高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

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第二章 変わりゆく日常

26話目 上級回復薬

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夏休み



試験の様子を見ていた娘が告げた。

「この子は合格」




探索者の募集は全国から応募者が殺到し、応募総数は200万を突破したとニュースが報じられた。

そして……

「どや」

「その擬音口で言っちゃうんだ」

姉は見事にその難関を突破した。
そしてどや顔である。

正確な合格者の数は発表されてないが、テレビの予想では数十人ではないかと言われていた。

「数十万分の一……」

「それが私、褒めたたえても宜しくてよ」

「断る!!」

「褒めたたえてよ!!」

姉に泣きを入れられた。
スライム騒動があり、即募集開始され、7月中旬には合格者が発表された。
政府にしてはとても素早い動きである。


それもそのはず……。

世界各国があのスタンピード以降ダンジョンの探索に乗り出したからだ。
日本だけ取り残されるわけにはいかないとかなんとかかんとかそんな思惑が見え隠れした。
他の国では既に下級回復薬は発表され研究に回された国もあるみたい。
……日本はどうなのか分からないけどね。
取り上げたやつとかどうなったのか、音沙汰なしだもん。

「お姉ちゃんだけダンジョン探索ってずるい」

「優奈はまだ16でしょ」

「ぶー」

そんなことを言いながら花壇の手入れを行う。
姉もスライム祭りで大学が早めに夏休みに入り家に居るようになった。

「ほら機嫌治して。 今日はアレ作るんでしょ?」

「うー……そうだった」

姉と一緒に草むしりを続けて2カ月。
種が足りなさすぎて、家の庭に栄養剤を撒いて雑草を生やそうとしたら、母に雑草生やすなと叱られたりしながらついに目標の数に届いた。

ちなみに、適応した植物の種は分解できなかった。
該当するのは最初に育ててたア行シリーズの草達だ。
雑草は出来たのに不思議だね。

だから必要な草の種地道に増やし、近隣の草は根こそぎむしってしまったので草むしりの遠征を行い、栽培するのに足らなくなった花壇を増築し、ホームセンターで買ってきた土をディトルグ国の物に変え、姉のMPを幾度となく使い果たし、ようやく下級回復薬の数がそろった。

野菜とかも適応したら雑草になった。
お金がもったいないからやったのは一回だけ、それ以降はやめた。

「下級回復薬100本。 部屋で試そう!!」

「おー!!」

部屋に戻り今摘み取って来た草をテーブルの上に置いた。

「『適応』 」

ちゃちゃっと下級回復薬を作る。

テーブルの上から転げ落ちそうになったので慌てて手で止めた。

「危ない危ない、セーフ」

「気をつけてね」

全て下級回復薬で取っておくには場所が必要になってしまう。
なので下級回復薬が10本出来た時点で中級回復薬に変えていた。

中級回復薬の鑑定結果は深い切り傷、骨折を治す、と言う物だった。
どの程度深い切り傷なのか分からないけど、使う機会が無いといいと深く思う。

中級回復薬の色は深い青。 下級が鮮やかな青なら、中級はそれの色彩を濃くした青。
上級はどうなるのか楽しみだ。

そして今作った下級回復薬で最後の1本。

中級回復薬が10本揃った。

「お姉ちゃん、心の準備はいい?」

「いつでもいいよ」

「なら『上位交換』」

中級回復薬10本が1本の液体に変わった。

それは深い青に星屑をまぶしたような輝きを放っていた。
鑑定してみると、千切れた手足を再生できる、となっていた。 
くっつけるんじゃなくて再生?! 切り離した手足はどうなるの?! 千切れたまま?

「……綺麗だね」

私が鑑定結果に驚いているとうっとりしたような姉の声が聞こえた。
見ると姉が上級回復薬を手に取り光りを透かして見ている。
その隣で同じように液体を覗き込む。 確かに綺麗だ。

「……上級回復薬の上ってあるのかな?」

姉が見惚れているのと裏腹にそんなことが気になった。

「今それ考えること?! これ10本作るの?!」

「お姉ちゃんならきっとできる!!」

「私任せか!!」

応援したのに怒られた。

冗談はさておき花壇で引き続き草の栽培頑張ろうと思った。

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