知らない内に番にされ婚約させられたにも関わらず、本日婚約破棄を言い渡されたが俺はそれを甘んじて受ける

Q矢(Q.➽)

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未来編 思春期くん。 1 (丞)

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「絶対ヤだ。」
「なんでだよ!!?」
「父さんには会わせたくない!!」
「だからなんでだよ!!??」
「執拗い!!」



形の良い目をきつく眇め俺に向けてプレッシャーを与えてくる、まだあどけなさを残す端正な顔立ち。


今年高校に上がったばかりの息子、葵である。


その後ろのカウチに座って眉間を指で抑えて溜息を吐いている洸さんは呆れたように俺を見て言った。


「全く…。丞、君は少し落ち着きなさい。」
「えっ、俺?!」
「…親が冷静じゃなくて何の話が出来るんだ。」
「……はい。ごめんなさい。」
「フッ…。」
「…葵、お前な…」
「葵、やめなさい。」 
「ごめんなさい。」


…ここまでの流れで大体力関係が把握出来たと思うんだが、ウチは奥さんの絶対君主制である。

そして現在、反抗期真っ只中(俺にだけ…)の葵との親子喧嘩真っ最中。

その原因は…。



「とにかく児玉は絶対父さんには会わせないから。」


ふと葵の口から漏れた、好きな子情報。


親ならば少し興味を持つのは当然じゃないか…。
しかも、その横で洸さんは、

「ああ、児玉君か。良い子だな。」

と、既に見知っている様子。

え、俺だけハブなの?

「えっ…洸さん、知ってんの?」
「いやまあ…よく来る友達の中にいるし…。」

たまにご飯も食べてくらしい。

え、ほんと…なんで?
俺は中学校以来、葵の友達を見た試しがないんだけど。



「友達に父さんを会わせたくないし、児玉には絶対絶対、会わせない!!」

何故か不機嫌な葵はもう会話は終了とばかりに、フーッとまだまだ子猫の威嚇のようなプレッシャーを出して2階に駆け上がって行ってしまった。

何も言えず呆然とする俺。
ヤレヤレ、と首を振る洸さん。

えー…なんでぇ…。





「だいたい君はせっかちなんだよ。」

ぬるくなったコーヒーを淹れ直してくれながら、マイプレシャスハニー洸さんは苦笑いする。

「葵はなんで俺にあんなにキツイの…。」

はぁ…。小さい頃はあんなに、おとうさんおとうさん!って慕ってくれてたのに。

初めて会った時には肩車をせがまれ、一気に打ち解けてからというもの、おとうさんみたいなカッコイイ‪α‬になりたい!って俺の真似ばっかしてたフェアリーが…。

連れて歩けば、パパそっくりね~って言われて、嬉しそうに照れていたラブリーエンジェルが。

今や、洸さんの身長と並ぶほど。
数年の内には俺に追いつく勢い。

全くもって可愛くな…
…いや、やっぱ可愛いな。



「君が執拗いからだろ。」
「ヒェ…、」

ぐぬぬと内心葛藤している俺にも洸さんは容赦無い。切な…。

「だって、洸さんの言う事は素直に聞くのにさ…俺には冷たいじゃん。
俺ってそんなに、友達に知られたくない親なのかなあ…。」

言いながら凹む…。

「そんな訳無いだろ。」

洸さんはそんな俺を慰めるように背中をぽんぽんしてくれた。
この安心感…。流石俺の洸さん。

歳を重ねるほどに色気が増すので正直しんどい。
若い頃より性格も丸くなったせいか、落ち着いた物腰と優しげな眼差しで、インテリイケおじとか言われて、Ωながらも町内の奥様方や歳上好きの男性陣に密かな人気だって、南くん言ってたよ!?
(訳:浮気しないでね…。)


「俺は在宅仕事だから、葵の連れてきた子達と顔を会わせる事もあるってだけだ。それだって、仕事が押してる時には部屋から出られないし、そんなに会ってる訳でもないぞ。
それにしても、友達にも会わせたくないってのは…確かに妙ではある、よな。」
「……。」


俺ってそんなに父親失格なのかなあ…、と、肩を落とす。

「あまり気に病むな。何か、葵なりの事情があるんだろう。」

優しい手に髪を撫でられ、波立っていた心が徐々に凪いできた。

「事情…?そうかな…。」
「そうさ。君ほどの男が父親なら、俺なら
誇りたいぞ。まあ…」

俺は自慢の旦那の方が良いけどな、と頬にキスしてくれる。

「!!?!? こ、こここ洸!!!」
「盛るな。まだ昼間だ。」

嬉しくて抱きつこうとしたら、

「さて、もう一仕事…。」

と、立ち上がって避けられた。

ひどい…。 

くそっ、翻弄されるの気持ちいい…。


「とにかく、葵の交友関係には必要以上に触れないように。」

そう言って、リビングを出ていこうとしてドアの前で振り返る洸さん。

何だろう?と見ていると、無言で自分の結婚指輪に口付けて、流し目で此方を見、にっ と蠱惑的に目を細めた。


「~~~~~!!!!!」


今夜はOKの合図。



死にそうに勃った。




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