浮気を許せない僕は一途な彼氏を探しています

Q矢(Q.➽)

文字の大きさ
5 / 8

ドキドキ☆実践編 2(※R18)

しおりを挟む

「抱き上げていい?」

という荒川君に何とか思いとどまってもらい、(こういうとこが可愛くないのかな、僕…)と思いつつ、残念そうな彼に手を引かれてバスルームに移動。いや、そりゃ荒川君は僕よりは体格良いけど、僕だってそう小柄って訳じゃないから遠慮するよね。
脱衣所で、殆どはだけてしまって、留め残ってるボタンが2つくらいの僕のシャツを嬉し恥ずかしそうに脱がせてくる荒川君。貧相な僕の胸を見るだけで毎回顔を真っ赤にするくらい初心な癖に、よくもまああんな色っぽい風俗のお姉様を呼ぶ勇気を出せたもんだと妙に感心。好奇心から、

「ユマさんのおっぱい見た?」

と聞いてみたら、

「見てないよ」

と即答する荒川君。えぇ、一応風俗なんだろうにそんな事ある?と疑いの目を向けたら、慌てたように首と両手を振って言った。

「ほんとだよ。幾つかコスチュームは選べるって話だったけど、エステティシャンみたいな白いの着てもらってたし…」

「エステティシャン」

「…まあ、丈は短かったけど、別に他の人の足なんか見えても…」

言いながら微妙そうな表情になっていく荒川君。そして、何か思い出しているような仕草をしたかと思ったら、頭を振りながらこう言った。

「早霧の足なら、まあ嬉しいシチュだったかもしれないけど…」

「…」

やめて。頭の中で僕にソレ着せるのはやめて。いくら僕が女顔でもミニ丈の女装は流石にキツい。



曇りガラスのドアを開けると、中は湯気で温かい。バスタブには8割くらいに張られたお湯。何か溶かしてあるのか、薄くピンクがかっている。…ちょっと卑猥じゃない?と見ていたら、また手を引かれてシャワーの下に歩かされた。

「体、流すから少しの間立ってて」

「うん」

壁に向かって立たされて、温かいシャワーを肩から掛けられ体を濡らされる。人肌よりもやや温かいそれは、心地良かった。

「お湯、熱くない?」

「大丈夫、ちょうど良い」

「そか。じゃあ、洗っていくね」

荒川君の声がバスルームに響いて、僕はこくりと頷いた。軽く体を洗うだけだって言われたのに、何でこんなにドキドキするんだろ。
シャワーの温水に打たれながら少し待っていると、両わきの下から泡まみれの手が出てきた。荒川君の手のひらで泡立てられたボディソープが僕の平たい胸の上にまぶされる。ゆっくりぬるぬると円を描くように滑る彼の手は、僕のよりも大きくて気持ち良い。時折、突起に掠るから、その度にビクンと反応してしまう。

「…っ」

「早霧、気持ち良い?」

「ん…うん…アッ…」

「可愛い」

かぷっと後ろから耳介を食まれて、一瞬息が止まる。背中に荒川君の胸板が密着してる。降り注ぐ温いシャワーで濡れた肌同士が摩擦なく滑りあって、気持ち良い。彼の、泡でヌルついた指先2本で乳首を弾かれて、摘まれて、思わず鼻から声が抜けた。

「…ァ…」

「可愛い…綺麗。好き…好きだよ、ほんとに好き。死ぬほど好き。他の誰も目に入らないくらい、夢中なんだ」

「あっ、あん…あ…ッ」

思い詰めたみたいに苦しそうな、切なくて甘い彼の声。僕はこの、低過ぎないソフトな声がすごく好き。
そんな声で囁かれながら乳首を甘やかされたら、脳みそがぐちゃぐちゃに蕩けちゃうよ。

「…あ、あ…」

下半身も反応してきた。もう立ってられない。

僕は魚のようにはくはく口で息をしながら、肩越しに彼に視線を送る。

「だめ…だめ、もう…」

彼が息を飲んだのがわかった。

直後、彼による優しくも激しい手淫が始まり、数分。僕は自分の白濁がシャワーの温水と共に排水溝に流れていくのを見た。

2度目の射精で脱力した僕は、今度こそお姫様抱っこでバスタブに運ばれた。バスタブの中では荒川君の膝の上に座らされて、頬や唇に何度もキスされて、とにかく雰囲気が甘い。でも2人きりの時に荒川君が僕に砂糖菓子みたいに甘い波動を当ててくるのは毎度の事なので、されるがままに享受。お尻の割れ目や頬っぺに硬いモノが当たりっ放しで、今すぐにでも突っ込んで欲しいなんて思ったけど、『後で解してから』と、止められた。彼は性にも遅咲きで疎かったけれど、僕を好きになってからは疎いなりに男同士のセックスについても色々調べてくれたらしく、決して僕を傷つけるような無茶はしなかった。最初から自分の快感を優先せず、受け手の負担に目がいく男って、実はそう居ない。その点も、僕が彼を将来有望だと考えた理由のひとつだった。
荒川君は忍耐強い。

好きだからこそ、大事に抱きたいのだと行動に表してくれていた。
それは、がっついてくるだけの今までの元カレ達とは一線を画している部分だった。
そんな彼だったからこそ、『彼は違うかもしれない』といつにない期待をした事を、僕は思い出したのだ。







浴槽から出て、体を拭かれて、ボーッとしてる間に洗われた髪を乾かされた僕は、やっぱりボーッとしている間にバスタオルが敷かれたベッドの上にうつ伏せに寝かされていた。裸だけど腰とお尻の上にはタオルが掛けられてる。

僕が心地良く枕に顔を半分埋めてぼんやりとしている横で、荒川君は何かゴソゴソやっている気配。よくわからないけど、今日はもう完全にイニシアチブ持ってかれたから全面的にお任せだと思っていた僕は、目を閉じたまま待つ事にした。
でも早くしてくれないと寝ちゃいそうだなぁ、なんて思いながら。

暫くして。

「リラックスしてて」

と声がしたかと思うと、ぬめっと温かい何かが僕の左足に触れた。それがオイルのついた荒川君の手なんだとはすぐに気づいたけど…さっきのフェザータッチとはまた違う感触なんだなと不思議な気持ちになる。いつもは遠慮がちに僕に触れてくる彼の手が、こんなに大胆に皮膚を撫で上げているのも新鮮だ。
体温の高い大きな手が、時折ぐっぐっ、と軽く力を込めたり、押し上げるように肌の上を滑ったりするのは性感に関係無く気持ち良くて、姉や叔母達がエステ通いしてる理由がわかる気がする。

「ん…ふぅ…じょうず、だね…」

と、思わず吐息混じりに褒めると、一瞬ピタッと手の動きが止まる。どうしたんだろうと待っていると、

「ほんと?嬉しい」

と荒川君の声がした。

「僕、マッサージなんて初めてだけど、すごく気持ち良いんだね」

いや、これ本心。実は、信じたいとは思ったけど、こうして実際に受けるまでは半信半疑なところもあったんだ。でも、これはマジだね。だってこんなに気持ち良い。行き当たりばったりではできないでしょ。

「早霧にそう言ってもらえたら、頑張った甲斐があった」

少し弾んだような荒川君の声に、ふっと頬が緩む。そうだよね。純朴で初心で僕の事でいっぱいいっぱいな彼に、他の人と浮気なんか出来る訳無いよね。

そう思いながら、僕はご機嫌で荒川君のマッサージを純粋に堪能していた。  

そう。まだ余裕があったのだ。
この時までは…。





しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

処理中です...