サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

第二章 名も無き吸血鬼

第22話 情報収集

　
　「ふーむ。構造自体は大体地球の人間と変わらないか」

　「も、もうやめてくれ…」

　親分さんの目の前で、盗賊Aを綺麗に捌いて部位事に分けてやった。
　
　「分からないのはこれだな。ねえねえ。この臓器は何？」

　「ま、魔臓だよ」

　「魔臓？　魔石みたいな？」

　「魔力を貯めたり、作ったりする所だ」

　ほーん。この世界には魔法があるもんね。
　こういう臓器があってもおかしくないか。
　でも、俺は多分後付けで付与されてるよね？
　最初魔石食べたとき、めちゃくちゃ痛かったし。

　「どうせなら色々な殺し方を試しちゃおう」

　「や、やめろ！」

　「親分さんは、まだ殺さないよ。聞きたい事はまだまだあるしね」


　「妖狐、ちょっと出ておいで」

　「キュン？」

　とりあえず、妖狐に【火魔法】使ってもらっての焼死と【超念力】使ってもらっての圧死。
　ついでに、妖狐に人間の殺し方をレクチャーする。

　「なかなか筋が良いじゃないか！　これは将来有望だぞ！」

　ノリノリで殺す妖狐を、わしゃわしゃと撫で回す。
　【念力】が進化した【超念力】はコスパが良くなってかなり使い勝手が良くなってる。
　威力？　も上がってるし羨ましい。

　「最後の1人は直接血を抜いてみるかな」

　親分を除き、残ってる最後の1人は【血液魔法】を使い生きたまま血を抜いていく。

　「ぎゃあああー！！」

　「む？　魔物よりも若干抵抗があるような？　まあ、微々たる差だけど」

　まあ、こんなもんか。
　経験値量は美味しくないな。
　これはこの人間が弱いからなのか、魔物の方が効率がいいのか。
　強い人間を殺してみたいけど、時期尚早かな。

　「さーて、色々と話してくれる気になったかな？　勿論、素直に話してくれたら苦しまずに殺してあげるよ？　話してくれないなら、ね？」

　「し、知ってる事はなんでも話す！」

　「それで良いんだよ」



　「なるほどねえ」

　俺はあれから、気になっていた事を粗方聞き出しスパッと首を切って親分を殺した。

　とりあえずここから1番近い街は、結構大きいらしい。
　商業都市リブラと言って国中の商人が集まってる場所なんだとか。
　そりゃ、盗賊も増えますわな。

　そして、俺の事はなんと人間に見えるらしい。
　翼を【影魔法】で隠してるからかな。
　幼児な事には変わりなかったが。
　魔物だから街に入れない事は無さそう。
　進化して大きくなったら、街に入って更に情報収集かな。

　「魔王の誕生はバレてるのか」

　そう。
　1年ほど前に全国の教会から魔王誕生の布告があったそうだ。
　神からの神託があったみたい。
　神様ってほんとにいるんですねえ。
　だが、場所までは分かっていないらしく、現在でも捜索が続いている。

　「まあ、ステータスを見る方法は無いっぽいし下手な行動をしなかったらバレる心配はないかな」

　親分はステータスの意味が分かってなかった。
　スキルがある事は知っていたが、使い方はある時に急に分かるようになるらしい。
　レベルの概念もなく、神からの祝福で魔物を殺すと体が強くなったり、魔力が増えたりすると思ってる。
　人間が、人間を殺してもレベルが上がらないらしい。
　これは、街に入ってからも情報を集めないと分からないが、鑑定のスキルも無いだろうな。
　【魔眼】は異能だしね。
　世界に一つしかない能力だし、これは大きなアドバンテージだろう。

　「さてさて、これからどうすっかな」

　親分の情報では、別の縄張りにも盗賊がいるらしい。　
　強さは大した差がないみたいなので、そちらも殺して欲求を満たすべきだろう。
　やはり殺しは良い。
　改めて実感した。
　この調子でこの辺りの盗賊を殺して回ろう。

　「そうと決まれば善は急げだ！　こいつらの戦利品を回収して次に向かうぞ！」

　俺は盗賊が奪った色々な物をとりあえず影の中にぶっ込んで次の目的地に向かった。