。
本来、序列の低い者が高位の者に失礼な態度を取るという事は許されない事だ。」

「…でも……うん、わかった…
わかりました。」


ストロベリーの親御さんが平民になったのは、駆け落ちか何かだったんだろうか。
詳細は知らないけれど、平民だった頃には貴族になんか、余程の事でもない限り、会う機会なんか無かったんだろう。
俺達貴族だって、日頃接する平民達は使用人達に限られている。
後は、時折街に降りた時に馬車の中から見かける程度。

もし気まぐれに街歩きしようなんて考えたりしたら、高位貴族になる程に護衛を連れて行かねばならないから、面倒なのだ。


それに、エリオに言われた事も、ストロベリーなりに色々考えるところがあったんだろう。
意見された事に、1度は異を唱えようと思ったのを思い直して堪えた。
結構、聡明なのではなかろうか、と俺は思った。

それで少しフォローを入れる。

「けれど、マクリル様はとても賢い方だと思います。
他人の厳しい言葉にきちんと耳を傾ける事ができてらっしゃる。なかなか出来ない事です。
その上、素直でいらっしゃいますし。」

ストロベリーの表情が少し明るくなる。

「後は、そうですね…、
一人の言葉だけを、鵜呑みになさらず、各人からの意見を聞かれて判断するようになさればよろしいのではないでしょうか。
その間に、昂った気持ちも冷静になれましょう。」

「はい、気をつけます。」


しおらしく返事をするストロベリー。
それを見て、フラグは折れに折れたなと思ったが、次の瞬間 ストロベリーの口から出た言葉に俺はやはり此奴は王道なんだと確信した。


「でも…きっと、アレスも寂しかったんだと思います。
前にそんな風に遊んでたのもちょっとどうかと思うし、俺に嘘ついたのは許せないけど…、
きっとアレスは本当の友情や愛を知らないんだ…と、思います…。」




すっげえ。
聖母じゃん。


「じゃなきゃ、会ったばかりの、貴族の社会の事も礼儀も知らない俺なんかに、友達になって欲しいなんて言わないと思うんだ、王子様が。」



心、広。

………こいつは大物が現れた予感がするぜ…。

もしかして、ポンコツをどうにか出来る唯一の人材に育つ可能性を秘めてないか?




「因みに、マクリル様、バースは…?」

「え?Ωだけど…。」


エリオと視線を交わし、ぐっ、と手を握りガッツポーズ。
だよな。俺のクラスに来たってんだからその可能性は大だった。


「マクリル様…何て情の厚い…!
貴方のような誠実な方にこそ、王太子様のお傍についていていただきたい!!」

エリオが芝居がかった悪ノリを始めた。
いや、エリオだからもしかして本気かも。

俺も便乗。


「私達も…王太子様には、常々真実の友や愛を教えて下さる方が必要だと思っておりました。
それらをお知りになれば、きっと、あのような軽はずみな遊びに興じるなど、やめて下さる筈だと…!」


立ち上がってよろめいたりなんかしてみる。

「大丈夫か、セス!」

「エリオ…私達では、王太子様をお諫めする資格など…ありませんよ…ね…。」

「そうだな…王太子様にとっては…私達は、裏切り者…なんだろうから…。」

「でも、エリオ…。
見て下さい、こんな風に、お会いして間も無い王太子様を、心底案じて下さるお方が…!」

「ああ、本当に。
友の為にあんな風に抗議に来る程…。もう、マクリル様をおいて他には…!」



俺とエリオの小芝居に、え?え?と目を白黒しているストロベリー。

そして、エリオ、意外にもわざとだったんだね…。



「王太子様に寄り添えるのは、マクリル様。貴方だけ…。」

「マクリル様なら信用できる。」

俺とエリオに手を握られて、ストロベリーは いや、そんな…そう?と照れている。


「貴方ならきっと、荒れ果てた王太子様のお心を癒し、道を正して差し上げられます。」

俺は目をうるうるさせてダメ押しした。


「え、そんな…俺なんか…うん、でも、アレスの為に頑張ってみようかな。」

満更でも無い様子でやる気になってきたらしいストロベリー。



でも俺、結構マジで此奴ならイケると思います。





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