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第3章 勢力増強
第75話 到着
しおりを挟む深層で恐竜狩りをしつつ、疲れてきたら中層に戻って狩りをする。
そんな日々をひたすらと続けていたら、結構な月日が経っていた。
縄張りの改装は順調に進み、今ではここが元はスラムとは思えないくらい綺麗になっている。
大工や戦闘部門達には感謝ですな。裏の人間じゃない人間も結構入ってきており、利益は既に結構出ている。
「なんとか間に合ったな」
「ですね。第一段階は成功といったところでしょうか」
騎士団長がやって来るという噂を流してから、本当に来るのか不安だったけど、どうやら本当に妹の顔を見に来るという名目でやって来るらしい。
領主館に潜入させてる騎士から受け入れ準備をしていると情報を貰ったので間違いないだろう。
「レベルも俺とカタリーナが230ぐらいまでは上がった。ローザももう少しで200と。これでなんとか対抗は出来ると思うんだけど」
「戦況次第ですね」
二人が良い感じに消耗してくれたら嬉しい。
理想は両者相打ちでの重傷みたいな。美味しい所を持っていけるんだけど、そこまで甘くないかな。
なんにせよ、そろそろいつ戦いが始まっても大丈夫な様に準備しておかないと。
今回の事が上手く行ったら、ペテスの裏どころか表も俺達クトゥルフのモノだ。
気合いを入れて頑張らねばなるまい。
☆★☆★☆★
「ほう。中々綺麗な街ではないか」
(スラムが小さくなっている?)
貴族学校を卒業し、嫡男と領主夫人の兄である騎士団長ゴドウィンがペテスの領地に入った。
騎士団長と嫡男が帰ってくるという事で、門の所には衛兵と騎士が待機しており、領主館までの先導をしてくれる。
ゴドウィンは思ったよりも綺麗な街に驚き、嫡男のスカリーは以前よりスラムが小さくなってる事を不審に思っていた。
「兄さん。お久しぶりです」
「おお! ジェシカ! 元気にしてたか?」
領主館に入ると領主夫人であるジェシカが笑顔で待っていた。
一行は世間話もそこそこに部外者を退出させ三人でこれからの話をする。
「それで? 報復で領主が殺されたのは間違いないのか?」
「はい、兄さん。レーヴァンにやられました」
本当にレーヴァンにやられたのか、ジェシカは分かっていない。調べようと思っていたのだが、優秀な人材はこぞって姿を消してしまったため、それどころではなくなってしまった。
ジェシカが話した感じと、領主の部屋での争った感じ。その状況証拠だけで犯人を断定してしまっていた。
「ふむ。数日休んでから早速征伐に出るとしよう」
「お願いします」
あっさりとレーヴァンへの侵攻が決まり、ジェシカはホッと一息ついた。
前回寝室に押し入られて無理矢理拘束されていたのをずっと根に持っていたのだ。
下賤なスラムの人間にいいようにやられてしまって、ずっと屈辱に思っていた。
兄のゴドウィンは頭は弱いが戦闘の実力は本物。
貴族を脅した事を後悔するがいいと内心でせせら笑っていた。
「母上。数年前よりスラムが綺麗になってるように思うのですが」
「この一年の間かしらね? スラムで大規模な抗争があって、大きな組織が一つ潰れたの。その後釜がスラムを綺麗にしてるみたいね。この前税も払いたいと言ってきてたわ」
「それは…。スラムの人間にしては弁えてますね」
「ええ。あなたが帰ってきてからの初仕事にしようと思ってたの。結構栄えてるみたいだし、あそこからの税収は美味しいと思うわ。兄さんがスラムを潰したら早速取り掛かってちょうだい。ついでに潰した場所もその組織にお金を出させて綺麗にさせるのも良いわね。私達は税収が増えればそれでいいもの」
ある日商会を経由して税を払う意思があると言ってきたときはジェシカも驚いた。
長い間放置されてた場所から金が得られるのだ。
これは悪くないと、近いうちに話し合いの場を設けると通達してスカリーの領主着任の初仕事にさせようと思っていた。
「なんにせよレーヴァン次第ですか。伯父上。お願いしますよ」
「任せておけ。俺も狂姫とは決着をつけたいと思っていたのだ。この機会にきっちり仕留めてやる」
まぁ、忘れてたんだかなと笑いながら獰猛な笑みを浮かべるゴドウィン。
ジェシカやスカリーもこの人に任せておけば問題ない。そう思っていた。何故なら帝国最強はダテではないのだから。
☆★☆★☆★
「本当に来ちゃったわねぇ」
アンジーは久々に縄張りから出て、豪華な装飾をされた馬車から見える憎き顔を眺めつつ独り言を呟いていた。
ゴドウィンがやって来るという噂は聞いていた。
理由は結局探れなかったが、愉快な事にはならない。アンジーはそう思っていた。
「私も覚悟を決めないとだめかしらね」
久々に縄張りを出たのだからと、街を軽く歩き回ってから賭場に戻る。
「マーヴィン、準備は?」
「いつでも」
「今回は勝つわよ」
アンジーはまもなくやってくるであろう激戦に心を馳せていた。
あの戦場での事を思い出すと今でも震えてくる。
それでも。
「なんとかなりそうな気がするのよね」
今の所嫌な予感はない。むしろ勝てそうというよりはなんとかなりそう。そんな気はしていた。
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