異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第4章 雌伏の時

第91話 着々と

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 「おおー。壁が高い。ウォールマリ○みたいだ」

 「? なんですか、それは?」

 気にしないで下さい。前世の漫画なんです。
 それに、流石にそこまで高くないしね。
 あれって50m近くはあった筈。いや、超大型巨人の顔がはみ出てた事を考えるとそこまで高くはなかったのか? 

 うちのは20mぐらいだ。
 ティラノがそれぐらいのでかさだから。とりあえず対抗してみました。

 「素材は足りそうなの?」

 「はい。戦闘部隊が毎日のように深層の魔物を10体程倒してくれるので。鉱石は岩山から取れます。必要分はまもなく貯まる予定です」

 ホルトと一緒に壁が建設される風景を眺める。
 カタリーナが覚醒したから、前倒しで壁作りを始めたんだよね。エリザベスはもうちょっとこだわりたいみたいだったけど、作業の進捗の事もあって妥協してもらった。あの子にはもっともっと発明してもらいたいものがあるし。

 それに俺の肝入り魔道具の開発を今お願いしてるところだ。これを発明出来さえすれば、ある程度の情報網を構築出来るんじゃないかと期待している。
 中々に苦戦してるけどね。俺が他国に行く前に完成させて欲しいなと思ってます。


 続いてやって来たのは広大な農地。肉は魔物を狩ればなんとかなるんだけど、野菜はどうにもならん。って事で、農家の職業持ちが管理してくれている。この岩山地帯に移り住んでそろそろ四ヶ月。
 食料は大事だから、早めに動いてもらってたんだけど、そのお陰でそろそろ一回目の収穫が出来そうだ。

 「ふむ。ここの土の栄養は凄いな」

 「環境が環境ですからね。こんな所に農地を作る人なんて今まで居なかったでしょうし」

 ここ、農地にするにはうってつけなんだよね。
 豊富な栄養がある土、適度に降る雨。
 周りが凶悪な深層の魔物に囲まれてる事を除けば、最高の立地だ。
 それも周りを壁で囲う事と、魔道具で寄せ付けないので対処している。

 「この農地のせいで、壁を作る範囲が広まったんですけどね」

 「食料は大事だし仕方ない」

 これで我がクトゥルフは完全に自給自足が出来るようになった訳だ。
 今までは、時折り情報収集がてらにペテス領で買い付けてたからな。
 無収入だからどんどん資産が目減りしていくのは、中々胃に悪かった。

 無収入で500人近い人員を養うって控えめに言って馬鹿だよな。
 無関係の商会を置いとけば良かった。あの時はとにかく早く逃げたい一心で、そこまで頭が回ってなかったんだ。反省します。

 「新たにどこかの商会を支配下に置けばいいのでは?」

 「今はなぁ。あそこの領は商会の監査もきついらしいから」

 騎士の数はある程度減ったけど、それでも未だに監視されてるっぽい。
 原因不明で処理してさっさと引き上げて欲しいもんだ。領主夫人のジェシカと新領主のスカリーはどこかの辺境に飛ばされたらしいし。

 ペテスの辺境とは違う本物の辺境らしい。
 過酷で不毛な地なんだとか。領民情報だから本当かどうかの裏付けは取れてないけど。
 ご愁傷様です。処刑されてないだけマシなのかな? どっちが幸せかは本人次第か。
 どうせ飛ばされるなら、契約してうちで働いてもらえば良かったぜ。両方とも優秀らしいし。



 「はっ! てい! とーう!」

 訓練場にやってきた。
 可愛い声とは裏腹に恐ろしく鋭い素振りをしているローザ。
 アンジーに師事してから、戦闘学習の効果も相まってかなり成長してるんだよね。
 ちょっと俺も勝てるかどうか怪しい。
 ………俺は大器晩成型だから。みんなが456で成長止まってからが勝負だから。
 数多ある職業を駆使して翻弄してみせるから。
 悔しくなんかないんだからねっ!

 「ゴホッ!」

 内心で気持ち悪いツンデレムーブをしてたら、ローザが突進してくるのに反応出来なかった。
 直前で身体強化は出来たけど躱すまでは出来ず。
 突進も洗練されてきやがるぜ。俺も回避の練習にもっと力を入れねばなるまい。

 「調子はどう?」

 「強くなるの楽しい!!」

 わしゃわしゃと頭を撫でて、さり気なくケモ耳をもふもふしてローザと話をする。
 今ではローザに対抗出来るのはアンジーだけになっちゃったからなぁ。
 俺も真剣に戦えば、まだなんとかなるけど。

 ここにこもってるせいで、スカウトも出来ない。
 恩恵持ちの優秀な人材をもっと多く確保したいもんだ。ローザに対抗出来る人材を用意しないと。
 戦闘学習があるから色んな強者と戦わせてあげたい。

 「師匠にはまだ勝てない! チャル兄にも昨日一本取られた!」

 訓練の事について聞いてるんだけど、やっぱりアンジーには未だに勝ててないらしい。
 あいつに勝つって、マジでレベルを上げてゴリ押しぐらいしか思い付かないんだよな。
 戦闘中の超直感がズルすぎるんだよ。予想外の動きをしてるつもりでも避けられるから。
 避けられない程のスピードとパワーでぶん殴るしかない。

 「チャールズに負けたの?」

 「魔法を上手に使われた!」

 驚きなのはチャールズが勝ったらしいって事だ。
 レベルがカンストしてからは、色々な技術を磨く事に力を入れてたみたいだけど。
 近接戦を展開しながら、魔法を使えるようになったらしい。凄いな。

 まぁ、まだローザとチャールズのレベル差はそんなに離れてないんだけど。
 これで差がつき始めるとしんどいんだろうなぁ。
 
 
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