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第三章 進路とダンジョン攻略
59話目 姉との学祭2
しおりを挟む6人で回ることになった学祭は楽しかった。
動画でストーカー気質の片鱗を見せていたアキラさん……高橋さんは五十嵐さんのスリーサイズもきちんと把握していて五十嵐さんをドン引きさせていた。
それでいて五十嵐さんは、さりげなく高橋さんと私と姉の間に立ち壁の役割を果たしていた。
とても紳士だと思いました。
話を聞きながら学内を歩く。
それで判明したことは五十嵐さんは姉と同い年らしい。
配信メンバーの林さん、高橋さん、庄司さんも同い年とのことだ。
林さんは配信メンバーのまとめ役、見た目の印象は短髪で配信中は掛けていなかった眼鏡をかけており真面目な印象だ。
高橋さんは、髪の毛が耳にかかるくらいの長さで少しチャラそうに見えた。
飄々とした印象で掴みどころが分からない。 ボケがボケだと認識しずらくよく分からないや。
庄司さんは髪の長さは林さんと高橋さんの間ぐらい。 元気な印象を受けた。
学部は理系学部ではなく経済学部らしい。
五十嵐さん以外は目下就活中とのことだ。
あの動画配信が流行ったおかげで3人で配信者を続けようか迷い中らしい。
「メインステージまでざっと歩いてきたけど何か見たいものはあるかな?」
林さんが私に気を遣って尋ねてくれる。
メインステージは野外にあり、特設ステージが組み立てられていた。
舞台袖には今日のタイムスケジュールが書かれた立て看板が設置してある。
どうやら次の催し物は自由参加のペア対抗クイズみたいだ。
「よし!! 五十嵐。 メインステージ突入だ!!」
「は?」
「俺と一緒に行こうぜ!! 参加者募集中だってよ!!」
丁度メインステージではペア対抗戦のクイズが始まるところで、参加者募集中だった。
それを高橋さんが目ざとく見つけ五十嵐さんに声を掛けると庄司さんが肩を組んで連行していった。
「五十嵐、負けたらチャーシューマシマシのラーメンな」
「は?」
姉が五十嵐さんにそう声掛けをする。
「庄司、負けたら次の配信でカフェテリアの1日5組限定の季節限定デラックスパフェ気持ちマシマシ一気食いな」
「……五十嵐、負けられない戦いになったな」
「お前だけな」
林さんが庄司さんにそう声掛けすると庄司さんはとても真剣な顔つきになった。
五十嵐さんににべもなく切り捨てられた。
私はカフェテリアの季節限定デラックスパフェ気持ちマシマシがとても気になった。
2人の参加を見守るついでに残された私達は空いている席に腰を下ろした。
席順は左から高橋さん、林さん、姉、私だ。
ここまで来る途中で貰った学校のパンフレットと学祭のパンフレットを膝の上で広げる。
どこを見たいか確認しなきゃ。
「お姉ちゃん五十嵐さんに厳しくない?」
「五十嵐とはそういうものだ」
姉は深く頷きながらそう言った。
そう言うものとはどういうものだろう、疑問だけが残った。
仲が良いんだね。 私の中でそう結論付けることにした。
結局庄司さん、五十嵐さんコンビは負けて五十嵐さんは出店のラーメンを姉に奢ることになった。
私にもごちそうしてくれた、とても律儀な人だと思った。
庄司さんは次の配信でパフェ企画らしい。
ちょっと楽しみだ。
メインステージを楽しんだ後はきちんと案内をしてくれた。
3号棟が研究棟らしい。
そちらまで案内してくれて研究室を見て回る。
薬品の独特な香りはしない。
隅々まで手入れが行き届いていて、光も入り建物の中はとても綺麗だ。
展示物がメインなので人の入りはまばら。
メモ帳を片手に研究内容をメモしていった。
展示物の案内をしてくれる人達も人が少ないからか雰囲気も良く凄く丁寧だった。
家からも電車で行ける距離だし良いかもしれないなと思いながら見学していった。
午後になり、そろそろお開きな時間帯になった。
「案内してくれてありがとうございます」
「いえいえ、参考になったなら良かったよ。 うるさくしてごめんな」
4人を代表して林さんが答えてくれる。
むしろこちらこそありがとうと言いたい。
一緒に居てくれたおかげで姉に向けられた視線が逸らされたからだ。
声掛けも最初のバス以降一度もなかった。
多分大人数で居たから声を掛けづらかったのだろうと思う。
「優奈、そろそろ帰ろうか」
「うん」
そう言って4人と別れる際、姉と私に向かって五十嵐さんが小声で話しかけてきた。
「……動画配信者に気を付けろ。 俺もこの間から付けられてるみたいだ」
「……炎上系? めんどくさいわね」
「俺だけじゃなくこいつらも話聞かれたみたいだから橘妹も気を付けろ」
こいつらと言いつつ親指で3人を指さす五十嵐さん。
厄介な人に目を付けられたみたいだなと他人事で思っていたら、私も気にしなきゃいけない事らしい。
「え? あ、分かりました。 ありがとうございます」
「……姉のようになるなよ」
「言い方よ」
お姉ちゃんが五十嵐さんに何をしたのか気になったがスルーすることにした。
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