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第2章 抗争
第22話 クトゥルフ
しおりを挟む組織名をクトゥルフにして、下っ端達にもその事を伝えた。
下っ端達も自分達がどこに所属してるのかあやふやな感じだったから、ようやく決めたのかといった雰囲気だ。すみません。必死だったもので。完全に忘れてましたね、はい。
それから約一週間。
新しく来た女性陣も各々仕事に慣れてきた。
ラブジーに見られるとまずいので、目立つ場所での仕事はまだ与えられていないが、みんな良くやってくれている。
戦闘職だった女性も二人いたので、訓練をしているしな。初めはなんで私達が…みたいな感じだったのに、少し慣れてくると職業補正のお陰で楽しくなってきたらしい。
今では積極的に戦闘訓練に参加してくれている。
まぁ、性格的にどうしても戦闘が無理とかなら、配置換えも考えていたんだけど。
この二人は大丈夫みたいだね。スラムで過ごしていたからか、荒事に抵抗が無いらしい。
実戦デビューは流石にまださせれないけど、そのまま順調に成長して行って欲しいね。
能力値は普通だけど。
それとラブジーからパクってきた書類。
その中には金貸しの証文がいくつかあった。
まぁ、裏組織らしくかなり暴利で一般人や、他の組織に金を貸していたので、返済金額を大幅に減額して詐欺師の男に回収させに行った。
勿論、ラブジーを装って。これから抗争で金が入り用になったから、借金を減額してでも金が欲しいとかなんとか言ったらしい。
相手は大喜びでお金を渡してくれましたよ。しっかりサインもして、返済完了させたからね。
いつか、ラブジーが取りに来るかもしれないけど、それまでに回収出来て良かったです。
「で、とうとう来やがったか」
「耐えた方だと思いますけどね」
ラブジーとレーヴァンの抗争が本格化している。
この前のラブジーが縄張りを荒らし回った報復として、レーヴァンも派手に暴れ回ったらしい。
屋敷を襲ったと勘違いするように仕向けた中堅組織も巻き込まれて、とうとうスラム全体を巻き込んだ大抗争になりそうだ。
俺達はギリギリまで息を潜めて漁夫ってやろうと思ってたんだが、残念ながらそこまで上手く事は運ばないらしい。
「死人は出てないんだよね? 怪我は?」
「少数です。後ほどボスに回復して頂ければ」
俺達の縄張りに近くにある中堅組織が喧嘩を売ってきた。
ここら辺はラブジーやレーヴァンが攻めてきた時に盾になってもらう為に、偽装工作をせずにそのまま残しておいたんだけど、周りの抗争の雰囲気に追いていかれない為か、それとも先を見据えて勢力を拡大する為か、喧嘩を売ってきたという訳だ。
俺の縄張りで警戒中だった下っ端達は当然応戦。
両者、死人は出なかったものの、火種は出来てしまった。
「まぁ、やられたらやり返さないとなぁ。はぁ。もう少し隠れてたかったのに」
「仕方ありません。それにうちの人員不足は相変わらずです。ここらで大幅に補充しておくのも悪くないでしょう」
「そうは言いますけどね。相手はそれなりの組織よ? こっちにも被害が出るだろうし、殺して回ってたら、そんな補充出来ないと思うなぁ」
とりあえず先に情報を集めよう。
早く報復はしたいけど、俺みたいに小賢しい奴が何処かの組織のフリをして、巻き込もうとしてるのかもしれないし。
「しゃーない。やるか。カタリーナは下っ端達を使って情報を集めといて。俺は怪我をした奴らを回復し終わったら、戦闘員に抗争が始まるかもしれないって言ってくるよ」
新生クトゥルフの初抗争はお隣さんですか。
まぁ、いつかはやらないといけなかった事だし、頑張ってやりますか。
やるからは徹底的に。負けはありえない。
俺はまだまだ成り上がりたいんだ。
☆★☆★☆★
「おい! エルフはまだ連れて来られんのか!」
「申し訳ありません。最近連絡が途絶えておりまして」
「まさか前金だけ貰っておいて、逃げた訳ではあるまいな!?」
領主の屋敷の一室。
そこでは領主のベルリンがいつもの様に癇癪を起こしていた。
スラムにある裏組織にエルフの捕獲を頼んでから随分経つ。それなのに、未だに連れて来られない裏組織にかなり苛立っている。
「地下水道を探索中という報告はあったのですが、それからの続報がなく…。現在、どうなってるのか仲介した商人に話を聞きに行ってもらっております」
「早くしろ!! 私をいつまでも待たせるな! くそっ! 下民の分際で手こずらせおって!」
応対していた執事は既に逃げているのではと思っていた。あれから結構な時が経っている。
もし生きているのなら、エルフは目立つのでどこかしらから情報が流れてくるはずなのだ。
曲がりなりにも大組織であるラブジーがその情報を逃すとは思えないし、スラム以外の場所でも商人に情報を集めさせているが、エルフの目撃情報はない。
逃げた時に運悪く死んでしまったか、それとも地下水道から上手く街の外へ脱出したか。
執事はそう思っていたが、口には出さない。
本当の事を言ってしまうと、またこの領主は癇癪を起こしかねない。
執事は領主にバレないようにため息吐き、部屋を後にする。
面倒だか、仕事なのだから仕方ない。ここの領主は馬鹿だが金払いは良いのだ。
そう思いながら、嫌々と情報を集めるのであった。
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