サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第58話 迷宮突入

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 「どの迷宮に入る?」

 影の中で第何回になったのかも忘れた眷属会議を行う。
 暇になる度に、眷属会議~とか言って遊んでたからな。

 「難易度的にはどれも大した差はありませんからね。好みの問題でしょう」

 ご多聞に漏れず、このアインドルトという世界の迷宮は不思議空間だ。
 入ったらまるで別世界の様な感じになっている。

 洞窟タイプの迷路型のダンジョンに森林が広がってるフィールド型ダンジョン。
 最後にお城があってそれを上っていくタイプのダンジョン。
 どれもこれも、出て来る魔物の強さは迷宮を進んでいくにつれて強くなっていく。
 どの迷宮も最後まで攻略されてないので、進めば進むほど知らない魔道具等を手に入れられるだろう。

 「フィールド型の森林ダンジョンが一番安牌だろ。俺ら罠の処理とか出来ないし」

 迷路とお城は進むにつれて凶悪な罠がわんさかあるらしいし。

 「1番人気のダンジョンですね。初心者がまず入るにはうってつけなタイプです」

 「まぁ強くなれたらどこでも良いんだけど。ラビリントスに来たのは、俺達のレベルアップとグレースの顔バレ対策だし。ここで顔を知ってる人が全員死ぬくらいの時間潰せたら最高だな」

 流石にそれは無理だろうけど。
 超越者達は寿命も長いみたいだし。
 どれだけ時間潰せても10年が限界だろう。

 「ギャフッシュ!」

 「キュン!?」

 アシュラの癖のあるくしゃみに、寝ていた妲己が飛び起きた。
 妲己が寝てると高確率でやるんだよな。
 おちょくられてるとしか思えん。
 あいつも、毎回やられてるんだから慣れればいいのに。

 「んじゃ、森林ダンジョンにレッツゴー!」




 森林ダンジョンの塔の前に来ると、受付みたいなのがあり、そこで冒険者ギルドのギルドタグを提示してからダンジョンに入るみたいだ。
 ダンジョンの不法侵入は結構重い罰則があるらしい。
 まぁ、資源の宝庫だしさもありなん。
 俺は普通に不法侵入させてもらうけど。

 「次の方どうぞ~」

 俺はダンジョンに入る冒険者の影に入り、便乗させてもらう。
 一回入ったらこっちのもんよ。
 当分入り浸るからな。

 冒険者がダンジョンに入ると影から影に移動し、人気の無い所で影から出る。

 「おおー。入ってすぐ森なんだ。草原とかあると思ってた」

 「森の何処かにある階段を見つけてどんどん上に上がっていく感じですね。ひたすら変わり映えない景色を見る事になりますよ」

 「飽きそうだな。とりあえず奥に進もうか。この辺の魔物なんて糧にすらならなそうだし」

 「かしこまりました」

 妲己とアシュラはまだ出さない。
 従魔タグを付けてないから討伐対象に間違われるかもしれんしな。
 攻撃してきたら殺せばいいんだけど。
 こんな浅い階層での殺しは控える。
 もっと上級者達を相手にしたい。

 「ギャギャ!」

 「んあ? ゴブリンか」

 なんな久々に見た気がする。
 最初期はこいつにどれだけお世話になったか。
 初めてゴブリンを倒せた時は嬉しかったなー。

 「すぱーんっと」

 出て来たゴブリンを手刀で首を飛ばす。
 すると、死体は残らずに魔石だけが落ちた。

 「便利だな。解体する必要がないのか」

 「その分取れる素材は減りますけどね」

 ダンジョンでは魔石が確定ドロップ。
 その魔物の素材が3割くらいの確率でドロップする。
 ボスは確定ドロップみたいだが。
 魔道具は宝箱から出るらしい。

 「ラノベ設定をしっかり準拠してるな。この世界地球のラノベ設定から出来たんじゃね?」

 それぐらいわかりやすい設定になってる。
 セーフティゾーンとか転移装置はないけど。

 「ま、こんな浅い場所なんて宝箱も取り尽くされてるだろうし、魔物も弱い。さっさと奥に向かうぞ」

 「かしこまりました」


 その後、俺達は【音魔法】でさっさと階段をみつけ、どんどん上に上がっていった。

 「これ、何階層まであんの?」

 「現在47階まで攻略されてるみたいですね。別の塔は50階を超えてるので、とりあえずはそれ以上はあるでしょう」

 まだ最終階層まで辿り着いてないのか。
 お決まり設定なら100階層かなー。

 「って事は、まだまだ魔道具は独り占め出来るってことだな。やる気出て来た」

 なる早で現在の攻略層まで行かないと。
 その付近でも取りこぼしがあるかもしれん。
 俺は貧乏性なので取れる物は全部取りたい。


 「これが10階のボス部屋か。順番待ちしてるじゃんね」

 1組の男集団がボス部屋の前に突っ立っている。
 まあ、10階のボスなんてすぐ終わるでしょ。
 俺は煙草を咥え、影から椅子を出す。
 さっさと先に進みたいもんですな。

 「よぉ。兄ちゃん。これからボス戦か? ここを通るなら金貨1枚だぜー?」

 煙草をぷかぷかとふかしながら順番を待ってると、ボス部屋前に突っ立ってた男達がなにやらいちゃもんをつけてきた。
 リーダーみたいな男がいやらしい笑みを浮かべて俺達の所にやって来る。

 「金がねぇならその後ろにいる女を貸してくれるだけでもいいぜぇー! うひゃひゃひゃひゃ!」

 リーダーの腰巾着みたいた男がグレースをみて欲情している。
 異世界に来てここまであからさまに喧嘩売られたのは初めてだな。
 
 「レト様」

 「殺して」

 「かしこまりました」

 【魔眼】でステータスみたけど、かなり弱い。
 なんでここまで来れたのか不思議なレベルで弱い。
 殺し大好きな俺が殺すのを面倒に思うくらい弱い。
 いてて良かった眷属。

 「おいおい。ほんとに女を差し出しやがったぜ!」

 「うひゃひゃひゃ! 今日は俺達が可愛がってやるぜひゅ!」

 「ぎゃー!」

 んふっ。可愛がってやるぜひゅって。
 殺すタイミングばっちりかよ。
 グレースは無表情で首を飛ばしていく。

 「あ、ついでだからボス部屋前に晒しといてやろう」

 俺は森から大きめの木をぶっこ抜き、長めで丈夫な杭に加工する。
 【音魔法】で適当に砕きながらだから、不恰好な回になったけどまぁいいだろ。
 5人全員に同じ処置をして飛ばした頭をもう一度刺し直して、ボス部屋の前に晒す。

 「うーん。アーティスティク。裸にして腕と脚を入れ替えて突き刺そう」

 ボス部屋前に前衛アートの完成だ。
 次来た人の反応が気になる所だね。

 「やっぱり冒険者って馬鹿だな。いや、人間って馬鹿だな」

 まあ、ボス待ちの暇潰しにはなったか。
 グレースも心無しか艶々してる様にみえる。
 君は眷属になってから、殺しを楽しんでないかい?
 眷属になったら主人の影響を受けたりすんのかね。
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