伯爵令嬢は狙われている

屋月 トム伽

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キースとアリーゼの亀裂

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リアはクライスを抱き締めたままキースを待った。
もう会えないと思うと、一瞬でもクライスを離せなかった。
後ろから足音がし、これで最後かと思い振り向くとキースではなく、来たのはアリーゼだった。
「何であなたがここにいるのかしら?まさかキースはあなたの為にクライス様の水の檻を解いたの?」
アリーゼはリアとクライスに近付き、側に来ると、ドレスを捲り上げ、 左大腿に隠していたナイフを抜いた。
ナイフを持ちアリーゼはリアを見下ろし、殺意のある目で見た。
「クライス様もキースもあなたのどこがいいのかしらねぇ。私は大っ嫌い!」
ナイフが振り下ろされた瞬間、リアはギュッとクライスを抱き締めたまま目を閉じた。
「アリーゼ!」
アリーゼの名前を呼び、その手を止めたのはキースだった。
「離しなさいよ。キース!」
アリーゼは乱暴にキースの手を振り払った。
「姉上、何をしているのですか!?」
アルフォンスの大きな声にアリーゼは目を見開いて驚いた。
「…何でいるの?」
アリーゼはワナワナと震えた。
「キース!どういう事!?アルフォンスは始末したはずじゃないの!」
アリーゼは感情のままに叫んだ。

ルーカスはアリーゼの発言に、アルフォンス達が軟禁されていたのはキースがアリーゼから隠す為か、と思った。

「アルフォンスを始末する必要はない。リアに手もだすな。この部屋から出ていくんだ。」
キースはアリーゼに言うもののアリーゼはキースに突っかかった。
「今さら肉親の情でも沸いたの!?あんたがやらないなら私がやるわ!」
「やめろ!」
ナイフを持つアリーゼをキースは掴み、その間にルーカスはリアの側に行った。
「リア様、ご無事で良かった。クライス様はどうなさったのですか!?」
「あなたは?」
ルーカスは人差し指を口に立て、言った。
「クライス様とマルクの同僚のルーカスです。」
(では、シャドウナイツ?)
リアの考えを読み取ったかのようにルーカスは頷いた。
「ルーカスさん、クライスとアルフォンス様達とテレーズに行って下さい。アルフォンス様達をテレーズで保護するようにお願いいたします。」
「リア様は行かないのですか?」
「…私は、ここに残ります。キースと約束しましたから。」
「約束?クライス様と一緒に行くべきです!」
リアは首を振り、答えた。
「クライスや皆をこれ以上傷つけたくないんです。」
ルーカスはリアの決意に悩んだ。
(クライス様を失うわけにはいかない。だがリア様をどうする?)
二人をよそ目にキースとアリーゼは揉み合っていた。
「アルフォンス!陛下とクライスの側に行け!」
キースの剣幕にアルフォンスは従い、クライスの側に行った。
「リア!クライスから離れろ!」
リアは自分が離れないとキースはクライス達を転送しないと確信していた。
「クライス大好きよ。結婚出来なくてごめんね。」
リアはクライスのおでこにキスをすると、ルーカスにクライスを預けクライス達から距離を取った。
「リア様!クライス様と我々が必ずお助け致します!それまでどうか!」
リアは少し微笑むとそのままキースの転送魔法でクライス達は消えた。

そして、キースはその隙にアリーゼに刺された。
リアはキースに駆け寄り、キースの体を支えた。
「よくも裏切ったわね!」
アリーゼは血のついたナイフを離さず、冷たい目で、キースとリアを見た。
「リア、俺に捕まってろ。」
キースはリアを抱き寄せ、二人で転送魔法で逃げた。
残されたアリーゼは何もかもが上手くいかず苛つきが隠せなかった。
その思いはリアに向けられた。
「絶対にリアナを殺してやるわ!」
アリーゼはキースとリアを探し始めた。

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