異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第3章 勢力増強

第69話 領主夫人

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 レーヴァンの所から帰ってきてすぐは、いつアンジーが殴り込んでくるのか、少しビクビクしながら過ごしてたけど、幸い何も変化はなかった。
 多少レーヴァンからの斥候が増えたくらいか。今は俺の縄張りが絶賛改装中なので、警備が若干甘めなんだよね。
 中心部の商売の根幹部分や孤児院らへんは、警備をかなり厳しくしてるから大丈夫だろうけど、その他は少し情報を抜かれたかもしれん。


 「領主もこっちに興味はなさそうだな」

 「それどころじゃないみたいですよ。ジェイクが居なくなって、領地運営がまともに出来ていないようです。それにこの前ジェイクが使える人材と人柄が真面目な人材は根こそぎ引き抜いて来ましたから。今、領主の周りにいるのは領主という立場を利用したい人間と甘い蜜を吸いたい人間くらいですよ」

 そうそう。この前ジェイクが書類仕事が出来る人間や、気配りの出来る使用人、実直に働く人間などほとんどを引き抜いた。

 「このままあっちがてんやわんやしてる間にこっちをある程度形にしたいな」

 「大丈夫でしょう。スラムが様変わりしてる事なんて気付きもしませんよ。なにせ向こうはスラムの事をゴミ捨て場程度にしか思ってませんからね」

 なら良いか。これなら当分はレーヴァン対策に集中出来るだろう。
 早く精鋭部隊を作り上げないと。
 あの万能ゴリラおばさん侍が勘付く前に。



 ある日の深夜。
 俺と情報部の精鋭は内通者の手引きによって、領主の館に侵入していた。
 警備の騎士がいたが、酒盛りをしていた。
 門番の役目の騎士が酒盛りって。もうベルリンの支持率は末期かもしれんな。

 「こちらが奥様の寝室になります」

 「ご苦労様。俺が中に入ってる間、近付かないように見張ってて」

 俺がやってきたのはジェイクが優秀と言っていた領主夫人の場所。
 このままこの領地が荒れてもらっては困る。無法地帯ってのも面白いかと思うが、あまりにも統治されてないのは困るんだよね。ある程度こっちでコントロール出来るようにならないと。一時的には儲かるだろうけど、持続的な利益は望めない。
 なんとかこの夫人がコントロールしてくれないもんかと話をしに来た次第だ。
 この話し合い次第では領主を殺す気でいる。

 「マリク」

 一応連れて来ているマリク。
 流石に寝てる女性を触れるのはよろしくないかと思って。戦闘部門でもそこそこ優秀なこの子を連れてきました。

 マリクは口を塞ぎながら領主夫人をゆさゆさと揺らす。夫人はびっくりして声を上げようとしていたが、口を塞いでるのでそれも出来ず。
 そして取り囲まれているのを見て、諦めた表情をした。

 俺は口元に手を当てて静かにするようなポーズをしてから夫人に話しかける。

 「ジェシカさんで間違いないですか?」

 コクリと頷く。諦めた表情をしてるけど、視線はかなりキョロキョロと動いている。
 脱出の機会を窺ってそう。これはまだ口は塞いだ方が良さそうか。大声を出されると面倒だ。

 「夜分遅くにすみません。今日はちょっとジェシカさんにお話がありまして。ジェイクの推薦もあったので」

 ジェイクの名前を出すと驚いた表情をした。
 ここでのジェイクの今の扱いはどこかで攫われた事になってるらしいからなぁ。まぁ、あながち間違いじゃないけど。

 「今後のペテス領について。有意義なお話をしたいなと思ってます。ジェシカさんも今の領主はダメだと思ってますよね? もう今の領主は諦めて息子の育成に力を入れてたとか」

 ジェシカさんはもう、何が何だか分かってない様子。流石に一気に情報を与え過ぎたかな。
 うーん。もう少しちゃんと説明すべきか。

 「とりあえず今から口を自由にしますが、大声をあげないように。面倒ですし、この部屋に入ってきた者は殺しますよ?」

 少し考えた後にコクリと頷くジェシカさん。

 「……はぁ。あなた達は何者かしら? ジェイクの事もそうだし、内情を知り過ぎてるのも気になるわ」

 「ペテス領の現状を憂う者ですよ。このまま領地が荒れ放題になると困るんです」

 「商人かしら? いえ、闇組織の人間ね。あの人がこの前、馬鹿の一つ覚えの様に襲撃した…レーヴァンだったかしら?」

 おぉ。すげぇ。分かるもんなんだな。
 残念ながらレーヴァンじゃなくてクトゥルフだけど。でもこれは助かる。どうやってレーヴァンに見せようか迷ってたんだ。
 万が一何かあった時はレーヴァンに罪を着せたいからね。

 「それはご想像にお任せします」

 少し顔を顰めつつ、言葉濁すように誤魔化す。
 役者さんが良い仕事してくれる事を祈る。

 それからの話はとりあえず割愛する。
 領地についての現状、これからどうすべきかなどをそれなりに話し合った。

 結果から言うと領主は始末しても問題ないと。
 帝都の貴族学校に通ってる嫡男は後一年ぐらいで帰ってくるらしく、その間に代行ぐらいならジェシカさんが出来るらしい。
 後継が嫡男しかいない状態で領主を始末して万が一の事があったらどうするんだと思ったけど。
 なんか面倒な事になりそうだし、口には出さないでおいた。

 「では今日はこの辺で」

 「闇組織の人間の言いなりになるのは良い気分じゃないわね」

 この人も平民を見下してる感じかね。
 まぁ、別にどうでも良いけど。
 これなら俺が思った通りの行動をしてくれるかもしれん。

 ささっ。
 俺は領主とかその周りの取り巻きを始末しますかね。これでカタリーナも安全になるだろう。
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