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王弟殿下の婚約者に
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突然やって来たヴェイグ様に、後ろから抱き寄せられて身体が彼に寄りかかってしまう。腕の中から見上げるとにこりとされた。
「ヴェイグ様……どうしてここに……」
何も言わずに黒い笑顔で返されると、言いたくないのだと察する。きっと探索のシードを使ったのだ。
だから、私がここにいることがわかって、しかもマティアス様との会話を探索のシードを使って盗み聞きしていた気がする。
どこまで順応しているのか……ちょっと悔しい。本当なら私が使うはずだったのに。
ヴェイグ様が突然現れたせいで、邪魔をされたと思ったマティアス様が怒ったように顔を真っ赤にしている。
「……失礼だが、シュタルベルグ国の王弟殿下には、関係のない話だ。下がっていてもらおうか」
「関係ないねぇ……そうなのか? セレスティア。それに婚約者と言ったのだが、聞こえてなかったのか?」
「けっこう自分勝手な方ですから……」
「そのようだな。困った王太子殿下だ」
「……っ。失礼だ! 私は、カレディア国の王太子殿下だ。それに、婚約者だと聞こえている! 彼女は私の婚約者だったのだ。勝手に婚約を結ぶなど、出来なかったはずだ!」
「でも、その婚約者であったセレスティアを、王太子殿下、あなたが破棄をしたのだ。ですから、俺が求婚したのです。別れた元婚約者に、何の未練がありましょうか? ぜひ聞きたいものだ」
余裕のあるヴェイグ様と違い、マティアス様は思い通りにならなくて憤っているけど、あっという間に婚約破棄をしたのは、あなたです。不貞を疑われて、一時間も経たないうちに婚約破棄をされたのです。しっかりとサインしたのですよ。
「やはり不貞をしていたのだな……慰謝料を釣り上げる」
「それもおかしな話だ。俺がこの国に来たのは、今日の午前だ。その数時間後にセレスティアと出会ったのですよ。不貞をする暇などありませんね」
「なら、なぜ二人でセレスティアの部屋にいた!! 王弟殿下。私の婚約者に手を出すとは、国際問題ですよ!!」
カレディア国に来て、数時間後には人の天井にいないで欲しい。心底思う。
「問題なのは、この城の造りだ。魔法の練習をしていたセレスティアの魔法がたまたま部屋で暴発したのですよ。それほどこの城の造りが甘い、ということです。それか、セレスティアの魔法が聖女らしく強力だったか……。たまたま城の散策をしていた俺は、急な音に驚いて、何事かと飛び込みセレスティアが瓦礫に押しつぶされそうだったので咄嗟に庇っただけです」
「そんな偶然があるものか!!」
大正解です。そんな偶然はない。何度も思うけど、それよりも、あり得ない偶然は天井から王弟殿下が私の上に落ちてきたことです。
「別にどちらでも構いませんがね。疑われようが、俺からすれば些末なことです。そのおかげで、セレスティアと出会えましたから……」
そう言いながら、大事なものを抱きしめるようにヴェイグ様の腕に力が入る。そろそろ離して欲しいけど、今はこのままの方がいいのだろう。でも、恥ずかしいのです。
「婚約破棄を王太子殿下が叫んでいたので、セレスティアを他の男に取られないように、すぐに求婚しました。ちなみに、俺の求婚の許可はカレディア国の王太子殿下には関係のないことだが……そう思わないか。セレスティア」
「そ、そうですね。ヴェイグ様」
ヴェイグ様の顔が近くによって言われると、さらに緊張して声が上ずってしまう。
「では、行こうか。セレスティア」
「はい。ヴェイグ様」
「では、失礼する。王太子殿下」
そう言って、マティアス殿下を置いて、颯爽とヴェイグ様が私の腰に手を回して去っていった。
「ヴェイグ様……どうしてここに……」
何も言わずに黒い笑顔で返されると、言いたくないのだと察する。きっと探索のシードを使ったのだ。
だから、私がここにいることがわかって、しかもマティアス様との会話を探索のシードを使って盗み聞きしていた気がする。
どこまで順応しているのか……ちょっと悔しい。本当なら私が使うはずだったのに。
ヴェイグ様が突然現れたせいで、邪魔をされたと思ったマティアス様が怒ったように顔を真っ赤にしている。
「……失礼だが、シュタルベルグ国の王弟殿下には、関係のない話だ。下がっていてもらおうか」
「関係ないねぇ……そうなのか? セレスティア。それに婚約者と言ったのだが、聞こえてなかったのか?」
「けっこう自分勝手な方ですから……」
「そのようだな。困った王太子殿下だ」
「……っ。失礼だ! 私は、カレディア国の王太子殿下だ。それに、婚約者だと聞こえている! 彼女は私の婚約者だったのだ。勝手に婚約を結ぶなど、出来なかったはずだ!」
「でも、その婚約者であったセレスティアを、王太子殿下、あなたが破棄をしたのだ。ですから、俺が求婚したのです。別れた元婚約者に、何の未練がありましょうか? ぜひ聞きたいものだ」
余裕のあるヴェイグ様と違い、マティアス様は思い通りにならなくて憤っているけど、あっという間に婚約破棄をしたのは、あなたです。不貞を疑われて、一時間も経たないうちに婚約破棄をされたのです。しっかりとサインしたのですよ。
「やはり不貞をしていたのだな……慰謝料を釣り上げる」
「それもおかしな話だ。俺がこの国に来たのは、今日の午前だ。その数時間後にセレスティアと出会ったのですよ。不貞をする暇などありませんね」
「なら、なぜ二人でセレスティアの部屋にいた!! 王弟殿下。私の婚約者に手を出すとは、国際問題ですよ!!」
カレディア国に来て、数時間後には人の天井にいないで欲しい。心底思う。
「問題なのは、この城の造りだ。魔法の練習をしていたセレスティアの魔法がたまたま部屋で暴発したのですよ。それほどこの城の造りが甘い、ということです。それか、セレスティアの魔法が聖女らしく強力だったか……。たまたま城の散策をしていた俺は、急な音に驚いて、何事かと飛び込みセレスティアが瓦礫に押しつぶされそうだったので咄嗟に庇っただけです」
「そんな偶然があるものか!!」
大正解です。そんな偶然はない。何度も思うけど、それよりも、あり得ない偶然は天井から王弟殿下が私の上に落ちてきたことです。
「別にどちらでも構いませんがね。疑われようが、俺からすれば些末なことです。そのおかげで、セレスティアと出会えましたから……」
そう言いながら、大事なものを抱きしめるようにヴェイグ様の腕に力が入る。そろそろ離して欲しいけど、今はこのままの方がいいのだろう。でも、恥ずかしいのです。
「婚約破棄を王太子殿下が叫んでいたので、セレスティアを他の男に取られないように、すぐに求婚しました。ちなみに、俺の求婚の許可はカレディア国の王太子殿下には関係のないことだが……そう思わないか。セレスティア」
「そ、そうですね。ヴェイグ様」
ヴェイグ様の顔が近くによって言われると、さらに緊張して声が上ずってしまう。
「では、行こうか。セレスティア」
「はい。ヴェイグ様」
「では、失礼する。王太子殿下」
そう言って、マティアス殿下を置いて、颯爽とヴェイグ様が私の腰に手を回して去っていった。
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