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裏切りと最後
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「地…地下には、ガっ、ガルムの子を捕らえているんだ…!」
ナイフが肩に刺さり、ショーンは拷問でもされるのかと恐怖したように話し出した。
ガルムとは黒い狼のような犬だ。
エンディスをずっと襲っていた魔族も、黒い狼のような犬、ガルムだった。
そして、俺が愚かにも国を守ろうと、ショーンに討伐を依頼され倒した魔族だ。
ガルムは死ぬ間際に、かえせ…と言っていた。
何のことかわからず、俺もレティシアも気にもしなかった。
だが、ショーンの話を聞いて理解した。
ショーンがガルムの子を取り上げたから、エンディスを襲って来ていたんだ。
自分の子を取り返そうと…。
「…レティシアは知っていたのか?」
「当たり前だ!捕らえるのに協力し、地下に閉じ込めるのに結界を張ったのはレティシアだ!」
レティシアは知っていた。
それだけで裏切られたような気分がのし掛かってきた。
俺にそんな大事なことを隠していたんだ。
「レティシアは、見返りに大聖女の地位を望んだ!それと、後はお前だ!」
「俺がどうした?」
「大聖女には英雄といるのが望ましいと、レティシアはシグルドと結婚するつもりだった!」
ショーンは必死で叫ぶように話していた。
「シグルド…レティシア様のことは本当だと思います。閉じ込められていた塔でも、ずっと、ショーン王子は私にはふさわしくない、と悔しそうに言ってました。…ただ、ショーン王子が嫌だからと思ってましたが…今思うと、シグルドが好きだったんですよ」
ティナは、ショーンの言っていることが本当だと言うようにそう言った。
「だから、レティシアを閉じ込めたのか?」
「当たり前だ!大聖女の地位をやり、英雄となるシグルドと結婚なんかさせて見ろ!益々、民衆はお前達を支持する可能性が高いからな!大聖女と結婚するのは、俺が相応しいんだ!」
自分勝手すぎる。
ショーンもレティシアも、自分達の地位のことしか考えてないように聞こえた。
「ティナ…どこかの部屋に隠れていろ。すぐに迎えに言ってやる」
「シグルド…本当にすぐに来てくれますか?」
「あぁ、すぐに迎えに行く。待ってろ」
「絶対ですよ…」
ティナは不安そうに見上げてきた。
そんなティナを抱き寄せていた手に今一度力を込め抱き寄せ額に唇を落とした。
ティナは抵抗もせずに受け入れ、この場から走り去った。
今からショーンの首をはねる。
そんな場面を優しいティナには見せたくない。
ティナの後ろ姿が見えなくなるのを確認し、腰にかけていた小剣でショーンの心臓を刺した。
「やっ…止めろーーー!?」
「お前の顔は二度と見たくない」
そして、小剣を引き抜くと吹き出す血の中、力いっぱいショーンの首を一刀両断した。
ナイフが肩に刺さり、ショーンは拷問でもされるのかと恐怖したように話し出した。
ガルムとは黒い狼のような犬だ。
エンディスをずっと襲っていた魔族も、黒い狼のような犬、ガルムだった。
そして、俺が愚かにも国を守ろうと、ショーンに討伐を依頼され倒した魔族だ。
ガルムは死ぬ間際に、かえせ…と言っていた。
何のことかわからず、俺もレティシアも気にもしなかった。
だが、ショーンの話を聞いて理解した。
ショーンがガルムの子を取り上げたから、エンディスを襲って来ていたんだ。
自分の子を取り返そうと…。
「…レティシアは知っていたのか?」
「当たり前だ!捕らえるのに協力し、地下に閉じ込めるのに結界を張ったのはレティシアだ!」
レティシアは知っていた。
それだけで裏切られたような気分がのし掛かってきた。
俺にそんな大事なことを隠していたんだ。
「レティシアは、見返りに大聖女の地位を望んだ!それと、後はお前だ!」
「俺がどうした?」
「大聖女には英雄といるのが望ましいと、レティシアはシグルドと結婚するつもりだった!」
ショーンは必死で叫ぶように話していた。
「シグルド…レティシア様のことは本当だと思います。閉じ込められていた塔でも、ずっと、ショーン王子は私にはふさわしくない、と悔しそうに言ってました。…ただ、ショーン王子が嫌だからと思ってましたが…今思うと、シグルドが好きだったんですよ」
ティナは、ショーンの言っていることが本当だと言うようにそう言った。
「だから、レティシアを閉じ込めたのか?」
「当たり前だ!大聖女の地位をやり、英雄となるシグルドと結婚なんかさせて見ろ!益々、民衆はお前達を支持する可能性が高いからな!大聖女と結婚するのは、俺が相応しいんだ!」
自分勝手すぎる。
ショーンもレティシアも、自分達の地位のことしか考えてないように聞こえた。
「ティナ…どこかの部屋に隠れていろ。すぐに迎えに言ってやる」
「シグルド…本当にすぐに来てくれますか?」
「あぁ、すぐに迎えに行く。待ってろ」
「絶対ですよ…」
ティナは不安そうに見上げてきた。
そんなティナを抱き寄せていた手に今一度力を込め抱き寄せ額に唇を落とした。
ティナは抵抗もせずに受け入れ、この場から走り去った。
今からショーンの首をはねる。
そんな場面を優しいティナには見せたくない。
ティナの後ろ姿が見えなくなるのを確認し、腰にかけていた小剣でショーンの心臓を刺した。
「やっ…止めろーーー!?」
「お前の顔は二度と見たくない」
そして、小剣を引き抜くと吹き出す血の中、力いっぱいショーンの首を一刀両断した。
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