130 / 148
第二章 レオンハルト編
帰路
しおりを挟む
そして、またレオン様の邸に帰るとオズワルド様はセシルさんにあのリンハルト男爵から受け取ったお金を目の前のテーブルに出した。
部屋のソファーでお茶を飲み休んでいたセシルさんは、口をポカンと開けて何を言おうかと言葉がないようだった。
「セシル、お前の金だ。受け取るんだ。夕方にはまた金が届くからそれも受け取るんだ。」
セシルさんは冷や汗が出るように、ケースの中のお金に固まってしまっていた。
意外と大金ですからね。
そして、レオン様の邸に帰って来た時、使用人にレオン様とライア様を呼んで頂いていたのだが、その二人がセシルさんの部屋にやって来た。
「オズワルド様…これは?」
ライア様がケースのお金を上から覗くように見ていた。
「セシルの金だ。セシルの生活費に使え。」
リンハルト男爵の邸で治療費だ、慰謝料だとお金を巻き上げるように受け取ってきたのはどうやらセシルさんの為だったらしい。少し安心した。
「反論は聞かないぞ。セシルの金だ。レオン様の金ではないからな。」
レオン様は口を塞がれたように反論出来なかった。
多分レオン様はセシルさんの面倒をみるつもりだったのだろうけど。
「あの…いいのですか?」
やっとセシルさんは、動き出したように口を開き、おずおずと聞いた。
「問題ない。」
オズワルド様はそう断言するようにキッパリと言った。
「セシルさん、私達は明日帰りますから何かあればいつでもご相談下さい。」
「リディア様もお帰りに?」
「勿論です!私はオズワルド様と一緒です!」
当たり前です。
私はこれでもオズワルド様の妻です。
私達はと言ったではないですか。
私だけ残る選択肢はありません!
私だけこの邸に残ったら新しい事件が発生しますよ!
どうやらセシルさんに懐かれた気がします!
翌日、私達は朝から帰ることになった。
ヒース様はこの村に第1級魔法騎士がいない為に廃墟の後始末で大変らしい。
「ヒース、この仕事が終われば休暇をもらえ。俺の邸へ休みに来い。」
「そうさせてくれ。俺は疲れた。」
疲れたと言いながらもオズワルド様の見送りに来てくれるヒース様は、オズワルド様と本当に仲が良い友人だと改めて思う。
そして、釘もさす。
「オズ、寄り道せずに真っ直ぐ帰るんだぞ。」
「わかった、わかった。」
ヒース様は何だか苦労性に見えた。
そして、帰りの馬車の中で私は言った。
「オズワルド様、旅行はしばらくはいいです。疲れました。」
「そうだな。俺も疲れた。しばらくは邸に籠るか?」
「それがいいですね。オズワルド様のお邸は居心地が良いですからね。」
二人でそう決めると、帰りは寄り道せずに真っ直ぐとブラッドフォード邸へと帰路についた。
部屋のソファーでお茶を飲み休んでいたセシルさんは、口をポカンと開けて何を言おうかと言葉がないようだった。
「セシル、お前の金だ。受け取るんだ。夕方にはまた金が届くからそれも受け取るんだ。」
セシルさんは冷や汗が出るように、ケースの中のお金に固まってしまっていた。
意外と大金ですからね。
そして、レオン様の邸に帰って来た時、使用人にレオン様とライア様を呼んで頂いていたのだが、その二人がセシルさんの部屋にやって来た。
「オズワルド様…これは?」
ライア様がケースのお金を上から覗くように見ていた。
「セシルの金だ。セシルの生活費に使え。」
リンハルト男爵の邸で治療費だ、慰謝料だとお金を巻き上げるように受け取ってきたのはどうやらセシルさんの為だったらしい。少し安心した。
「反論は聞かないぞ。セシルの金だ。レオン様の金ではないからな。」
レオン様は口を塞がれたように反論出来なかった。
多分レオン様はセシルさんの面倒をみるつもりだったのだろうけど。
「あの…いいのですか?」
やっとセシルさんは、動き出したように口を開き、おずおずと聞いた。
「問題ない。」
オズワルド様はそう断言するようにキッパリと言った。
「セシルさん、私達は明日帰りますから何かあればいつでもご相談下さい。」
「リディア様もお帰りに?」
「勿論です!私はオズワルド様と一緒です!」
当たり前です。
私はこれでもオズワルド様の妻です。
私達はと言ったではないですか。
私だけ残る選択肢はありません!
私だけこの邸に残ったら新しい事件が発生しますよ!
どうやらセシルさんに懐かれた気がします!
翌日、私達は朝から帰ることになった。
ヒース様はこの村に第1級魔法騎士がいない為に廃墟の後始末で大変らしい。
「ヒース、この仕事が終われば休暇をもらえ。俺の邸へ休みに来い。」
「そうさせてくれ。俺は疲れた。」
疲れたと言いながらもオズワルド様の見送りに来てくれるヒース様は、オズワルド様と本当に仲が良い友人だと改めて思う。
そして、釘もさす。
「オズ、寄り道せずに真っ直ぐ帰るんだぞ。」
「わかった、わかった。」
ヒース様は何だか苦労性に見えた。
そして、帰りの馬車の中で私は言った。
「オズワルド様、旅行はしばらくはいいです。疲れました。」
「そうだな。俺も疲れた。しばらくは邸に籠るか?」
「それがいいですね。オズワルド様のお邸は居心地が良いですからね。」
二人でそう決めると、帰りは寄り道せずに真っ直ぐとブラッドフォード邸へと帰路についた。
58
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ
との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。
「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。
政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。
ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。
地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。
全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。
祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済。
R15は念の為・・
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる