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第四章 迷宮都市ラビリントス
第90話 空狐
しおりを挟む海の階層は特筆すべき事は何もない。
階層を進めて、血をストックする。
満足したら、島に向かう。
階層を進める。これの繰り返しだ。
「だめだ。マジで飽きる。どれだけ血が魅力的でも面白くなかったらダメだな」
最初は良かったんだけどさ。
同じ事の繰り返しってのはだめだ。
頭がおかしくなる。
戦わな過ぎるのはダメだろうと、小島にいる魔物はグレース、アシュラ、テレサに任せてるんだけど、レベルの上がり方はよろしくないね。
それだけ俺達が強くなったって事なんだろうけどさ。
テレサはまだカンストもしてないのに、小島の魔物は普通に倒せてる。
やっぱりあのムカデはおかしいよ。
「ダメです。モチベーションが湧きません」
現在79階。
もう少しでボスなんだが、とうとうやる気が無くなった。
攻略を進める事なく、影で妲己の体に埋もれている。
「ずっと戦いっぱなしだったんですし、偶には良いんじゃないですか?」
「当分動く気になれなーい。面白くなーい。人間殺したーい」
多分、最近人を殺してないからいけないと思うんだ。
階層を進めすぎて人間なんていないからね。
かといって、ここから地上に戻るのはだるすぎる。
【空間魔法】の魔法書が欲しいー。
テレサに覚えさせて楽したいー。
あーなんか面白い事起こってくれないかなー。
「はぁ。そろそろ活動再開するか」
「頑張って下さい」
結局、半月ぐらい影の中に引きこもった。
珍しくウェインと料理してみたり、テレサには現代知識の基礎を教えてみたり。
妲己とアシュラとは麻雀とトランプでこれでもかってぐらいボコボコにしたり。
日頃のボードゲームでの負けの鬱憤をイカサマを使って発散してやった。
恐らくまだイカサマがバレてないので、この調子でマウントは取れるだろう。
現在二人は、何故負けたのかを話し合ってリベンジ戦を目論んでるところだ。
グレースとは毎日のように盛ってる。
そのせいか、肌艶がもう凄い。
俺も負けてられるかと【感覚狂乱】を使いまくったが。
だいぶリフレッシュしたが、それでもモチベーションはまだ上がってこない。
この迷宮攻略しても、まだ後二つあるんだよな。
耐えれる自信がありませぬ。
何かモチベーションになる物を見つけないと。
「鯨か。でっけーなー」
80階のボスは鯨だった。
海と、小島が半分ずつに分かれたステージでかなり戦いやすい。
なにせ、あちらから近付いて来てくれるので、飛ぶ必要もない。
さーていっちょ揉んでやるかねと思ってたら、妲己が先制攻撃。
「え? なにそれ? かっこよすぎない?」
「キュンキュンキューン!」
雷を巨大な妲己の形にして鯨に突撃させる。
妲己の3倍ぐらいの大きさの雷妲己は、口を開けて噛み付く。
そして尻尾を叩きつけて更にダメージを与えると、鯨は悲鳴を上げる。
「グモォォォオオ!!」
「雷獣的な? いつの間にこんなかっこいい技を練習してたんだ」
妲己は雷を巧みに操り、どんどん攻撃を与えていく。
雷獣を操りながら、別に【幻影魔法】を使って、そこからさらに落雷を落としていく。
「えぇ。地獄絵図。妲己1人で小国は滅ぼせるんじゃないのかね」
目の前に映っているのは天変地異。
容赦なく雷を落としていく妲己と、こちらに近づく事すらできない鯨の魔物。
ここ、80階のボスなんですけど。
「キュンキュンキューン!」
「え? あ、死んだ」
始まって5分も経たずにボスは死亡。
俺はただ見てるだけだった。
「キュッキュキュン!」
ドヤ顔が可愛い。それをする権利はあるけどさ。
「ん? あっ!」
一通りドヤ顔して満足した妲己が、光に包まれてパタリと倒れた。
進化ですな、これは。
「うひゃー! 妲己はもう少しで進化するって分かってたのかな? いつもなら俺の合図を待たずに攻撃するなんてしないし」
とりあえずドロップと宝箱を回収しよう。
都合良く、小島にドロップしてるからな。
「む? サイズ変更の足環? なんか都合が良いな。妲己に欲しいと思ってた魔道具じゃん」
80階のドロップにしては渋いと思うんだけど。
いや、サイズを変えるって実際はとんでもない事なんだろうけどさ。
これだけってのはなんか物足りないよね。
妲己を影の中に回収して、進化終了を待つ。
正直、進化するとマジで俺達の中で一番強いのが妲己になっちゃうよね。
今でギリギリ勝てるかどうかだったのにさ。
俺も早く進化して、伯爵にならないと。
流石に眷属に負けてる状態ってのは良くないと思うんだ。
ボードゲームはボロ負けだけどさ。
「よし。なんかモチベーションが復活してきたな。もっと積極的に魔物を狩ろう」
それでも、後半年はかかりそうだが。
『空狐 (眷属)
名前 妲己
【魔物能力】
超念力
火炎魔法
再生魔法
雷轟魔法
幻影魔法
天空歩 』
「キュッキュキュン! キュッキュキュン!」
進化が終わった妲己のテンションはとても高い。
サイズ変更の足環をあげたからだろうか。
今は子犬サイズの狐になっていて、出会ったばかりの頃を思い出す。
正直かなり愛くるしい。可愛さが天元突破している。
コテコテと走り回ったと思えば、俺の頭の上が定位置と言わんばかりにやってくる。
進化してない妖狐の頃はそうだったな。懐かしい。
元のサイズはかなりでかい。
体長は5m超えてるんじゃないかな。
一気にでかくなったなと思う。
尻尾も7本になり、順調に九尾への道を歩いてるんじゃなかろうか。
これ、どうせ次は天狐だろう。
天狐で最後なのかな? 確か狐の最高位とかだったよね。
すると尻尾が一本足らないのが気になるな。
間になにか挟むんだろうか。
レト君気になります。
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