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兄弟 ( 颯 ※少しR18描写あり。)
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(そういやニィ、今日からあのコンビニでバイトなんだっけか。)
当面部活も無く、高校から直で帰宅した俺は
玄関で手を消毒してる時にふと、今朝兄が言ってた事を思い出した。
羽田 颯、16歳。
高校生にもなって、ニィ、と幼い頃からの呼び方が直せない。
というか、面倒で敢えて直さない。
呼ばれた兄も特に気にしてはいない。
友人達に、その年頃の男兄弟にしてはかなりベタベタしてるな、とドン引きされるくらいには、俺達は距離の近い兄弟だが、
仲良しなのは事実なので何も知らない他人には好きなように言わせておく。
玄関でリュックとスマホとサイフを一通り消毒した後、それらを置きっぱにしてバスルームに直行する。
外して捨てたマスクに消毒スプレーを吹き、制服のワイシャツを洗濯機に放り込み、下着まで脱いだ時、ふと ニィ、と呼んだ時に「ん?」と流し目で一瞥してくる兄を思い出してずくん、と股間が脈打った。
指を伸ばす。
ここ数年、バスルームでの自慰が習慣化していた。
兄の視線は色っぽい。
シュッとしてて切れ長、なのによく見ると奥二重。
俗に言う、三白眼と言うやつなのか、黒目が小さく見える。でも青みがかった濁りない白目に浮かぶその瞳は黒曜石のように煌めいて、綺麗だ。
他人は兄を地味だのモブだのと言うが、ああいうタイプの目が顔立ちから浮かずに綺麗に見えるという事は、他のパーツも決して悪くはなく、寧ろ整っているという事ではなかろうか。
鼻筋だって通っているし、薄い唇は形が良い。そして顎クイしやすそうな細い頤。
特別手入れしている訳でもない筈なのに、荒れ知らずの滑らかな肌理細かい肌。
これを捕まえてモブ呼ばわりする連中の目は節穴だらけだ。
だけど兄の美点に気づく人間は、より少ない方が俺にとっては都合が良い。
実際の話、兄は結構モテている。
厄介な事にこの間までは彼女もいたし、この先もおそらく、できるだろう。
見た目が冷たそうに見える割に、性格が優しく親切なのだ。
そのギャップにやられた女子達に告白されて結構な頻度で付き合うのに、短いスパンで別れているのは、多分兄が真面目過ぎるからだ。
キス以上の性的欲求に応えない。
兄は責任の取れない事はしない男だ。
でもそれが彼女達を不安にさせて、結果振られるという短期スパンに繋がっているであろう事は、兄本人に確認せずとも容易に想像がついた。
俺は兄を世界一理解しているからだ。
俺と兄は年子の兄弟だが、ひとつしか変わらないというのに、小さな頃から兄は頗る兄だった。並の大人よりも冷静で、常にメンタルがフラット。
なろう小説でよく見るような、人生何周目かしてそうな幼児だった。
一方俺はと言えば、見た目だけはかなり可愛く生まれたので周囲にチヤホヤされ過ぎたのがいけなかったのか、とにかく我儘で癇癪持ちに育った。
俺と兄は最も近い血筋でありながら、容姿も性質も正反対の兄弟だった。
思い返してみても、かなり手のかかる厄介な子供だったという自覚はある。
そういう子供に向き合うのは、それなりに経験を積んだ大人であっても骨が折れる。
実際、共働きで多忙だった両親は俺が小学校に上がる頃には早々に俺を見限ったのか、俺を同じように年端も行かない兄に丸投げしたし、シッターは何人替えても続かなかった。
結局、両親が通いのハウスキーパーのみを雇ったので大人が不在がちであっても家の中は整っていたし、物質的にも不自由した事はない。
俺には兄さえいれば不満はなかった。
兄がどう思っていたかは、わからない。
今思えば、俺達はギリギリのネグレクト兄弟だったのかもしれない。
毎日一緒に風呂に入って、小さな手で髪を洗ってくれた兄。
熱を出せば、自分も学校を休んでそばにいてくれた。汗ばんだ体を拭いてくれて、着替えさせてくれて、冷えピタを貼り替えてくれて、子供用の踏み台に乗ってキッチンに立ち、レトルトのお粥をあっためてくれて…。
俺は兄の献身と愛情を一身に受けて育ったが、兄の子供時代は俺の犠牲になったようなものだ。
俺達は、いつでもこの家に2人きりだった。
兄だけが俺の親であり兄弟であり友人であり恋人であり、神だった。
その神がまだ自分と同じ年頃の子供で、誰かのサポートを必要としていたのかもしれないなんて、甘ったれの俺は考えた事すらなかった。
依存は歳を重ねるごとに深くなっていったが、兄がそれを拒否する事はなかった。
でも、恐らく性欲は…。
俺に甘いと言っても兄は本来、至極真っ当な人間なのだ。
こればかりは、まだ知られる訳にはいかない。
感謝、信頼、親愛、依存、執着、独占欲。
今ではそれに加えて、もっとずっと重く暗い感情がある。
えも言われぬ飢餓感がある。
認める。
俺は兄が欲しい。
生来貪欲な俺は、血の繋がった実の兄の心も体もその人生まるごと呑み込みたいのだ。
俺はきっと、兄を追う為に生まれてきたに違いない。
一昨日見たばかりの、風呂上がりの兄の肩甲骨の滑らかさが目に焼き付いている。
細身に見えてしっかりついた胸筋、締まった腹筋、女とは違う曲線を描く腰のカーブ。
(…掴みたい…。)
がっしりと、両手で。
壁に向き合って額を預け、自分の屹立を激しく追い込むと一際膨張したのを感じる。
大量の先走りがヌルついて指が濡れ、摩擦の快感が増した。
内股が痙攣する。
「…ハアッ……さこん…」
口を衝いて出る、この欲望の向かう先。
脳を突き抜けるような感覚と同時に噴き出していく白濁。
汚い俺の欲望の象徴。
俺は兄をこれで穢し、満たしたい。
だけど、それが常識的に考えて異常な事だという事もわかってる。
そして、生真面目でまともな感覚の持ち主である兄がそれを受け入れないであろう事も。
だからこそ、時間が要るのだ。
じわじわとゆっくり、兄の感覚を俺の毒で麻痺させる、時間。
何時の間にか俺の塒の中に巻き込み、後戻りすら考えられなくなるような刷り込みの時間が。
欲望の余韻がシャワーの水に流され排水溝に吸い込まれていく。
罪悪感が、…無い訳では、なかった。
別に兄でオナった事に対してじゃない。
兄の内ではない場所に無駄打ちした事への罪悪感だ。
これは遊びで女の子を抱いた後にもよくある感傷だけど、適度に発散しとかないととんでもない事をしてしまいそうだから仕方ない。
(ニィ…。)
落ち着いてきた体をぬるいシャワーにうたせながら目を閉じるとまぶたの裏に今朝見た兄の横顔が浮かぶ。
この世界の何処にいたって見つけ出せる自信がある。
どれだけの中に紛れたって。
兄に似た人なんて他にはひとりもいない。
兄が地味でモブだなんて誰が言ったのか。
何十億の人間とそれ以上の生命が息づくただっ広くつまらないこの世界で、 いつだって兄だけが美しく煌めいている。
当面部活も無く、高校から直で帰宅した俺は
玄関で手を消毒してる時にふと、今朝兄が言ってた事を思い出した。
羽田 颯、16歳。
高校生にもなって、ニィ、と幼い頃からの呼び方が直せない。
というか、面倒で敢えて直さない。
呼ばれた兄も特に気にしてはいない。
友人達に、その年頃の男兄弟にしてはかなりベタベタしてるな、とドン引きされるくらいには、俺達は距離の近い兄弟だが、
仲良しなのは事実なので何も知らない他人には好きなように言わせておく。
玄関でリュックとスマホとサイフを一通り消毒した後、それらを置きっぱにしてバスルームに直行する。
外して捨てたマスクに消毒スプレーを吹き、制服のワイシャツを洗濯機に放り込み、下着まで脱いだ時、ふと ニィ、と呼んだ時に「ん?」と流し目で一瞥してくる兄を思い出してずくん、と股間が脈打った。
指を伸ばす。
ここ数年、バスルームでの自慰が習慣化していた。
兄の視線は色っぽい。
シュッとしてて切れ長、なのによく見ると奥二重。
俗に言う、三白眼と言うやつなのか、黒目が小さく見える。でも青みがかった濁りない白目に浮かぶその瞳は黒曜石のように煌めいて、綺麗だ。
他人は兄を地味だのモブだのと言うが、ああいうタイプの目が顔立ちから浮かずに綺麗に見えるという事は、他のパーツも決して悪くはなく、寧ろ整っているという事ではなかろうか。
鼻筋だって通っているし、薄い唇は形が良い。そして顎クイしやすそうな細い頤。
特別手入れしている訳でもない筈なのに、荒れ知らずの滑らかな肌理細かい肌。
これを捕まえてモブ呼ばわりする連中の目は節穴だらけだ。
だけど兄の美点に気づく人間は、より少ない方が俺にとっては都合が良い。
実際の話、兄は結構モテている。
厄介な事にこの間までは彼女もいたし、この先もおそらく、できるだろう。
見た目が冷たそうに見える割に、性格が優しく親切なのだ。
そのギャップにやられた女子達に告白されて結構な頻度で付き合うのに、短いスパンで別れているのは、多分兄が真面目過ぎるからだ。
キス以上の性的欲求に応えない。
兄は責任の取れない事はしない男だ。
でもそれが彼女達を不安にさせて、結果振られるという短期スパンに繋がっているであろう事は、兄本人に確認せずとも容易に想像がついた。
俺は兄を世界一理解しているからだ。
俺と兄は年子の兄弟だが、ひとつしか変わらないというのに、小さな頃から兄は頗る兄だった。並の大人よりも冷静で、常にメンタルがフラット。
なろう小説でよく見るような、人生何周目かしてそうな幼児だった。
一方俺はと言えば、見た目だけはかなり可愛く生まれたので周囲にチヤホヤされ過ぎたのがいけなかったのか、とにかく我儘で癇癪持ちに育った。
俺と兄は最も近い血筋でありながら、容姿も性質も正反対の兄弟だった。
思い返してみても、かなり手のかかる厄介な子供だったという自覚はある。
そういう子供に向き合うのは、それなりに経験を積んだ大人であっても骨が折れる。
実際、共働きで多忙だった両親は俺が小学校に上がる頃には早々に俺を見限ったのか、俺を同じように年端も行かない兄に丸投げしたし、シッターは何人替えても続かなかった。
結局、両親が通いのハウスキーパーのみを雇ったので大人が不在がちであっても家の中は整っていたし、物質的にも不自由した事はない。
俺には兄さえいれば不満はなかった。
兄がどう思っていたかは、わからない。
今思えば、俺達はギリギリのネグレクト兄弟だったのかもしれない。
毎日一緒に風呂に入って、小さな手で髪を洗ってくれた兄。
熱を出せば、自分も学校を休んでそばにいてくれた。汗ばんだ体を拭いてくれて、着替えさせてくれて、冷えピタを貼り替えてくれて、子供用の踏み台に乗ってキッチンに立ち、レトルトのお粥をあっためてくれて…。
俺は兄の献身と愛情を一身に受けて育ったが、兄の子供時代は俺の犠牲になったようなものだ。
俺達は、いつでもこの家に2人きりだった。
兄だけが俺の親であり兄弟であり友人であり恋人であり、神だった。
その神がまだ自分と同じ年頃の子供で、誰かのサポートを必要としていたのかもしれないなんて、甘ったれの俺は考えた事すらなかった。
依存は歳を重ねるごとに深くなっていったが、兄がそれを拒否する事はなかった。
でも、恐らく性欲は…。
俺に甘いと言っても兄は本来、至極真っ当な人間なのだ。
こればかりは、まだ知られる訳にはいかない。
感謝、信頼、親愛、依存、執着、独占欲。
今ではそれに加えて、もっとずっと重く暗い感情がある。
えも言われぬ飢餓感がある。
認める。
俺は兄が欲しい。
生来貪欲な俺は、血の繋がった実の兄の心も体もその人生まるごと呑み込みたいのだ。
俺はきっと、兄を追う為に生まれてきたに違いない。
一昨日見たばかりの、風呂上がりの兄の肩甲骨の滑らかさが目に焼き付いている。
細身に見えてしっかりついた胸筋、締まった腹筋、女とは違う曲線を描く腰のカーブ。
(…掴みたい…。)
がっしりと、両手で。
壁に向き合って額を預け、自分の屹立を激しく追い込むと一際膨張したのを感じる。
大量の先走りがヌルついて指が濡れ、摩擦の快感が増した。
内股が痙攣する。
「…ハアッ……さこん…」
口を衝いて出る、この欲望の向かう先。
脳を突き抜けるような感覚と同時に噴き出していく白濁。
汚い俺の欲望の象徴。
俺は兄をこれで穢し、満たしたい。
だけど、それが常識的に考えて異常な事だという事もわかってる。
そして、生真面目でまともな感覚の持ち主である兄がそれを受け入れないであろう事も。
だからこそ、時間が要るのだ。
じわじわとゆっくり、兄の感覚を俺の毒で麻痺させる、時間。
何時の間にか俺の塒の中に巻き込み、後戻りすら考えられなくなるような刷り込みの時間が。
欲望の余韻がシャワーの水に流され排水溝に吸い込まれていく。
罪悪感が、…無い訳では、なかった。
別に兄でオナった事に対してじゃない。
兄の内ではない場所に無駄打ちした事への罪悪感だ。
これは遊びで女の子を抱いた後にもよくある感傷だけど、適度に発散しとかないととんでもない事をしてしまいそうだから仕方ない。
(ニィ…。)
落ち着いてきた体をぬるいシャワーにうたせながら目を閉じるとまぶたの裏に今朝見た兄の横顔が浮かぶ。
この世界の何処にいたって見つけ出せる自信がある。
どれだけの中に紛れたって。
兄に似た人なんて他にはひとりもいない。
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