93 / 184
第四章 迷宮都市ラビリントス
第89話 ずっと俺のターン
しおりを挟む見渡す限り海。
遠見の【魔眼】で見た感じ、かなり遠くに島があるっぽい。あれが階段だろうか。
「よし、ウェイン。船作れ」
「無理なんだぞ!?」
困りましたな。俺は飛べるから、向かおうと思えばすぐに階段まで行けるんだけど。
道中魔物と戦えないね。
「ここまで到達した冒険者はどうやって攻略するんだろうな。そういう魔道具とかあるのかな?」
「魔法鞄で小型の船を持ち込むみたいですよ。ここまで高階層に海はありませんでしたが、神聖王国にも海がある迷宮があった筈です」
「戦いにくそうだなぁ。いや、低階層なら魔物も弱いからなんとかなるのか」
「そういう事ですね」
これ、攻略出来る人間いないんじゃないの?
70階も超えると魔物も強いし、船守りながら進めて行くのは相当困難だろう。
「俺達はどうやって進めるかな。ウェインが超頑丈な船を作るか、俺が飛んで行くかしかないけど」
俺しか戦えないよね。ここからどこまで海ステージが続くのか知らないけど、ずっと俺のターンになっちゃうよ?
「レト様が進化を目指すなら、それで良いのでは? 経験値をここで大量に稼いでおくのはありだと思います。どうしても私達が戦うのであれば、レト様が陸地近くまで、魔物を引っ張ってくるしかありませんよ」
「キュンキュン!」
「ん? どうした、妲己?」
グレースとどうやって攻略するか考えてると、妲己が何かを訴えてきた。
ニュアンスでしか伝わらないから、何言ってるか分かんないな。
「お? おお! なるほどな! それなら妲己も戦えるか!」
妲己は【幻影魔法】で俺を作り出し、翼を出してパタパタと浮かせる。
魔力消費は激しいだろうが、これで一緒に飛びながら戦えるな。
「羨ましい魔法ですね。でも幻影なら、別にレト様の姿でなくても良いのでは? 狐姿でも飛べるんじゃないでしょうか?」
「キュ? キュンキュン!」
妲己も確かに!みたいな顔して幻影を作り直す。
案の定、飛べてるね。幻影なら形に拘る必要がないもんな。
「てかさ、ここから思いっきり【雷魔法】を海に向かってぶっ放したら魔物死んだりしないかな?」
あ、いや、無理か。
確か分散するんだっけ?
雷が落ちても水中は安全みたいな話を聞いた事があるような?
海面が危ないみたいな感じだったはず。
「いいか。一回試してみよう。妲己、テレサ。【雷魔法】使ってみて」
「キュン」
「わかったの」
で、使ってみてもらったけど、魔物が死んだかどうか分からんな。
迷宮は死体残らないから、もし倒したりしてても浮いてきたりしないんだよね。
「仕方ない。海ステージは俺と妲己メインで。ボス戦は海じゃなかったらみんなで戦う感じにしようか」
それか、この海ステージは丸々飛ばすってのもありだな。
ある程度血をストックしたらそうしようかな。
「よし、今日は休んで明日から攻略しよう」
馬車のセッティングが終わったのか、グレースがソワソワしてるっぽいんだよね。
勿論、俺も楽しみにしてるのであります。
「ヌルゲーすぎる」
翌日。
どうせ、今日から当分影の中に居るんだからと、グレースをグデグデにしてやった。
いつもは寝ても俺が影から出る時には起きてくるのに、まだ寝てるっぽい。
久々だからハッスルしすぎたな。【感覚狂乱】さんにも感謝です。
まさか、あんな使い方が出来るとは。
これからの性活が楽しみになりました。
で、とりあえずどんな魔物が出てくるのかと、海面ギリギリを飛んで、誘き出してみたんだけど、出て来たのはマーメイド系だった。
【呪歌】ってスキルで、デバフをかけて【水魔法】で仕留めるのが攻撃スタイルらしいんだけど、俺と妲己には相性が悪過ぎる。
俺は【音魔法】で遮断出来るし、妲己は本体が影の中だから、幻影に【呪歌】の効果がない。
ただ【水魔法】を躱して仕留めるだけの簡単な作業になるな。
「うんみゃーい!! うみゃい!!」
面白くないなら、さっさと飛んで行けばいいのだが、そうは問屋がおろさない。
血が美味しすぎるんだよ。
ストックいっぱいしとかないと、絶対後悔するレベル。
やっぱり海の魔物は美味しいんじゃー。
「海っていいなぁ。何処かに腰を落ち着けるにしても、海が近くにある場所にしよう」
因みに、マーメイド系はとても醜い顔をしている。ゴブリンと良い勝負だ。
マーメイドは美人という幻想を壊されちゃった感はあるよね。美人でも殺すんだけどさ。
「そろそろ、島に向かうか。海の魔物はこれからも続くだろうし」
名残惜しいけど、まだ見ぬ海の魔物の血の味が気になる。
血をストック出来るから良いんだけど、ドロップアイテムを回収出来ないのはよろしくない。
もったいない精神で心がやられそうだから、早めに抜けたいけど、血もストックしたい。
今の所、天秤はストックの方に傾いてるけど。
「島に到着したけども…?」
小さい小島で、半径1kmもないくらい。
島の真ん中に階段らしきのも見かけたけど、ここにも魔物がいるみたい。
「サハギンってやつか。無視して階段に向かってもいいけど、血が気になるな。海の魔物かどうかは審議に値するけど」
半魚人だし、海の魔物かな。
ラノベによっては、マーメイドとか魚人って人権があるみたいだけど、この世界は魔物扱いみたいだな。
マーメイドの血とか何かの薬に使えそうだけど。
当分は俺の嗜好品扱いですな。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる