サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第56話 迷宮都市ラビリントス

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 「や、やめ…」

 「はい、すぱーんっと」

 俺は命乞いしそうだった盗賊の首を手刀で切る。
 やっぱり【音魔法】は便利すぎる。
 体術も最近は中々サマになってきたし。
 体を効率的に動かす事がここまで効果があるとはな。
 魔物にも人間のスキルレベル制を導入してくれないかな。
 数字が全てではないのは分かってるんだけど、モチベーション的にね。
 成長を実感出来る方がやる気も出ると思うんだよね。

 「やはり盗賊が増えてきましたね」

 「あ、そっちも終わったか」

 グレースが盗賊の首を持ちながら話しかけてくる。
 こいつも野蛮になったもんだな。

 「キュンキュン!」

 「ギャ? ギャギャ!」

 妲己は先輩風を吹かして、首でのリフティングをアシュラに教えている。
 初めてだからか、まだ上手に出来てないみたいだな。
 妲己のドヤ顔が可愛い。

 「探知した限りここだけじゃなさそうだな。狩り放題だぜ。戦利品も美味しいし」

 「ラビリントスまで歩いて1日程度の距離ですからね。それなりの数が居ると思われます」

 迷宮から出た魔道具や素材を運ぶ商人は山程いるからな。
 盗賊も湧くってもんよ。
 そういう商人ばっかりだからか、戦利品に魔道具が結構あって嬉しい。
 素材はあんまり興味ないけど、いつか使うかもしれんしな。

 「これとか、アシュラが使うのにいいんじゃない? 鬼といったらやっぱり金棒だろ」

 「【重量調整】の金棒ですか。使いこなせれば良い武器になりそうですね。しかし、アシュラに使えるでしょうか? あの子結構馬鹿ですよ?」

 グレースさんは毒舌なのかな?
 アシュラだってやれば出来る子なんだよ!

 「ギャッ!」

 力を入れ過ぎて、首を潰してしまって血まみれになってるけど!
 きっとやれば出来る子なんだよ!
 リバーシに関しては俺より強いんだから!

 「戦利品美味しいし、このまま盗賊を狩りながら向かおうか。どうやら俺にはコレクター気質があったみたいだ」

 「かしこまりました。アシュラ、こちらに来なさい。軽く洗ってしまいますよ」

 「ギャ!」

 魔道具収集が楽しい。
 特に使う訳じゃないんだけど、色々な効果があって調べていて飽きない。
 自分で作りたいとは思わないけど、いつか魔道具職人を眷属にしてなんか作って貰いたいな。




 「ギャギャ!?」

 それからの道中、盗賊様に色々な魔道具や素材を提供頂き、探知する限り最後の盗賊集団を仕留めた時にアシュラが進化した。

 『邪鬼 (眷属)
  名前  アシュラ
  【魔物能力】
  鉄の胃袋
  剛力
  硬化       』

 今回は通常進化だったな。
 【怪力】が【剛力】になって【硬化】が増えた感じかな。
 順調に脳筋になってやがる。
 オーガみたいになるのかしらん?
 前回から半年以上経ってるけど、結構時間かかるもんなんだな。
 妲己の時もそうだったけ?
 俺は最初結構スパッと進化したからなー。

 「アシュラは影の中で新しい能力に慣れといてー。ってか、全員影の中に入って物資整理しといてくれ。ちょっと荷物が増えすぎだ。維持するの疲れてきた。俺はそのまま飛んで迷宮都市に侵入する」

 「かしこまりました」

 よーし。盗賊狩りも終わったし、一気にラビリントスまで向かうぞー。


 「城壁たけー。リブラの倍ぐらいあるんじゃないの、これ」

 日が暮れて夜も更けてきたころ。
 俺はラビリントスの上空に到達していた。
 夜なのに思ってたより明るい。
 冒険終わりの奴らが飯屋やら娼館やらで騒いでるんだろうか。

 「で、あれが迷宮か。俺には塔にしか見えないけど」

 あれだ。
 ピサの斜塔を真っ直ぐにして、大きくした感じ。
 迷宮は総じて同じ塔の形をしてるらしく、ある日突然生えてくるらしい。
 街中には生えないらしいが結構迷惑だよな。

 「これが世にも珍しい迷宮都市かー。ファンタジーしてるなー」

 この迷宮都市ラビリントスには、珍しく近い所に塔が3つもある。
 通常、こんな近くに生えてくる事はないらしい。
 そして、どれもこれもが優秀な素材を落とすらしくこの国の一大産業になっている。

 「もし、俺が国を作るとしたら迷宮は欲しいな。俺の暇潰しにもなるだろうし、これだけ栄えるならあって損はないだろう」

 どっかに野良ダンジョン落ちてないかな。
 10個ぐらい。
 そこを拠点に国を作るからさ。

 「流石にこの国を攻めるには、まだまだ実力不足だからなー。ここで成長して、何回か進化したら喧嘩売ってもいいけど」

 でも、一旦先に魔王に喧嘩売りたいんだよね。
 現役魔王様の実力を知りたい。
 物量タイプのエンペラー・リッチならなんとかならないもんかね。

 とりあえずどこかで着地しよう。
 街巡りは明るくなってからで。
 グレースを出そうか迷うけど、いきなり顔見知りに会ったりすると面倒だからな。
 バッタリ会うのはお約束だろうし。
 こういうフラグはしっかりと折っておくに限る。

 「適当に歩きながら、ユニークスキル持ちでも探すかな。そう簡単には見つからないだろうけど」

 まだグレースしか見てないし。
 何人に1人ぐらいの確率なんだろね。
 グレースは先天的に持ってたらしいけど、後天的に手に入れる人もいるらしいし。
 まぁ、眷属枠にも限りがあるから、ポンポン見つかっても困るけどさ。
 
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