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第三章
265話目
しおりを挟む「お招きに預かり光栄だわ」
「春子さんようこそー」
「早速どこに行くか選ぼうか」
夕方の早い時間帯に春子さんが転移門を使用しやって来た。
幌馬車の中だと他の人も利用するので私の家へと移動する。
ソファーに腰かけてもらい暖かい飲み物をテーブルに置く。
「ほうじ茶どうぞ、熱いので気を付けてくださいね。 あ、オーフェンさんは良かったんですか?」
一応オーフェンさんも来るか声掛けはした。
いつも一緒に居るからね。
「ありがとう。 寒い日はほうじ茶美味しいわよね。 今日は女子会でしょ? 私は遠慮するから春子は楽しんできてください。 ですって」
湯呑を手に取りずずっとお茶を啜る春子さん。
灯里は少し冷ましてから飲むようだ。
「次回はオーフェンさんも一緒に行けるようにしましょう」
「ありがとう、桜さん」
にこりと微笑む春子さん。
「さてと、どこにします?」
私と春子さんの話が終わるのを見て灯里がパンフレットをテーブルの上に並べる。
「季節は夏が良いかしら。 最近寒くて暖かいのが恋しいのよね」
窓から外の景色を見れば雪がちらついていた。
「となると半露天のお風呂がついているところが良いかな?」
「夏場の露天風呂は虫があれだからね」
私と灯里がそう話すと、
「魔道具使えば虫よけ出来るんじゃないかしら?」
「そうだった。 しまった!! 選択肢が広がった!!」
春子さん話で選択肢が広がった。
「となったら逆に露天風呂の方がいいかな?」
「そうだね、夏の日差しを浴びながら虫を気にせずに楽しめるもんね」
「となると部屋は洋室? 和室? 」
「和洋室がいい。 和室にベッドがあるタイプ」
「畳良いものね」
しみじみと頷く春子さん。
そうやってそれぞれの希望を聞いていき行く旅館が決まった。
日付と氏名を入力し移動する。
到着した場所は落ち着いた雰囲気のロビーだった。
辺りをきょろきょろしていると宿の人に案内されお茶と茶菓子が出された。
そのままチェックインを済ませ部屋へ移動する。
この宿は客室が全部で十数部屋と少なく全体的に落ち着いている。
窓から見える景色も自然にあふれ、陽の光を反射しなんとも居心地がいい。
部屋に到着すると鍵を差し入れ開錠する。
靴を脱ぎ部屋に上がると、
「ついたて?」
灯里が声を上げた。
「本当ね、珍しい」
その奥をひょいと覗けば
「襖の他に扉があるね」
奥に襖があり右側にも扉があった。
「右の扉は寝室ね」
寝室には希望通りの和洋室の寝室があった。
襖を進むと主室がある。
主室の奥には庭を望める小部屋があった。
「ここ凄く良い。 景色最高!!」
灯里がはしゃいでいた。
私は押入れを覗き込み浴衣を探す。
「灯里、春子さんここ浴衣じゃなくて作務衣です!! 珍しい!!」
「作務衣? 浴衣じゃなくて?」
「あら、良いわね」
三人してさっさと着替えたくなりお風呂を頂くことにした。
入り口は言って左側。
そこにはトイレと浴室への入り口があった。
「桜……ここ凄い」
「私も思った」
浴室への入り口を開けると短いけれど廊下があった。
そこを進むと洗面台があり扉が二つあった。
「内風呂と露天風呂だ」
「内風呂も半露天なのね」
内風呂はヒノキで出来ており大きな窓が設置されていて外の景色が堪能できた。
「お湯入れちゃいますね」
「お願い」
浴槽は空だったので蛇口をひねりお湯を出す。
お湯を張る間に外へと出た。
「……素敵ね」
「魔道具設置しておこう」
生垣で囲われた真ん中に屋根付きで円形の露天風呂が設置されていた。
アイテムボックスから虫よけの魔道具を取り出し設置した。
「この魔道具凄いね」
灯里が改めて魔道具の効果を褒める。
「ね、さっきまで飛んでいた虫が居なくなったね」
「どこまで効果があるのかしらね」
「そこら辺は検証してもらおう」
内風呂のお湯が溜まると三人でお風呂を堪能した。
ようやく人心地付いて主室の隣にある庭が見える小部屋でくつろいだ。
「それで話って何かしら?」
温泉の感想や宿の感想を言い合っていると春子さんが話を切り出した。
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