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第四章 迷宮都市ラビリントス
第112話 夜叉
しおりを挟む『夜叉 (眷属)
名前 アシュラ
【能力】
弱肉強食
金剛城塞
戦闘学習
修羅化
魔纏鎧 』
「ゴギャー!」
「キュン!?」
「びっくりしたぁ。起きて雄叫びの続きをするなよ」
アシュラが進化中って事で、影の中に入ってみんなで休憩してたんだが、アシュラが起きた瞬間叫んだ。雄叫びの続きのつもりらしい。
「【魔纏鎧】覚えてるじゃん。アシュラに使いこなせるのか?」
早速【魔眼】で種族と能力を確認してみたが、夜叉ってかっこいい種族になっていた。
アシュラのくせに、かっこいいだとぉ。
けしからんな。お兄ちゃんのくせに。
「【狂化】が【修羅化】か。どういう感じになったのか気になるな」
見た目はちょっと大きくなったな。
前は2mあるかないかだったけど、今回の進化で確実に2mは超えている。
NBA選手ってこんなんなんだろうなぁとかどうでも良い事を考える。
顔も男臭い、武士って感じだったのに、ちょっとイケメン寄りになってる。
「ゴギャ? ゴギャ?」
「キュン!」
「かっこいいんだぞ!」
「…悪くないの」
尚、性格は変わってない模様。
今もどう? どう? って感じでみんなに進化した体をポージングして見せつけている。
「前ほど、格が上がったって訳じゃなさそうだなぁ。強くはなってるけど」
「アシュラに【魔纏鎧】ですか。使いこなすと、近接戦は負けるかもしれませんね。精進します」
脳筋に【魔纏鎧】はピッタリだろうな。
正に鬼に金棒ってやつですわ。
「うーん、次はこう来たか。くそだるいな」
71階からはやはりステージが変わっていた。
沼はそのままに天井がかなり低くなっている。
「いやらしいですね」
「普通の人間はマジでどうやって攻略するんだ?」
俺の身長は180cmぐらいなんだが、普通に立っていると、ギリギリ頭が天井につかないぐらいだ。
アシュラは中腰気味になっている。
「まともに戦わせる気がないよな。今考えたら最初の迷宮が一番戦いやすかった」
もう一つの迷宮がどうなってるかは知らないが。
「とてもじゃありませんが、剣を振り回したりは出来ませんね。天井に当たりそうです。素手で戦うしかなさそうです」
「アシュラはこれ無理だろ。影の中で待機かな? 【魔纏鎧】の練習でもしといてもらうか」
「ゴギャ…」
せっかく進化してやる気満々だったところ悪いけど、中腰ではまともに戦えないだろ。
影の中でウェインと遊びながら練習しておいてくれ。
「妲己はサイズ変更の足環があるから大丈夫でテレサも身長的に問題無し。俺とグレースが窮屈な感じになるな」
「こうなってくると、サイズ変更の魔道具が欲しいですね」
それな。俺もショタサイズで戦えたら楽なのに。
レッサーの時を思い出すぜ。
3歳児サイズで盗賊狩りに勤しんだもんだ。
……今考えたら向かってきた盗賊達は意味分からなかっただろうな。
幼児が急に襲いかかってくるんだから。
「じゃ、進みますか。あまりにも怠かったら、飛んでショートカットも考えよう」
「いたっ。うざい!! 天井め!」
「イライラしますね」
戦い始めて少し経ったんだけど、ちょっと激しい動きをしただけで、頭を天井にぶつける。
テレサと妲己は気持ちよく戦ってるんだけど。
グレースも俺と10cmぐらいしか変わらないからな。かなりの頻度で頭をぶつけている。
「無理。飛ばすぞ」
「賛成です」
飛ぶのも苦労するんだけどね。
上空に上がれないから、スーパーマンみたいな飛び方をしないといけない。
あの体勢、維持するのはかなり疲れる。
世のヒーローの筋肉はどうなってんだ。
「俺が飛んでる時は妲己が魔物の対処してくれ。グレースとテレサは影の中で」
「キュン!」
「罠はどうなさるんです?」
「【魔纏鎧】使って漢解除する。妲己も【超念力】は常に使えるようにしといてくれ」
罠は強行突破するものだ。
偉い人もそう言っていた。
90階のボスまで来るのに1週間掛からなかった。
魔物は妲己がシューティングゲーム感覚で仕留めていくし、ドロップは影を使って上手に回収。
久々に妲己とずっと二人ってのも新鮮だった。
お陰でかなりご機嫌だ。
「あ~気持ちいい~」
「按摩なんてスキルがあるんですね」
ただ、ずっとスーパーマン飛びをしてたから、体が変に疲れている。
なので、グレースさんに毎夜マッサージをしてもらっている。
やらしいマッサージではない。正規のやつだ。
グレースが按摩スキルを覚えたお陰なのか、かなり気持ち良い。
まぁ、マッサージが一通り終わったら夜の戦に突入するんだけど。
「妲己に【再生魔法】も使ってもらってるんだけど、マッサージを受けた方が疲れが取れる気がするなぁ」
「マッサージも奥が深いのですね。中々面白いです」
スキルを得てから、レベルアップの為に他の眷属にもやってるらしい。
やり方はスキルが教えてくれるしね。
「ここまで早かったなぁ。もうちょっとゆっくり進んで進化をする予定だったんだけど」
「外れ迷宮でしたね。その分次の迷宮で少し時間をかけましょう。流石に戦わなすぎて、超越者と戦うには不安です」
「だなぁ。アシュラも【魔纏鎧】の実戦練習させたいし」
多分、ここからボスラッシュだからそこでも試せるけど。
せめてもう一回ずつみんな進化したいね。
人間から眷属になった組は更に進化するのかは知らないけど。
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