95 / 184
第四章 迷宮都市ラビリントス
第91話 レト、奮闘
しおりを挟む「キュン! キュン!」
「そうか。とうとうお前も空を駆けるようになってしまったか。俺のアドバンテージがどんどん無くなっていくな」
【天空歩】を使って楽しそうに俺と一緒に空を走っている。
空中に足場を作る能力って感じかな?
魔力消費も全然だし、使い勝手が良さそうだな。
今は体の大きさを元に戻してるけど、走るのに疲れたら小さくなって、俺の頭の上に来るだろう。
すっかりお気に入りの場所になってるな。
「強くて可愛い。お前は無敵だな」
「キュ?」
主人として、俺もさっさと進化しないとな。
妲己にも手出しを控えて貰って俺メインで、やらせてもらおう。
「魔物って魔力に寄ってくるんだな。今まで意図的に遮断してたから知らなかったや」
現在86階。
なんとか効率良く魔物を狩れないかと、考えていた時に、ラノベで良くある魔力だけを放出して魔物を集める的な事してみたら、狂った様に集まってきた。
「魔石を食べると魔力量が増えて強くなるし、本能的に魔力が糧になるって分かってるのかな?」
これ、魔物寄せの香水と変わらないじゃん。
スタンピードの時、もっと簡単に誘導できた。
まあ、今更って感じだし、次やるか分からないけど、一つ勉強になったし良いか。
「ソニックバリスタ」
小島に立っている俺を目掛けて、襲いかかってくるサメ系の魔物。
迫力があってとてもスリリング。
前世のジョー○なんて比じゃないね。
俺は襲いかかってくる魔物を【音魔法】で次々と仕留めていき、影を使ってドロップを回収する。
これが案外マルチタスクの良い練習になるんだ。
仕留めつつ、回収しつつ、魔力を放出して更に魔物を誘き寄せる。
魔力消費が結構しんどいけど、以前と効率は比べ物にならない。
なんでもっと早く気付かなかったのか。
「およ? 魔物が出て来なくなったな? 品切れか?」
1時間程、サメと戯れてるとピタッと魔物が来なくなった。
迷宮の魔物ってその階層の魔物を狩り尽くすと、1日経たないと復活しないんだよね。
浅い階層で試した事あるから間違いないはず。
「多分、場所を変えたらまだ居るはずだけど」
俺の魔力量は多い方だけど、流石に高階層全域に行き渡らせる程はない。
いや、頑張れば出来るかもだけど、それをすると攻撃する魔力が無くなる。
「ふーむ。魔力的には後2.3回は出来そうだな。それが終わったら次の階層に向かうか」
1日のルーティン的にこなせそうだな。
1日1階層進めるか。
効率が良いから、暫くここで狩りするか。
どっちにしようかね。
「これは良いな。滞在して良かった」
1週間で1割ぐらい経験値が増える。
この調子なら後3週間ぐらいで進化だな。
「小島に寄って集って来るからみんなも戦えるし、迷宮にてとうとう効率の良い狩場を見つけてしまったな」
「狩場というより、魔力放出のお陰でしょう。今思えばって感じですが、これをもっと早く気付いておけば、猪狩りももっと楽だったでしょうね」
魔力をほとんど使い切る勢いでみんなで狩りして、今日は終了。
影の中でゆっくりと休息である。
猪狩りの時に気付いてればなぁ。
探知しては向かって狩るを繰り返してたからな。
向こうから来てくれる方が効率が良いに決まってるんだよ。
「はい、ツモー! 8000オール。アシュラ飛んだんじゃね?」
「ゲギャ!?」
「ふはははは! まだ俺に挑むのは早かったみたいだなぁ!」
俺はグラスにサメの血を入れて、煙草を吸いつつ高笑いする。
神業のような積み込み技術を舐めてもらっては困る。
前世でどれだけ練習したと思ってるんだ。
ヤクザ共は自動配牌を使わずに、未だに手積みでやる所もあるんだ。
イカサマありきの賭け麻雀ってやつだな。
イサカマがバレると詰められるんだが。
疑われる中でもどれだけバレずにやれるかってのが大事なんだ。
俺は珍しく前世を少し思い出して、遠い目になる。中々危ない橋を渡ってたなぁ。
勝てば大金になるから仕方なかったんだけど。
妲己とアシュラも最近ムキになって、俺が勝てる遊びでしか喧嘩を売ってこないからな。
どこまでバレずにやれるもんか。
グレースは薄々勘付いてる感はあるけど。
「妲己はなまじ頭が良い分難しく考え過ぎだな。もっと単純な事なんだぜぇ」
「キュフン」
わしゃわしゃと妲己を撫で回しながら、ドヤ顔で煽る。俺に何か必勝の戦法があると思ってるんだろうけど。
まぁ、イカサマがそうなんだけどさ。
まだまだ純粋なんだろうな。
ズルをされてると思ってないんだよ。
俺の事をまだ理解出来てないみたいだな。
「さて、今日はそろそろお開きにしますかね。明日も朝から魔力無くなるまで狩りまくるぞ」
俺の進化とテレサのカンストを目標に頑張るかね。
もう少しで90台に突入だし。
驚異的な成長スピードだよな。
ウェインは生産ばっかりだから、まだ70台なんだけど。
それでも、まだ子供にしては破格の強さだろう。
レベルが上がる事によって、身体能力も相応に上がってるんだけど、運動音痴は相変わらず。
身長もほんと微妙に伸びてるんだよ。
ご飯もしっかり食べてるし、偶に血を飲んだりしてるんだけど、この時期の子供にしては伸びは悪い。このままなんとか成長して欲しいもんだ。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる