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お迎えにきた
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仕事帰りのリュード様は騎士の隊服に緑の騎士団の紋章の刻まれたマントでやってきた。
マントが緑ということは、第4騎士団だろう。しかもこの隊服は平の騎士じゃない。
一体何者なのかとリュード様を見ていると、リュード様はニコリと近づいて来た。
それに合わせて私は後ずさりする。
「……何のご用でしょうか?」
「晩餐に招待すると昨日言っただろう?」
「全く覚えてません……!」
だから、夕べのことは本当に覚えてない!
「リュード様! 少し離れませんか!?」
「結婚するのに?」
「そのお話もじっくりと聞きたいですね!」
「今夜もアシュリーとゆっくりするつもりだから時間はあるぞ? 楽しみだな」
にやりとする表情は怪しい。
「アシュリーにとっても悪い話じゃない。とりあえず、ドレスに着替えてくれるか? 今夜はうちの邸に来い。」
迫りくるリュード様に、後ずさりしていると壁に背が当たる。
これ以上は下がれなく、リュード様を見上げると逃がさないぞというような笑みの表情だった。
「ちゃんと説明してくれますね?」
「勿論だ」
そして整った顔が自然に近づいて来る。
「リュード様! いきなりは……!」
「だから、昨日も何度もしただろう……」
顎を持ち上げられて両手で逃げられないように、抑えられると顔が近すぎて直視出来ないくらい焦ってしまう。
フレッド様ともこんなことをしたことがないのだから、私にとったらリュード様が初めてだからだろうか。
それとも、無駄にこの整った顔立ちのせいだろうか。
顔を赤くし慌てる私にリュード様は気にもしない。むしろ逃がさないという感じだ。
そしてもうすぐで唇が触れそうな時にデイジーがお菓子を携えて帰ってきた。
「お、お嬢様……! す、すみません! 私は何も見てませんーー!」
いや、帰るなり何を察したの!?
そして、走って逃げないで。逃げるなら、私も連れて行って!
「デイジー……! 私も……!」
リュード様の腕から抜け出せない私に、リュード様は気にせずに頬に軽く唇を当てると、「着替えて来い」と耳元で囁かれた。
赤くなる頬を抑えながら見ると、勝ち誇った顔のリュード様には何だか負けた気がする。
敵わない相手にすら見えた。
「あの……ドレス、ありがとうございます……着替えてきます」
リュード様は「どういたしまして」と、顔を赤らめることもしない。
そして、また走り階段を駆け上がる私は、今日何度この屋敷を全力で走っただろうか!?
もう疲れたんだけど……と部屋にハァハァと息づかい荒く入りドレスの支度を始めた。
そして何故か、ピッタリなサイズのドレス。
絶対にリュード様は私の身体を触ったと思う!
やはり、酔いつぶれて寝ている間に、事を致したのか!
私の支度をしている間は、リュード様は居間でお茶を飲みながら待っている。
デイジーはお茶を出した時に、優しくあの整った顔で「ありがとう」と言われて、とドキリときたらしい。
「お嬢様! イケメンですよ! フレッド様なんか足元にも及びませんよ!」
「物凄い変わり身ね……」
今朝までは、フレッド様とのことを応援してなかった!?
婚約破棄された途端フレッド様は、デイジーにとってもう敵になったらしい。
「今夜はお帰りにならないそうですので、私もこのまま帰りますね! 頑張ってください!」
「晩餐に行くだけだけど……」
「あんな素敵な方ですから、きっとお邸も大きいですよ! ゆっくりできますよ!」
「顔と邸の大きさは比例しないと思うわよ……」
しかし、ドレスは綺麗だ。
私の薄い青色の髪に緑は似合わないと思ったけど、シースルーを使った長いスカートに肩出しのドレスは艶やかながら品がある。
「素敵です! あんなイケメンですから、きっとフレッド様よりもお金持ちですよ!」
「だから、顔は関係ないと……」
元気なデイジーと、洗ったシャツを持ってリュード様の待つ居間に行くと、リュード様はお茶を飲んでいる姿も絵になるくらい男らしい姿だ。
「お待たせしました」
「よく似合う。では行こうか?」
「はい」
リュード様の差し出された手に乗せると、手をとられて唇が軽く触れる。
「リュード様、シャツを……すみませんでした」
「気にしなくて良かったのに……感謝する」
そして、リュード様のエスコートで、そのままリュード様の邸へと連れて行かれた。
マントが緑ということは、第4騎士団だろう。しかもこの隊服は平の騎士じゃない。
一体何者なのかとリュード様を見ていると、リュード様はニコリと近づいて来た。
それに合わせて私は後ずさりする。
「……何のご用でしょうか?」
「晩餐に招待すると昨日言っただろう?」
「全く覚えてません……!」
だから、夕べのことは本当に覚えてない!
「リュード様! 少し離れませんか!?」
「結婚するのに?」
「そのお話もじっくりと聞きたいですね!」
「今夜もアシュリーとゆっくりするつもりだから時間はあるぞ? 楽しみだな」
にやりとする表情は怪しい。
「アシュリーにとっても悪い話じゃない。とりあえず、ドレスに着替えてくれるか? 今夜はうちの邸に来い。」
迫りくるリュード様に、後ずさりしていると壁に背が当たる。
これ以上は下がれなく、リュード様を見上げると逃がさないぞというような笑みの表情だった。
「ちゃんと説明してくれますね?」
「勿論だ」
そして整った顔が自然に近づいて来る。
「リュード様! いきなりは……!」
「だから、昨日も何度もしただろう……」
顎を持ち上げられて両手で逃げられないように、抑えられると顔が近すぎて直視出来ないくらい焦ってしまう。
フレッド様ともこんなことをしたことがないのだから、私にとったらリュード様が初めてだからだろうか。
それとも、無駄にこの整った顔立ちのせいだろうか。
顔を赤くし慌てる私にリュード様は気にもしない。むしろ逃がさないという感じだ。
そしてもうすぐで唇が触れそうな時にデイジーがお菓子を携えて帰ってきた。
「お、お嬢様……! す、すみません! 私は何も見てませんーー!」
いや、帰るなり何を察したの!?
そして、走って逃げないで。逃げるなら、私も連れて行って!
「デイジー……! 私も……!」
リュード様の腕から抜け出せない私に、リュード様は気にせずに頬に軽く唇を当てると、「着替えて来い」と耳元で囁かれた。
赤くなる頬を抑えながら見ると、勝ち誇った顔のリュード様には何だか負けた気がする。
敵わない相手にすら見えた。
「あの……ドレス、ありがとうございます……着替えてきます」
リュード様は「どういたしまして」と、顔を赤らめることもしない。
そして、また走り階段を駆け上がる私は、今日何度この屋敷を全力で走っただろうか!?
もう疲れたんだけど……と部屋にハァハァと息づかい荒く入りドレスの支度を始めた。
そして何故か、ピッタリなサイズのドレス。
絶対にリュード様は私の身体を触ったと思う!
やはり、酔いつぶれて寝ている間に、事を致したのか!
私の支度をしている間は、リュード様は居間でお茶を飲みながら待っている。
デイジーはお茶を出した時に、優しくあの整った顔で「ありがとう」と言われて、とドキリときたらしい。
「お嬢様! イケメンですよ! フレッド様なんか足元にも及びませんよ!」
「物凄い変わり身ね……」
今朝までは、フレッド様とのことを応援してなかった!?
婚約破棄された途端フレッド様は、デイジーにとってもう敵になったらしい。
「今夜はお帰りにならないそうですので、私もこのまま帰りますね! 頑張ってください!」
「晩餐に行くだけだけど……」
「あんな素敵な方ですから、きっとお邸も大きいですよ! ゆっくりできますよ!」
「顔と邸の大きさは比例しないと思うわよ……」
しかし、ドレスは綺麗だ。
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「素敵です! あんなイケメンですから、きっとフレッド様よりもお金持ちですよ!」
「だから、顔は関係ないと……」
元気なデイジーと、洗ったシャツを持ってリュード様の待つ居間に行くと、リュード様はお茶を飲んでいる姿も絵になるくらい男らしい姿だ。
「お待たせしました」
「よく似合う。では行こうか?」
「はい」
リュード様の差し出された手に乗せると、手をとられて唇が軽く触れる。
「リュード様、シャツを……すみませんでした」
「気にしなくて良かったのに……感謝する」
そして、リュード様のエスコートで、そのままリュード様の邸へと連れて行かれた。
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