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第6章 春到来
第137話 VS江陵2
しおりを挟む「なに? みんな金子の事嫌いなの?」
「ここまでがおかしかっただけだよ」
一回裏の龍宮高校の攻撃はなんと三者凡退。
ウルはファーストライナー。タイガはキャッチャーフライ。レオンはなんと三振である。
レオンは三振である。大事な事だから2回言いました。
さっき正論パンチされたから、おちょくってやろうと思ったのに、あいつはそそくさと守備に行きやがった。高校球児の鏡かよ。
「あのピッチャーって神宮の時も投げてた人ですよね? あんな変化球ありましたっけ?」
「冬でパワーアップしたんだろうね。俺達も変わった事はあるんだし、他校がレベルアップしてるのは当たり前だよね」
江陵のエースピッチャーはここまで、ここまで投げてなかった新しい決め球、フォークを投げてきた。レオンが三振するぐらいだし、付け焼き刃じゃなくしっかり仕上げてきたんだろう。
「もしかしたら、神宮の時も温存してた可能性もありますよね」
「この組み合わせが決まってからうちに照準を合わせてたんだろうね」
結構な事じゃないか。とうとう龍宮高校も強豪校として見られてきたって事だろう。
ここまでの戦いを見ればさもありなんって感じだけどさ。
「あのフォーク打てますかね? ベンチから見ても凄い落差だったけど」
「1.2巡目は手こずるかもしれないね。でもうちの打線だよ? なんとかしてくれるに決まってるさ」
流石キャプテン。打線に全幅の信頼を寄せておりますな。まぁ、それは俺もなんだけど。
「問題はそれまで金子が頑張れるかだけど」
「心配なさそうだね」
キャプテンと喋りながら、二回の金子のピッチングを見てるけど、あっさりツーアウトを奪っていた。
この回からはストレートも投げてるけど、色々な種類のカーブに手を焼いてるみたいだね。
「相手も神宮で当たってるし、金子のカーブの厄介さは分かってたはずですけど」
「レベルアップしたのは相手だけじゃないって事さ」
この冬、金子は泣きながらも頑張ってたからな。
主にスタミナアップを目指してたけど、ストレートと変化球のキレもしっかり上がっている。
あれで自分の事を過小評価してるんだもんな。
比較対象が俺とキャプテンだから仕方ないか。
それだけ俺達が偉大って事だな! わはははは!
そんなこんなで試合は進み、あっという間に五回終了。
現在はグラウンド整備中だ。
スコアは0-0。
金子はヒット二本、四球一つと悪くないピッチングをしている。
しかし、中々張り詰めた試合展開だからかそれ相応に消耗していて、キャプテンは既にブルペンで肩を作っている。
うちの打線はというと、三塁までランナーを進めるものの、後一本が出ず。
やきもきとした展開になって少し焦れている。
「あーあー。金子がこんなに頑張ってるのになぁ。可哀想になぁ。やる気ありますぅ?」
「物凄くうざい顔だね。そこまで煽った顔が出来るのも一種の才能だよ」
嫌味ったらしく言ってやったのに、全然こたえてない模様。
どうやら焦れていたのは俺だけらしく、上位打線陣はドンと構えていた。
「いや、マジでそろそろ打ってよ。いつ金子の緊張の糸が切れるか分からんぞ」
「打つ。打つよ。援護してやれなくて申し訳なく思ってるからね」
まぁ、次の回は1番のウルからで三巡目に入るし? 期待はしてるんだけども。
今日はクリーンナップが静かですからねぇ。
下位打線の方がヒットやら四球で頑張ってるぐらいだ。
隼人も珍しく、得点圏で凡退してたしさ。
「レオン、分かってるな? 今日打たなかったら当分煽り散らかしてやるかな」
「分かってる」
第二打席もセカンドゴロに倒れたレオンはかなり集中してるみたいだ。
まぁ、その前に六回表の守備があるんだけど。
打撃の事を考えすぎて、守備でエラーとかやめてよね。
良い感じで投げてる時に、エラーでリズムを崩されてそのままズルズルとなんてよくある事だから。
俺は気にしないけど、金子はどうだろう。
うちは守備も良いからエラーがあんまり無いんだよね。ここまで緊迫した状態でリズムが崩れるとどうなるか。
ちょっと予想がつきませんね。
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