異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第3章 勢力増強

第79話 ゲット

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 ☆★☆★☆★

 「うふふ。焦ってるのかしらぁ? 攻撃が雑になってるわよぉ」

 「やかましい!!」

 スラムで行われている超人同士の戦い。
 周りへの被害など気にせずに行われてるその戦いは周辺の建物を破壊しながらも、更に激しさを増していく。

 アンジーはゴドウィンを煽りつつも、現状の打つ手の無さに内心歯噛みしていた。

 (硬過ぎるのよぉ。ミスリルで出来た剣を当たり前の様に体で弾くって。ほんとに人間かしら?)

 ゴドウィンが焦ってるのは分かっている。
 レーヴァンの人員が徐々に押し始めてきたからだ。
 しかし、腐っても騎士団長。
 焦って攻撃が雑になってるはずなのに、アンジーは押され始めてきた。

 (偶にこういう特殊な能力を持った人間がいるののよねぇ。なんなのかしらね、これは)

 レイモンドは恩恵のお陰だと分かってるが、アンジーに鑑定はないので分からない。
 でも、数多の戦場で偶に信じられない特殊能力を持つ人間を見て来た。
 自分の鋭すぎる勘もその一種なのではと思っている。

 (この脳筋と相性が良すぎるのよね。まともに当たってもかすり傷程度なんて馬鹿げてるわ)

 「ぐっ…!」

 「ぐはははは! 先程までの威勢はどうした、狂姫よ!」

 こちらの攻撃はかすり傷にしかならず、あちらの攻撃は一度当たると致命傷。
 中々に理不尽な戦いを強いられているが、それでもアンジーは粘る。
 自分が粘って周りの騎士が片付けば、こちらに増援してくれるだろうし、なにより勘が囁いていた。

 (不利な状況だけど全く死ぬ気がしないわねぇ)

 押されながらもゴドウィンに薄ら笑いを浮かべ。
 アンジーは必死に粘り時間稼ぎをしていた。



 「ぐはっ!」

 「手こずらせおって!」

 必死な時間稼ぎも30分が限界だった。
 致命傷は避けてるものの、体は傷だらけ。
 体力も尽きかけ肩で息をしている。
 ゴドウィンにも無数のかすり傷があり、息が上がってるが、まだ若干の余裕がありそうだ。

 (限界だわねぇ。それでも死ぬ気がしないのは何故かしら? 周りでこっちの様子を伺ってる雰囲気の人間がチラホラいるし)

 「これで終わりだ!」

 ゴドウィンが大剣を振りかぶる。
 それでもアンジーは笑みを絶やさない。
 ゴドウィンはそれを訝しげに見ながら、息の根を止めようと大剣を振り下ろそうとした時だった。

 「それは困るんだよなぁ」

 無数の光弾がゴドウィンを襲う。
 無防備だったゴドウィンにクリーンヒットして、弾き飛ばす。

 「がはっ!」

 「なんで貫通してないんだよ。バケモンが」

 そしてやってきたのはいつぞやの賭場にやって来た少年で。

 「久しぶりだね。お姉さん。俺と契約しない?」

 戦いの場には似つかわしくない笑顔でそう言った。

 ☆★☆★☆★

 「カタリーナ、チャールズ。時間稼ぎよろしく」

 「「了解」」

 アンジーが今にもピンチという時に割り込んだ。
 俺は二人にゴドウィンの相手をお願いしつつ、アンジーと話を進める。

 「あなたは…」

 「びっくりした?」

 「貴族の坊ちゃんじゃなかったのかしら?」

 「わはははは! 詳しく話してあげたいところだけど、時間がないからさ。契約しようよ。俺の部下になってくれるならあのバケモンを最低でも追い払う事は約束するよ」

 契約するには相手の合意がいる。
 今の弱ってるアンジーなら、このまま攫って拷問でもすれば契約出来るかもしれないが、そうは問屋が下ろさない相手が目の前にいるもんで。
 穏便にお願いから入ってみた。まぁ、この窮状を作り出したのは俺なんだけどさ。

 「あなたが何者か分からないのに部下になれって? それは都合が良すぎるんじゃないかしらぁ?」

 「えぇー。死の間際から助けてあげたじゃん。まぁ、劇的に見える様にタイミングは図ってたけどさ。契約してくれたら全部話すよ」

 正体はギリギリまで隠してたい。
 いや、もう既にバレてるかもしれないけど。
 契約する前に俺がこの状況を作ったってバレたら怒られちゃうかもしれん。
 その前に契約を済ましておきたいんだけど。

 「うふふふ。良いわぁ。なんだか悪い気もしないし、あなたと付き合うと面白そう。本当はあの脳筋を仕留めたいところだったけど」

 「ありゃダメでしょ。攻撃が通らないもん。殺すにしてもかなり時間がかかるよ」

 ほんとに。
 恩恵の金剛城塞がやばすぎる。
 皮膚どうなってんだよってぐらい硬い。
 俺の極太レーザー弾を喰らって貫通せずに、軽い火傷と衝撃で吹っ飛んだだけだもん。
 レベル差が無かったらやりようがあるんだろうけど、俺達やアンジーでも致命傷を与えるのは難しい。一応毒は持ってきてるし、さっきからカタリーナが水魔法に混ぜながら使ってるけど、それもどこまで効果があるやら。

 「って事で了承してね」

 「あら? 闇魔法かしら? 初めて見たわぁ」

 初見の闇魔法に気付くんじゃありませんよ。
 俺の切り札の一つなんだから。

 まぁ、それはさておき。
 てってれー! アンジーをゲットしたぜ!
 後はゴドウィンをなんとかすればミッションコンプリートだ!!

 「よーし。とりあえず回復させるね」

 「光魔法も? あなた多彩ねぇ」

 お話が終わったという事で、アンジーを回復させる。ついでにヒーヒー言ってるチャールズにも回復を飛ばしておく。
 ゴドウィン相手に頑張って前衛を務めてくれてるけど、流石に実力差がありすぎる。
 カタリーナの補助がなかったら、今頃お陀仏だっただろう。

 「やっぱりゴドウィンは予想以上に強かったなぁ。保険を用意しといて良かったぜ」

 後はその保険が来るまで耐えるのみ。
 こんな強者と戦える機会なんてそうないからな。
 死なない程度に相手してもらおうか。
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