サイコパス、異世界で蝙蝠に転生す。

Jaja

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第四章 迷宮都市ラビリントス

第67話 拷問の様な能力選択

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 「って事なんだが」

 「上位存在ですか。聞いた事もありませんね」

 「俺はこの上位存在ってのが、神様だと思ってるんだが。ってか、テムテン様かアイシュ様のどっちか。スキルなんてのに干渉してるぐらいだぞ? そのどちらか二柱の神様でいてくれないと困る。ここで別の何々でしたーとか言われたらなんか世界の謎的なのに首を突っ込んでるみたいじゃん。そんなめんどくさいのはごめんだぞ」

 「そうですね。ここで別の神様なんて出て来たら教会も黙ってないでしょうし。シュルペニアの歴史を否定する事になりかねません」

 流石に最古の大国に喧嘩を売る気はまだないね。
 せめて、こちらが超越者とやりあえるのを確信してからじゃないとな。

 「とりあえずこれは秘匿の方向で。まぁ俺には明かす知り合いなんて居ないんだけどな」

 ふはははは。
 眷属以外にはまともに情報すら与えてないからな!
 はい、そこ! 友達がいないとか言わない。
 個性豊かな眷属が居るので良いのです。

 「正直、今考えても分からない事だらけですね。強くなれば名前が分かるかもしれないんですよね? ならば、今とやる事は変わりませんし」

 仰る通りで。
 ここで、転生させてやったんだから何々しろよとか言われてたら話は別だが。
 従わないと、能力を剥奪するぞとか言われたら従わざるを得ないし?
 でも好きにやっていいみたいなので。
 お墨付きを頂いたので、ダンジョンから出たらもっとはっちゃけてやろうかと思います。

 「じゃあ、後は選べる様になった能力か」

 「破格ですよね。そんな事が出来るのにも驚きですが」

 「人間は反復練習したらスキル覚えれるじゃん」

 「そうですけど。かなり時間をかけて努力しないとダメなんですよ? 剣術の練習をしても適性が無ければ、1年努力してもスキルを覚えた感覚は得られない事もあるそうですからね。知恵も力もある魔物が自分に合った能力を得られるなんて。今日ほど、レト様の眷属にして頂いて良かったと思う事はありません。遅かれ早かれ、勢力図が変わりそうです」

 怖い怖い怖い。
 早口で目をドロっとさせて言わないでほしい。
 
 「わかったわかった。とりあえずその目はやめろ。瞳孔開いてるぞ」

 「失礼しました」

 「よろしい。さて、どんな能力にしようかな」

 マジで、こんなに能力ってあるんだってぐらい大量にある。
 ここから一つだけ選べってある意味拷問だぞ。

 「グレース。新しい紙を用意してくれ。とりあえずこの能力一覧を全部メモるぞ」

 「それは構いませんが、何故でしょう?」

 「魔物の能力と人間で違うかも知れないが、こんな能力があると分かれば、練習次第でグレースはスキルを覚えるかも知れないだろ? だからメモって、使えそうで練習出来そうな能力があれば、反復練習で習得を目指してみよう」

 「なるほど。中々ズルい事を考えましたね」

 天才と言ってくれてもいいのだよ?
 降りて来ちゃったんだよ、天啓が。
 って事で、とりあえずこの大量の能力群を全部メモる所から始めよう。



 「わろた。グレース、お前に速筆ってスキルが生えてるぞ」

 「そりゃ、これだけ書いていればそのスキルも生えるでしょう」

 20枚以上能力を書き連ねてたら、速筆スキルを覚えるのも当たり前か。

 「国で働いてる文官とかも覚えてそうなスキルだな。まぁ、お疲れ様」

 「ありがとうございます」

 さて、書き取ったのは良いものの、かなり目移りしてしまうな。
 やっぱり拷問だぞ、これ。

 「進化する度に選ばせて貰えるって考えると、俺が後、何回進化するかも重要だよな」

 「そうですね。伯爵、侯爵、公爵までは確定でしょう。そこから先は未知ですが」

 王とかじゃないの?
 ヴァンパイアキング、レト。
 良いじゃんね。厨二心満載じゃん。

 「今回を入れて、4回は貰えそうだな。ってなると…」

 「常日頃から言っている、思考系のスキルなんてのはどうです?」

 ふむん。有りだな。
 最有力候補と言っても良いだろう。
 でも、最近そういうのは鍛えればなんとかなるのでは? とも思ってるんだよな。

 それに…。
 俺って吸血鬼じゃん?
 なんか、吸血鬼っぽい能力って【血液魔法】と【眷属化】しかないのよね。
 俺のアイデンティティの為にもここは一つ吸血鬼っぽい能力なんかも視野に入れたい所なんだが。
 そんな感じの事をグレースに熱く語ってみたんだが、返ってきた言葉はド正論だった。

 「レト様の言わんとしてる事も理解しますが。ここはまず、戦力の増加が第一でしょう。妲己が進化したお陰でムカデに勝てるかも知れませんが、それも確実ではありません。少しでも確率を上げる為には、現状で役に立つ能力にすべきです。レト様のロマンはもっと進化してからでも良いでしょう」

 ぐうの音も出ないとはこの事だぜ。
 正論は時に人を傷付けるんだな。
 俺は魔物だが。
 くぅ。霧化とか定番な吸血鬼能力が欲しかったぜ。
 形態変化とかさ。体の一部を蝙蝠やら狼に変えたり出来るんだぜ?
 ロマンの塊じゃないかよぉ。

 「ムカデに勝ってから能力を選ぶという選択もありますが。それでも超越者には勝てるかはまだ分かりませんからね。ただでさえ、レト様は勢いで行動するんですから。ここは慎重に使える能力にして下さい」

 「分かりました」

 グレース先生に御説教を頂き、その後もかなりぐだぐだと悩んだ。
 使える能力に絞っても選択肢が多すぎる。
 それでも鋼の意志で取捨選択をし、一つの能力を選んだ。
 早くも次回の進化が待ち遠しくなってる。

 「よし! じゃあ試しに行くか!」
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