98 / 184
第四章 迷宮都市ラビリントス
第94話 腐食の効果
しおりを挟む「さてと、腐食の効果を確認したい所だけど、今日はもうサハギンエンペラー君倒しちゃったんだよな」
「ああ。都合の良い実験体が居ないんですか」
「ボスで思ったより魔力使ったし、明日にしようか。早速試してみたいところ悪いけど」
「いえ、この剣にも慣れないといけませんし、明日までにはそれなりのものにしておきます」
【血液魔法】でゴリ押しした時に、思ったよりも魔力持っていかれてるんだよね。
別に戦えない事はないけど、やるなら万全にやりたいし。明日からは魔力回復ポーションも飲んで狩りしないとな。飲みたくないんだけどさ。
そして、翌日。
いつも通り復活してる実験体に笑顔で挨拶して、影で拘束する。
周りのモブサハギンも何体か捕まえておき、残りはスパッと始末する。
「はいよ。じゃあモブから試してみるか」
「ありがとうございます」
「クブブブブ!」
どうでも良いけど、サハギンの声って気持ち悪いよな。
なんか醜男の声を更に酷くした感じ。
毎回これに付き合ってる俺達はなんて慈悲深いんだろうか。
感謝しろよな、実験体。
「使い方は聞いていた通り、魔力を流す感じですね。身体強化との併用は練習しなければなりません」
「あー、身体強化しつつ、魔力を剣に流しつつってしないとダメか」
微妙にめんどくさいんだな。まぁ、普段から魔力操作の練習はしてるし、そこまでの難易度じゃないだろう。
「では」
「グブッ!? グブ! グブブーッ!」
「うわぁ。腐るってこんな感じなんだ」
グレースが軽く斬りつけた所から、肉体が腐っていく。これはひどいな。拷問向けの魔剣じゃん。
「少し時間は掛かりますが、しっかりと腐っていきますね」
「どういう原理でこうなってるんだろうな。まぁ、魔法とか魔剣に意味を求めても仕方なさそうだけどさ」
じゃ、続きまして、エンペラー君。
強さで腐っていく時間も変わっていくだろうしな。しっかり確かめないと。
なんか顔がもう、諦観してる感じのエンペラー君だけど、気にしてはいけない。
君は俺達の礎となるのだ。
「グブブーッ!」
「そんなに時間は掛かってないか? 誤差レベル?」
「ですね。中々使えるかもしれません」
中々良い魔剣を手に入れましたな。
俺の運も捨てたもんじゃない。
「これ剣士同士で戦ってる時に、徐々に相手の剣を腐食させていくと、面白い事になりそうだな」
「相手が不壊の効果がついた武器を持っていなければですけどね」
まあ、それはそう。そこは気にしても仕方ない。
てか、剣士同士じゃなくても、近接武器同士なら効果を発揮するな。
なんかグレースが一気にパワーアップしたぞ。
「対人の方が使い勝手の良さそうな魔剣ではあるな。ここは迷宮だから、素材を傷付けるとか考えなくていいけど、外に出たら気にしないと」
「確かにそうですが、魔力を流さなければ、唯の壊れない剣としても使えますからね。悪くないと思います」
あ、そうか。魔力流さなければいいだけか。
やっぱり当たりを引いたなぁ。
この調子でアシュラとテレサの武器も手に入れたいね。
テレサは現状何も持ってないけど、杖とかの補助武器があれば、更に強くなるだろう。
賢者の腕輪が強すぎるんだけどね。
「ふむふむ。問題なさそうだな」
最近は俺の進化の為にメインは俺が戦ってるけど、一日一回は魔物の群れと戦ってもらっている。
いつもの様に、魔力放出で誘き寄せて戦ってるんだけど。
やっぱり一番安定してるのは妲己だね。
見てて安心感しかない。それでいて、毎回課題を持ってやってるのか、戦い方を変えて色々試してるんだから凄い。
最近使ってなかった【超念力】の新しい使い方を考えるなど、向上心の塊である。
一番時間が掛かってるのはアシュラだ。
ゴリゴリの近接マシーンだからか、一体ずつ倒していかないといけないのがね。
遠距離攻撃出来る能力がほしいところかな。
そのうち、金棒振り回して衝撃波とか出せないもんかね?
グレースは新しい剣を慣らしながらだが、特に問題はなさそう。
しかし、やっぱり両手で使った方が安定してするらしく、手に付けている盾を手放すかどうか悩んでるみたいだ。
最近、盾術のスキルが上位化したばっかりだしな。悩むのも無理はない。
宝箱から良い感じの盾とか出たら悩むまでもないんだろうけど、流石にそこまで都合良くはいかないな。
テレサは苦戦してるが、弱音は吐かずに頑張っている。
まだ、魔力回復ポーションが無ければ群れの最後まで戦えないけど、ちゃんと一人でも戦えてるしな。前衛もいないのに良くやってると思う。
段々と倒すスピードも上がってきてるし、この調子で頑張ってもらおう。
進化もしてほしいしな。
ウェインはやっぱりまるっきり戦えない。
偶に薬の実験がしたくて、影から出て来るんだけど、自分は効果確認をしてるだけで、実行してもらうのは、手が空いてる人にやってもらっている。
もう、戦うのは諦めたらしく、割り切って生産に振り切っている。
もっとしっかりとした設備で落ち着いてやらせてあげた方がウェインの為なんじゃないかと思っちゃうね。当分は無理っぽいんだけど。
「で、俺か」
一日一回のボス狩りも順調で、武器は相変わらずドロップしないが、魔法書や魔道具はドロップしている。
賢者の腕輪程の効果を持った魔道具は未だにないけど、全身魔道具コーディネートにしたいから頑張りたい。
「多分意識失うから、後は頼むな」
「かしこまりました。お任せ下さい」
この群れで、器がMAXになるはず。
本当に長かった。せめて妲己と互角にはなれる程度に進化しますように。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる