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第6章 シークレット始動

第108話 公英の能力

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 「あ、あ、あ、改めまして! 私は神田七海と申す者! きょ、今日から『シークレット』でお世話になりましゅ!」

 神田さんとそのご家族が到着した。
 親御さんも神田さんを一人で東京に送り出すのは心配だったようで、家族総出で上京してきた。

 親御さんには着いてからかなり何回も娘をお願いしますと頭を下げられた。
 二人は心底神田さんを心配してるみたいで、愛されてるなぁって思いました。

 で、早速事務所にやってきた神田さんなんだけど、新たに陽花と公英が増えてるのを見てかなりびっくりしていた。
 一応二人は古くからの友達って事にしている。桜とおんなじ扱いだな。コネ採用とか言われるだろうけど、別に悪い事をしてる訳じゃないし気にしません。

 大体コネ採用とかどのギルドも当たり前にやってる事だしね。これからも一年毎にコネ採用していきますよ。

 「がっはっはっは! 俺様の事は気軽にたんぽぽちゃんと呼んでくれ!!」

 「私は陽花で大丈夫ですよぉ。よろしくお願いしますねぇ」

 「ぴゃ、ぴゃー」

 かなり目を回してる神田さんだけど、慣れてくれとしか言いようがない。
 俺もまだちょっと慣れてないんだ。特に公英。
 いつになったら声のボリュームを調整してくれるんだろうか。


 「さてさて。『シークレット』の戦闘部門が勢揃いしたということで」

 「早速狭間に向かうよ~!」

 昨日のうちに千葉県の4級狭間を落札しておきました。三人の能力と戦い方をしっかり見せて頂きましょう。

 「桜の時はお披露目が遅れたけど、今回は早速撮影してアップするぞ。実力を見せつければコネ採用だなんだとかいう声もある程度抑え付けられるだろ」

 あ、そういえば。
 俺はふと思い出した事を神田さんに聞かれないように二人に聞いてみる。一応古くからの友達って設定だから、今から聞くことは知ってないと不自然だからね。

 「二人とも能力って戦闘に使えるよね? 勝手に戦闘系の能力を持ってるって思い込んでたけど」

 「がっはっはっは! この俺様の筋肉が見せかけではない事を証明してやろう!!」

 公英はね。正直心配してない。
 それで生産系とかは流石に解釈違いすぎる。

 「うふふ。私も大丈夫ですよぉ」

 妖艶なお姉さんも大丈夫みたいだ。
 良かった良かった。これならなんとかなりそうだな。強さは未知数だけども。

 「い、い、いきなり4級でありますか!? わ、私には荷が重いと思うのですが…」

 「大丈夫大丈夫。4級なんて寝ながらでも攻略出来るから。危険があったらちゃんと守るし」

 「ぴゃ、ぴゃわー。これが『シークレット』…」

 ささっ。
 二人は狭間につくまで能力お楽しみとか焦らしてくるし、早く向かおうぞ。俺は色んな能力を見るのが大好きなんだ。


 「車は小さくていかんな!!」

 「お前がデカすぎるんだよ」

 狭間に到着しました。
 車で来たんだけどレクサスに乗ろうとしたら、公英の体がデカすぎて乗れなかった。
 仕方なしにハリアーで来たんだけど、それでも窮屈そうにしてたからな。

 「た、たくさんの人が居られまする!」

 神田さんの喋り方が迷子なんだけど。
 面白いから放置してるけど、疲れないのかな。

 「あらあら? 団長さんは人気者なのねぇ」

 4級の狭間を落札するとあっという間に情報は広まった。SNSで明日すぐに攻略する事、近隣住民の邪魔にならないように注意喚起はしたんだけど。

 「近隣住民が積極的に協力して場所提供してるんだよなぁ」

 「これは予想外だね~」

 なんか場所を提供して見返りにお金を貰ってるっぽい。そういうのって犯罪じゃないのかしらん? いや、詳しくないから知らないけど、もし犯罪なら俺は見なかった事にしときますね。
 まぁ、迷惑になってないならOKです。

 「桜たん以外にも人がいるぞ」

 「お姉さんが増えてる!!」

 「なんだあの筋肉ダルマは…」

 「使徒様の新しい男なんじゃないか? ほら、男でもイケるって噂だし…」

 「あのハムスターみたいな小動物っぽい子も可愛いな」

 野次馬達は俺達の人員が増えてる事にびっくりしていた。なんか馬鹿みたいな噂を信じてる奴がいるのは癪に触るが、ここで反応したら更におもちゃにされる可能性があるからな。ここは我慢である。
 ハゲの呪いだけで勘弁してやろう。

 「よーし。入るぞ。桜、撮影の準備は?」

 「ばっちりだよ~」

 今日のキャメラマンは桜だ。
 俺はまだちょっと操作の仕方が分からないし、万が一の時の為に神田さんや他の面々を守らないといけない。二人がどれだけ強いか知らないし。


 「ノーマルオークじゃん。都合が良いな」

 狭間に入るとオーク特有の据えた臭い。
 これは能力確認には丁度良い狭間を引き当てたな。

 「俺様からいこう!」

 意気揚々と出て行ったのは公英。
 ただでさえ太い腕を更にパンプアップさせて、オークに殴りかかっていく。

 「んー? 筋肉増強か? 安藤さんと一緒? でもなんか魔力を纏って見えるなぁ」

 公英の腕がオークの頭に直撃。
 まぁ、普通のラリアットなんだけど威力が。
 顔が弾け飛んでるんだけど。

 「がっはっはっは! これが俺の能力『超越体』だ! 能力を使うと時間が経つ毎に身体能力がどんどん上がっていく! 勿論限界はあるがな! そして強化幅は元の身体に乗算されていく! 故に! 俺は筋肉を育てねばならんのだ!!」

 神田さんに説明してるように見せて俺にも説明してくれてるんだろう。脳筋みたいな見た目と戦い方のくせに中々気が効きやがる。

 「す、す、すっごいですー! 腕がボンって大きくなってドカーンって!!」

 「がっはっはっは! そうだろうそうだろう!」

 ぴょんぴょん跳ねてびっくりしてる神田さん。
 なんだろう。なんか保護したくなるな。
 モチベーターとして有能かもしれん。

 「次は私がやりますねぇ」

 神田さんが公英をよいしょしてると、新たにオークがやってきたので、陽花が前に出る。
 はてさてお姉さんはどんな能力なのかな。
 公英はまぁ予想出来た感じだったけど、陽花はどんか感じか全く分かりませんぜ。
 
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