高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ

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第四章 それぞれの生活

97話目 話

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足立先生から……足立総理から連絡が入ったのは選挙が終わってすぐだった。

というのも、前政権が総辞職に追われてから、私は私で選挙活動に関して色々準備することがあり、連絡できず、足立先生が動かれてから中々接触が持てず何が何だかよく分からない状況が続いた。

ようやく落ち着いて連絡が出来たと思いきや、入閣打診をされてしまった。

寝耳に水である。

それに返答できずにいたら呼び出しを受け、足立先生の下に行けば人払いされた部屋へと通された。

「久しぶりだな」

「お久しぶりです。 足立先生」

足立先生は白髪だった髪を染め、そのせいかだいぶ若返った印象だ。
髪の色でこうも印象が変わるとはと多少驚いた。

絨毯の上を歩き、促されるまま足立先生の対面の革張りのソファーに腰を下ろす。
丁寧に鞣された革は柔らかく、質の良さが伝わって来た。

「ダンジョン攻略室に人を紹介して以来だな。 面と向かっては随分になるか」

「そうですね、その節は大変お世話になりました」

足立先生から紹介されてやって来た人物のお陰で仕事も随分やりやすくなった。
交渉が上手い平川君、平川君の相棒で煽り役の館川君、聞き取りや手順書の作成の上手い吉野君、仕事の割り振りが上手く補助も得意の町田君、全体のバランスが見れる大田君。

「いや、良い良い。 私の方こそ動くきっかけになったよ」

そこから足立先生から説明があった。
足立先生の言うきっかけというのは私が上げた橘君の妹の報告書らしい。

その報告書と実物を見た前政権はお宝発見と、その喪失で阿鼻叫喚だったそうだ。
案の定、金の卵を紛失してしまった私の責任をどう追及するかで議論に明け暮れたらしい。

そのうちに橘君の妹を探そうとしない、回復薬を私利私欲に使おうとする、あまつさえ他国に情報漏えいし、あと一歩のところで回復薬が掻っ攫われそうになったそうだ。

もう見ていられないと総辞職に追い込んだというのが実情らしい。

「前政権はダンジョンという未知のものに対し情報のアップデートが追い付かないと判断した。 平時では可も不可もない長期政権になる予定だったんだがな、まぁ……異常事態には弱かったようだ」

そう言って足立先生は苦笑した。

「そう……なんですね」

末端の私にはなにがなんだかよく分からない話である。

「ある程度他国との兼ね合いを見て落ち着くまで私がかじ取りをすることになったよ。 奪い取ろうとする気概のある者も居なかったがな。 全く情けない。 ……とまあ愚痴はこの辺にしておいて亘理君」

「はい」

「情報の鮮度は間に合ったようだ。 一つ有効活用させてもらったよ、その代わり一つ情報を貰ったからそれで相殺しておくれ」

「はい?」

「橘優奈君の情報だ」

「――!! 何か分かったんですか?!」

「公安からの調査報告が上がっててな、CIAが橘家を調査していたらしいんだ。 それでちょちょいとつついたら情報があってなぁ」

ちょちょい……?

穏やかな顔をしてそう言う足立先生。
前政権を総辞職された手腕やらなんやらを思い出してそのちょちょいがちょいと怖くなる。

何をしたんだ先生。

「橘君の父が羽の生えた少女と一緒に居るところを目撃したそうだ。 ……現時点で羽の生えた少女と橘優奈君が一緒に居たという目撃情報は得られていないが、仮に橘君の父がその少女に拉致されたとなったら話は別だ」

「橘優奈君も何らかの原因で拉致られた可能性がある……と」

「そうだ。 まぁこれも可能性の一部だからな。 この情報をくれた相手さんもどっから情報が漏れたか知らんが橘優奈君を必死になって探しているようだ。 せいぜい手足になってもらうから何か情報があったら亘理君に情報を上げよう。 お姉さんにも伝えてあげなさい」

「ありがとうございます」

そう言って足立先生は人の良さそうな笑みを浮かべた。
この人には頭が上がらないな、そう思いながら部屋を後にした。


亘理が部屋を後にした後……


「本当に……こんな素直で優秀な人材を使い潰そうとした人らの気が知れんな」

先ほどまでの人の良さそうな笑みを消しその表情は怒気を含み険しいものになっていた。


訓練後に亘理室長の下に赴けば足立総理との話の内容を教えてくれた。

「――という訳だ」

「……羽の生えた少女……」

父が一緒に目撃されたとしたら優奈がその少女に何らかの方法で拉致された可能性はある。

父も春先から一向に連絡が取れない。
その少女に拉致されていたというなら納得できる。

父や優奈が拉致された原因は……思い当たることと言えば『ラヴァルザード』
私にもある称号の加護の主だ。

あの時私は優奈の横に居た。
私も同じ称号持ちなのになぜ優奈だけ……。

そう思ったが考えても仕方がない。

私は自身を鍛えてその少女を探り当て優奈を奪い返せばいい。
今のままでは返り討ちに合う可能性が高い。
だって攫われた気配すら分からなかったんだから。

ただ目標が定まった。

「亘理室長、私にダンジョンに潜る許可を下さい。 早く強くなりたいです」

そう室長に直談判を行った。


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