異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第3章 勢力増強

第71話 騎士団長

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 「騎士団長ですか? ジェシカ様の兄上ですよ」

 あっさり情報が手に入りました。
 ジェイクに聞いたら普通に知ってた。
 そりゃ領主の筆頭執事をしてたんだし、国の騎士団長は知ってるよね。
 なんでもっと早く聞かなかったのか。

 名前はゴドウィン。
 ペテス領主夫人の兄であり、二十代の頃から圧倒的な実力で一気に騎士団長までのし上がったらしい。

 「しかしあまり賢い御仁ではありません。実力だけはあるのですが…」

 ゴドウィンとやらは物凄い脳筋らしい。
 とりあえず実力行使して、後の事はそれから考える。何をするにもとりあえず手が出る。
 
 「良くそんなので騎士団長が務まってるな」

 「補佐の副官が優秀と聞いた事がありますね。なんとかその人が制御してるとか」

 ふーむ。これはどうだ?
 まさか騎士団長が領主夫人の兄とは思わなかったけど、これはもしかしたら都合が良いかも。
 ちょっと楽しくなってきたな。




 「ボス。領主館の内通者からの情報です。案の定領主夫人が手紙を出しました」

 それから少しして。
 領主夫人が帝都にいる嫡男に向けて手紙を出した。

 「内容は?」

 「流石にそこまでは…。しかし、タイミングから言って充分可能性はあるかと」

 ほうほう。レーヴァンにケリをつけるチャンスか。こっちもかなり危ない橋を渡るけどね。
 まさか領主夫人が騎士団長と兄妹とは思ってなかったから。いや、俺が情報収集を怠ったせいなんだけどさ。

 「内容が知りたいなぁ。確実って分かればすぐに動けるのに」

 「少し探らせますか?」

 「いやぁ。あのおばさんは漏らさないでしょ。拷問でもすれば話は別だろうけど。領主みたいに馬鹿じゃないし。ちゃんとした選択が出来る人みたいだしね」

 うーん。俺の思った通りに動いたと仮定して行動していいもんか。
 これで向こうが思った通りに動かないと、俺がピンチになるんだよねぇ。

 「動くのはもう少し強くなってからだな」

 「かしこまりました」

 万が一を考えてギリギリまで強くなろう。
 レベル上限200の奴はカンストさせる勢いで。


 ☆★☆★☆★

 「伯父上」

 「ん? おお! スカリーではないか! 今日はどうした? こんなむさ苦しい所にきて」

 スパンダ帝国帝都。
 その騎士団本部にて、部下と鍛錬をしてた騎士団長のゴドウィンは、妹の愛息子スカリーがやって来た事によって訓練を中断する。

 「母上から手紙が届いておりまして」

 「お前を経由して俺に? 回りくどい事をするな」

 「手紙の内容を見て頂ければ分かるかと」

 スカリーは出来れば人目がないところで渡したいと言い、騎士団長室へ向かう。
 そして二人きりになったところで、母から送られてきた手紙をゴドウィンに渡す。

 最初は意味が分からないといった感じで適当に手紙を見ていたが、段々と顔が真剣になっていく。
 そして何回も手紙を読み返してため息をついた。

 「はぁ。お前はこれを読んだのか?」

 「はい。最初は僕宛だと思ってましたので」

 スカリーは手紙の内容を知っている。
 だから読んだ時はゴドウィンと同じ反応になったし、面倒な事になったなと思っている。

 「スラム弾圧に二度失敗。で、今回は闇組織側からの報復があったと。レーヴァンに領主が暗殺されたと書いてあるが…。レーヴァン? 何処かで聞いたような…」

 「僕がまだ幼い頃に父上は、一回目の弾圧を試みたようですが、その時に領主の精鋭騎士部隊はレーヴァンのボス一人にほとんど殺されたと聞いています」

 「お前は父親が殺されたというのにあっさりしてるな」

 「父はダメでしょう。いつか致命的な事をやらかすと思ってました。二回目の弾圧を決断した理由はエルフの女を手に入れたいからですよ? 平民の女にうつつを抜かして、結果暗殺。僕からしたらありがとうですよ」

 流れるように父親の愚痴を垂れ流すスカリー。
 その辛辣さはゴドウィンも少し引くぐらいだ。

 「全く、お前というやつは…。ジェシカからは久々に妹の顔を見に来て下さいと書かれてあるが、流石に馬鹿な俺でも分かる。これは俺にレーヴァンを始末させるつもりだな?」

 「恐らく。僕もあまり知らないのですが、レーヴァンのボスは女。昔は傭兵をしていた。ボスの強さがズバ抜けている。これぐらいしか知らないんですよね。でも、強さは本物かと。うちの昔の精鋭騎士はうちの領地の深層に足を踏み入れる事が出来てたみたいですし。それをほとんど一人で殺したとなると…」

 「ペテス領は魔物の強さが異次元だからな。確かにそのボスは強そうだ。きっちりカタをつけるなら俺クラスの猛者が出ねばなるまい」

 仕方ないみたいな言い方をしているが、ゴドウィンの顔はかなりキラキラしている。
 久々に強者と戦えるのが楽しみで仕方ない。そんな顔をしている。

 「では母上には私の卒業と同時に来てもらうと伝えておきます。騎士団を連れてくるのですか?」

 「いや、休みを取って数名の部下と行く。流石に私用で騎士団を動かす訳にはいかんからな。………思い出したぞ。そうかレーヴァンか」

 「? 昔戦争でもしましたか?」

 「良く分かったな」

 「レーヴァンは元傭兵ですし」

 「中々に苛烈な女だった。確か戦場では【狂姫】と呼ばれていたはずだ。あの時は仕留めそこねたが…」

 「勝てますか?」

 「無論だ。俺は栄えあるスパンダ帝国の騎士団長だぞ? 平民の傭兵崩れに遅れをとるような男ではない」

 その後も軽く情報交換をしてスカリーは騎士団本部をあとにした。
 自分が領地に戻るときにスラムを一掃出来るかもしれない。
 そう考えると笑いが止まらなかった。
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