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救出

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イーディスはモルディブの別邸に連れていかれ、似合わないドレスに着替えいた。
「お母様はどこです!」
「母親なんかどうでもよかろう。」
モルディブはイーディスと二人でご機嫌なのか、酒を飲んでいた。
「お前が俺のものになるまでと、かけていた苦悶の呪いを解くときがきたんだぞ。嬉しくないのか?」
モルディブはイーディスに近付き顎をクイッと上げた。
(酒臭い!?)
「嫌!」
イーディスはモルディブにゾッとした。
「お母様はこの屋敷で療養しているんじゃないのですか!?」
「無知だが、そこが可愛いの。お前が手にはいれば母親なんぞ知らん。」
「そんな…っ、騙したのね!」
「騙してはおらん。この屋敷にいないだけだ。」
「お母様を返して!」
イーディスは叫ぶと 、ウッとなりまたうずくまった。
「呪いをかけられている事を忘れたか?」
モルディブ伯爵はイーディスの呪いに力を入れた。
(胸が苦しい!)
イーディスは胸元のローズクォーツのネックレスが目に入った。
(私、バカだ。何で助けを求めなかったの?…私が人を信じなかったからだ。マルク…)
イーディスはポタポタと涙を流した。
モルディブはイーディスに近付いた。
「魔力があり、お前程美しい娘はおらん。金の髪に緑の瞳、子をなすには美しい子が俺には相応しいからな。」
「近付かないで!」
イーディスはモルディブの手を離そうとすると、モルディブが勢いあまりイーディスのネックレスが千切れた。

その時、鍵のかかったドアが、バコンと壊れた。
マルクがドアを壊し、無理やり入ってきたのだ。
入るなりマルクはいきなりモルディブ伯爵を蹴り飛ばした。
イーディスが顔を上げるとマルクがいた。
「また泣いているんですか?イーディス。」
マルクはイーディスを見ると眉間にシワを寄せた。
「…趣味の悪いドレスですね…これでも着といて下さい。」
マルクはイーディスに自分のジャケットをかけた。
「何だ貴様は!?」
(こいつ、馬車でイーディスが見てたやつか!?)
「ここをどこだと思っている!」
モルディブはマルクに炎弾を放つがマルクはものともせず、シールドで防いだ。
「ここをどこだと思っている?お前がイーディスを連れ込んだ屋敷だろうが!」
マルクは光の槍をモルディブの周りにドドドッと打ち込んだ。
「ひっ…」
モルディブは恐怖と焦りの表情になった。
「イっ、イーディス!そいつを止めろ!母親がどうなってもいいのか!?」
イーディスは母親という言葉に震えた。
「イーディスの母親はこちらが保護しました。人質には使えませんよ。」
淡々とマルクはモルディブを睨みながら話した。
「保護?お母様は無事なの?」
イーディスは泣きながらマルクのズボンを軽く握った。
「大丈夫ですよ。」
その時、イーディスは悲鳴を上げた。
「キャア!?胸がっ…」
「母親がいなくても、イーディスの呪いがある!」
モルディブはイーディスの呪いを強め、苦しめた。
「イーディス、大丈夫ですよ。レオナが胸元に呪いがあると言ってました。すぐに解呪してあげますから。」
苦しむイーディスをマルクは抱き締めた。
その時、モルディブはマルクの腕の印が目に入り驚愕した。
「その印っ!?何がクラスメートだ!その印は第一級魔導師の印だ!!」
(くそ、くそ!何でこんな事に!?)
マルクは突き刺さりそうな冷たい目で睨んでいた。
マルクはイーディスを抱き締めたまま、光のシードを掲げた。
「清廉なる光よ。呪いを焼き尽くせ。」
イーディスの胸元から、呪いのシードが現れるとマルクの光のシードに焼き尽くされた。
モルディブは下級魔導師だったのか、ドラゴニアンシードの力と違い、リアの時のように時間をかける事なく、マルクは容易く解呪した。
マルクの解呪と、役人が来たのだろうとわかる位、屋敷が騒がしくなった。
モルディブはヤケクソになりマルクとイーディスに襲いかかろうとすると、風の刃が飛んできた。
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