君だけの理解者になりたい

ラリックマ

文字の大きさ
42 / 70
彼と彼女の過去……

第41話彼女の嫉妬……

しおりを挟む
「皆さんお疲れさまでした! 無事にテストが終わり、来週からは夏休みです」

 長いテストもようやくいろんな意味で終わった……。
 そんな終わったテストのことなんかよりも、夏休みという最高のイベントを目前もくぜんにして、俺はテンションが上がっていた……。
 冬休みや、ゴールデンウィークとは比べ物にならないほどの大量の休み……。
 本当に夏休みというのはいい……。
 一つだけよくないことがあるとすれば、夏休み明けは八割の確率でクラスメイトに忘れられていることだ……。
 まあもともと覚えてない奴もいるだろうけど……。
 思ってて悲しくなってきた……。
 俺は花に声をかけて、家に帰る……。
 そして次の日……。
 俺たちが登校して上履きに履き替えて、二年の教室のところに行くと人だかりができていた。
 テスト終わった次の日や次の週は、掲示板に順位が張り出される。
 正直他の奴のテストの順位なんて気になんないし、やめてほしい……。
 毎回下らへんを徘徊はいかいしている俺としては、早くこの順位を張り出す制度を無くすべきだと思う。
 まあ俺が他の生徒の順位をどうでもいいと思うように、他の奴も俺のテストの順位なんてどうでもいいのだろう……。
 俺は人込みをかき分けて、掲示板の前に行く。
 その後ろをついてくるようにして、花も掲示板の前に行く。
 俺はテストの順位が張り出された掲示板を見て絶句ぜっくした……。
 花が学年一位なことも、俺がしたから二番目だったことも、そんなことどうでも良かった……。
 その掲示板を隣で見ている花が、クスクスと腹と口を手で押さえて笑い出した。

「ゆ、優太……。きゅ、9科目中ひゃ、128点って、くく、くくく」

 笑いすぎだろ……。
 何でコイツがこんなに笑っているかというと、掲示板にテストの合計点が張り出されていたからだ……。
 今までは順位だけだったのに、何故か点数まで張り出されている……。
 プライバシーの侵害だろこれ……。
 しかも一番下の奴は、1年から不登校の奴の名前が書かれていた……。
 実質最下位のようなもんだ……。
 俺は赤くなった顔を隠すように、教室に入るなり寝たふりをする……。
 
「実質最下位の矢須優太君、寝たふりなのはバレバレよ。さて……何をおごってもらおうかしら……」

 クスクスと悪いみを浮かべている花の顔が、伏せていても伝わってきた……。
 俺は顔を上げる。

「頼むから安いものにしてくれ……」

 というか負けたら奢る約束なんてしていないので、花に奢る道理もない。
 でもまあ奢らないとも言ってないので、今回ぐらいはいいだろう……。
 花はあごに人差し指を当てて、上を向いて考える仕草をした後に。

「じゃあグランドピアノで」

 っと、訳の分からないことを言い始めた……。
 
「じゃあってなんだよじゃあって……。俺が買えると思ったの?」

 グランドピアノってなんだよ……。
 いくらぐらいするのか知らないけど、俺の貯金じゃ買えないことぐらいは分かる……。

「冗談よ。次の土曜日にラーメンをおごってくれるだけでいいわ」

「まあそれぐらいなら……」

 ということで、かなり理不尽な感じで俺が花にラーメンを奢ることになった……。
 俺は花と話し終えると同時に、チャイムが鳴った……。
 そのチャイムに合わせて、掲示板を見ていたクラスメイトがぞろぞろ教室に入ってきた。
 その中でも花に嫌がらせをしているであろう女子Aは、どこか気分が悪そうな表情をしていた……。
 テストの順位がよくなかったのだろうか?
 まあ別にどうでもいいか……。
 人とあまりしゃべることがないので、人を観察するというのは割とある。
 自己紹介で『趣味は人間観察』といったが、あながち間違いでもない……。
 まあ趣味というよりはどちらかというと、習慣というか習性といった方が正しいかもしれない……。
 ボッチって他にやることないし……。
 そうしてボーとしていたら、昼休みが過ぎて5時間目になろうとしていた……。
 俺はいつも昼食は食堂で食べているので、戻ってくるのは授業開始3分前とかだ……。
 5時間目の授業の準備を済ませて座っていると、隣のはまだ教科書を机に出していなかった。

「どうしたんだ?」

「いえ、大したことじゃないのだけど、次の授業の教科書がないのよ……」

 全然大したことあると思う……。

「ロッカーとかは全部見たのか?」

「えぇ、一応探せるところは全部探したのだけれど……」

 ということは間違いなく隠されたのだろう……。
 そうえば朝、女子Aが酷く不機嫌だったが、テストの点数が悪かった腹いせなのだろうか……?
 それか花に負けた悔しさか……。
 いずれにしても多分見つからないだろう……。
 彼女に問い詰めたところで、知らんぷりをされるに決まっている……。
 俺は出していた教科書の半分を、さりげなく花の机に置いた。
 
「あ……ありがと」

 小さい声でお礼を言った花は、少し顔が赤かった気がする……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたの隣は私ではないけれど、それでも好きでいてもいいですか、レオナルド様

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢エリアーナには、三年間ずっと抱えてきた秘密がある。 婚約者であるヴァルフォード公爵・レオナルドへの、誰にも言えない恋心だ。 しかし彼の隣にいるのは、いつも幼馴染の伯爵令嬢・ソフィア。 儚げな笑顔と上目遣いで男性を虜にするあざとい彼女に、レオナルドも例外ではないようで—— 「レオ、私のこと嫌いにならないでね?」 「……そんなことにはならない」 また始まった二人の世界。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

カメリア――彷徨う夫の恋心

来住野つかさ
恋愛
ロジャーとイリーナは和やかとはいえない雰囲気の中で話をしていた。結婚して子供もいる二人だが、学生時代にロジャーが恋をした『彼女』をいつまでも忘れていないことが、夫婦に亀裂を生んでいるのだ。その『彼女』はカメリア(椿)がよく似合う娘で、多くの男性の初恋の人だったが、なせが卒業式の後から行方不明になっているのだ。ロジャーにとっては不毛な会話が続くと思われたその時、イリーナが言った。「『彼女』が初恋だった人がまた一人いなくなった」と――。 ※この作品は他サイト様にも掲載しています。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】 積み上がった伏線の回収目前!! 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

処理中です...