高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

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第四章 それぞれの生活

89話目 優奈の行方

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「ここ……どこ?」

私はただいま白い壁と毛足の長い触り心地の良い絨毯が敷かれた部屋の中に居た。
広さは高校の教室程。
この部屋にはソファーやテーブルもあるがテレビやエアコンと言った電化製品は見当たらない。
なんていうかヨーロッパの洋館のような部屋だなと思った。

なんで私は絨毯の上に座り込んでるんだろう?
そんなことを思いながら立ち上がった。

部屋には私以外誰もいない。

「うーん……お姉ちゃんは? あれ? 亘理さん見送ってたんだよね? あれー?」

瞬きの瞬間のような暗闇が一瞬だけあり、その次に目に飛び込んできたのがこの部屋だ。

「スマホスマホ……うそ……持ってない?!」

スマホで取りあえずお姉ちゃんに電話しようと思いポケットをまさぐったが、私のスマホは無情にもリビングのテーブルの上だった。

それどころか着の身着のままである。

持ち物は今着ている服と靴のみ。

流石にまずいと思ったら扉が開いた。

「ミーリア様、落ち着いてくださいめー」

「ユースケユースケ連れてきたヨ」

「分かった分かった、押すなミーリア」

扉から現れたのは角を生やした女の子に背中を押された父となんだか可愛らしい御爺さんだ。

「……お父さん?」

「優奈!! 会いたかったよ!!」


私と目が合うと父は花が咲いたような笑顔になり抱きしめてきた。

ぐはっ。

ぎゅーっと抱きしめられ苦しさから背中をタップする。

「あぁ、すまんすまん久しぶりだな優奈」

「久しぶりー……だけどここどこ?」

父に会えて嬉しい、けれども今は困惑の方が勝っている。
辺りを見渡しながら父に尋ねた。

「ここは魔族領だヨ」

「あなたは? ……お父さんの隠し子?」

「違う!!」

随分若い子、私よりも年下なのかな?
そう思うと、先ほどそんな子と仲の良さそうに現れた父の姿を思い出され、疑惑が口を継いで出た。
そしたら速攻父から否定された。

「私はミーリア。 魔王軍の第8師団長だヨ。 転移のミーリア。宜しくナ、ユースケの娘」

「その声……あの時聞こえた声……? それよりも魔王軍? 転移?」

「そうだヨ、私が連れてきたんだヨー」

人懐っこくにひっと笑う口元には八重歯が見えた。
気になるワードはスルーされたが、こんなちっちゃい子が師団長って凄いなと思った。

「優奈!! 取りあえずここ座ったらどうだ? ここ」

父は私から離れるとソファーに座り自身の膝の上をバシバシ叩いた。
膝の上に座って欲しいのか?
座らないけど。

向かいのソファーに座ったら私の隣にミーリアが座った。

「あはははユースケ気持ち悪いナ」

父の様子を見てお腹を抱えて笑っている。

取りあえず私は家から、このミーリアって子によって連れてこられたと言う事は理解した。

「粗茶ですがめー」

「あ、ありがとうございます」

羊のようなおじいさんが紅茶のような色の飲み物を入れて来てくれた。

「メリューラの葉のお茶ですめー」

「メリューラの葉?」

「魔族領で栽培されている茶葉ですめー」

「魔族領?」

「はい。 魔族領ですめー」

また出た。 魔族。 魔族って魔族? その角ももしかして本物?
ここってどこだ。

「あー優奈が目の前にいる。 可愛いなぁ……あれ? ミーリアとめー爺と言葉が通じてる? 俺の娘凄いな。 な!!」

娘が戸惑うぐらい褒めてくれる。
昔は嬉しかったけどこの年になってもそう褒められるとなんだか気恥ずかしい。

「言葉? 言葉分かるよ? ミーリアさんが日本語喋ってるんでしょ?」

魔族でしょ……? 魔族なんだよね?
ならば見た目からして魔法が使えそうだもん。
というか転移が出来るならそう言う魔法も使えるんじゃないの?
小首を傾げながらそう尋ねた。
「日本ゴ? 何そレ。 日本てなニ?」

ミーリアさんも同じように笑顔のまま首を傾げた

「……すり合わせしようか」

そう言うとお父さんは真面目モードに入ってくれた。


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