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第四章 迷宮都市ラビリントス
第83話 いざ、51階層へ
しおりを挟む「転移ってこんな感じなんだな。影で移動するのと似てる」
薬を使い切るまでムカデを叩きのめして、転移の双釘を使って50階のボス部屋前にやってきた。
1ヶ月ぐらいムカデを見続けて、頭がおかしくなりそうだったぜ。
「まっ、そのお陰でテレサも中々レベルが上がったし、アシュラもそろそろ進化出来るんじゃね? ってぐらい頑張ってたからな。良しとしましょう」
マジで、せめて眷属の経験値量が分かる様になりたい。
心構えとかもあるしさー。
上位存在さん、なんとかなりませぬかね。
人間のレベルは分かるんだしさ。
残念ながら、テレサは一人でムカデは倒せなかった。
アシュラは倒せたんだけどな。
前は無理だったけど、身体強化の練習を嫌々ながらも地道に頑張ったお陰だろう。
金棒でぺちゃんこにしてた。
それでも結構時間かかってたからな。
この1ヶ月は、テレサとアシュラが二人でムカデ相手に奮闘してたって感じだ。
で、ムカデ特効薬が無くなったからそのまま一階ずつ登ってきても良かったんだけど、どうしても転移を体験してみたくて。
あと、虫階層を飛ばしたくて。
ボス部屋前までショートカットしました。
妲己とアシュラには猪の階層も飛ばす事に抗議してきたけど。
「で、釘を回収と。便利だな、これ」
もっと欲しいな。千セットぐらい。
気に入った場所に全部刺しておきたい。
影の移動でも、転移っぽい事は出来るんだけど。
タグ付けしとかないとだし。俺の記憶力依存だし。
しかも地形が変わったりして、そこに影が無くなってたら移動出来ないんだよね。
「テレサが【空間魔法】覚えてくれたら良いんだけどさ。まず魔法書をドロップさせないと」
さて、その為にはボスをしばきますかね。
新しい階層も楽しみだし。
「テレサ! 魔法!!」
「………燃やすの」
「ゴギャラーッ!!」
現在50階ボス戦。
テレサとアシュラの二人だけで任せてみてる。
一応すぐにサポート出来るようにはしてるけど。
てか、妲己がハラハラしながら見てるからやばそうになったらすぐに飛び出すだろう。
こいつの面倒見の良さは一体なんなんだ。
やはり、妲己の名前は間違いだったかもしれん。
確か悪女だったよね? 妲己って。
戦況は悪くない。
まだまだ自分で考える事が未熟なテレサは後ろから声をかけてサポートはしてるけど、アシュラの成長が著しいね。
しっかり前衛で相手を止め切っている。
因みに、ボスはミノタウロスだ。
サイズがでけぇんだ、これが。
5mぐらいある。一般男性の平均身長ぐらいしかないアシュラは良くやってるよ。
ちゃんと止めれてるんだから。
「ゴギャ! ゴギャ!」
「ブ、ブモーッ!!」
執拗に足の指ばっかり狙ってたアシュラの頑張りの成果が出てきたな。
体勢が段々と下がってきてる。
そして膝を狙うと。
なかなか嫌らしい戦い方をするようになったな。
「……ビリビリバチバチ」
テレサはあれね。魔法名なんかほしいね。
子供らしくて可愛らしいんだけど。
気が抜けると言いますか。
厨二病を患うまで待つか、俺が病原菌を撒き散らすか。
迷いますなぁ。
「終わりそうだな」
「終始安定してましたね。【戦闘学習】の効果もあるんでしょうが、アシュラの伸びが凄いです」
膝も潰されて、もう這いつくばるだけのミノさんをアシュラは顔面滅多打ち。
抵抗しようにも、テレサの【雷魔法】で麻痺してるのか体を上手く動かせていない。
見てて可哀想になるぐらいのボロ雑巾になって最後は光になって消えていった。
「ゴッギャラー!」
「……やったの」
アシュラが勝利の雄叫びを上げて、テレサが鼻息荒くふんすふんすしてる。
余り感情を見せないテレサから、そういった挙動が見られるのは良い事なんじゃないかな。
「お疲れちゃーん! 二人とも良く頑張ったな!」
「もうテレサには勝てそうにないんだぞ!」
ウェインは生産職だから仕方ないさ。
君は俺と眷属達の裏方を一手に担う重要な役割があるんだから。
ある意味そっちの方がしんどいぞ?
さてさて、宝箱はなんじゃろな~。
「さっ、誰が開けるんだ? 俺はワクワクするだけでいいからな」
俺は開けたいんじゃなくて、開ける瞬間が見たいだけなので。
俺の前で開けてくれるなら誰でも良いんだけど。
妲己がソワソワしてるけど、今回戦ってないから我慢してるみたい。
君は面倒見が良いけど子供っぽい所もあるね。
それが可愛いんだけどさ。
「ゴギャ? ゴギャギャ?」
「……一緒に開けるの」
おおー! 中々仲良くなってきたじゃん!
ようやっと、慣れてきたのかな?
俺との距離は未だに微妙なんだけど。
眷属化さん仕事してくれませんかねぇ。
忠誠心と仲良さは別物って事ですか。そうですか。
「ん? おお? おお!? 当たりなんじゃないの?」
「腕輪ですか? 効果はなんでしょう?」
「賢者の腕輪だって。魔力回復促進、魔法効率化、威力増強。テレサにぴったりじゃん」
なんなら俺が使いたいぐらいだが?
妲己でも可。妲己に腕輪あげたんだけど、【火炎魔法】になってから、魔道具の恩恵を受けれなくなったんだよね。
スキルが上位なると、意味がなくなるとは。
俺の【影魔法】の魔道具も一緒。
まぁ、支配になって魔力消費が無くなったから、良いんだけどさ。
でもこの魔道具は魔法全部が対象っぽい。
破格の能力を持ってる。
魔道具ガチャ。中々闇が深そうだぜぃ。
「………テレサが使っていいの?」
「賢者って書いてるしテレサ向けだろ。多分。知らんけど。俺と妲己は今の火力で困ってないしな」
「キュンキュン!」
「…ありがとうなの。大事にするの」
よしよし。これで仲良しポイントも貯まっただろう。
物で釣るのは常套手段よ。ふはははは!
「もしかしたら、いつかウェインがダンジョン産とは比べ物にならないぐらいの魔道具作ってくれるかもしらんしな。俺はそれを楽しみにしてよう」
「任せるんだぞ!」
君には生産系ラノベ主人公になってもらう。
頑張ってくれたまえ!
それとは別に魔道具コレクションは続けるけどね。
影の中に特に使い道のない魔道具はいっぱいあるけど。
いつか使うかもしれんし。
家具屋からパクった棚に並べてるんだけど、これが中々俺の心を擽るんだよね。
なんかそれを見ながら血を飲むと美味しい気がするんだ。
「さてさて。それじゃあ、51階層に向かうか! どうせ森だろうけどさ」
俺は煙草を咥えて、意気揚々と階段に向かう。
誰も行った事ない場所ってワクワクするよね。
それが例え同じ景色であろうと。
みんなでわちゃわちゃしながら、階段を登る。
そして51階層。
俺達の目に飛び込んできたのは、確かに森だった。
「中心? 多分中心地にどでかい山があるな。いや、待て待て! マジか!?」
「こ、これは不味いですね…」
中心に山があって、それを森で囲ってるような階層。
俺は今までとは違う景色に内心浮かれていたが、ダンジョンさんは優しくなかった。
俺達が足を踏み入れた瞬間、山が噴火した。
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