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番外編ユーリーの日常
#01 頑張れモレル新兵
しおりを挟む雲に覆われ、光が射さない平野。
方々では黒煙と砂埃が立ち上っており、見晴しは悪い。
風向きが変わると硝酸や汚泥、焼けた血や肉、糞尿、吐瀉物の名残など、あらゆる不快さが混ざった匂いが漂ってくる。
平野から少し離れた街道沿いにある林の中を進んでいるため、他部隊の状態は解らない。
体中に泥を塗り、帽子や外套にはその辺に這えている雑草を繋げて被り。
そんな一風変わった風貌の7名の土塊…歩兵が、林の中をのそのそと進んでいる。
騎士の証である甲冑も着けず、まるで大きな土塊そのものが集団移動しているようだった。
「あ、あの、隊長…」
這って歩けと指示されていたため、慣れない動きでずるずると…不格好に蛇行しながらなんとか進む新兵の青年が、自分の前を器用に真っ直ぐ這う上官に声を上げる。
「何だ」
威厳はあまり感じられない、若々しい声が戻ってくる。
尋ね返され、発言許可が下りたものと判断した新兵が続けた。
「…栄えある帝国騎士隊が、なぜこのような…その、地面を這うのかと…」
恐る恐る尋ねてきた新兵に対し、隊長と呼ばれた泥の塊は動きを止めずに告げる。
「不服か?」
「い、いえ。…ですが、騎士ならば正々堂々と正面から戦場を駆け抜け、一人でも多くの敵を屠るのが我等の…」
帝国騎士隊の矜持であり、栄誉である。
そう続けたいのだろうという事は、隊長自身もよく解っているらしい。
「安心しろ。君の勇猛果敢さは後で遺憾なく発揮されると保障する」
「ありがとうございます。ですが、隊長…」
「なんだ?」
「その、泥が痒くて。…それに虫が服の中にまで入ってきて…」
歩くまではいかずとも、せめてもう少し人間らしい歩き方はできないものかという期待を持つが。
「潰すか食うか、好きにしろ」
「はあ…」
即座にその希望は打ち消される。
すごすごと黙りながら、何とか隊長の後についていく。
「…信じられるか?」
新兵と共に、先を這う隊長の後ろを続く兵士が口にした。
隊長を含めどの兵士もみな草と泥に塗れているせいか、遠目では誰が何処に居て、誰が誰なのかすら判別ができない。
「…何がです?」
「隊長、あれで平時は濡れた子犬みたいになるんだぞ?まるで別人ってくらいに」
普通逆だよな、とこぼす。
確かに…と、新兵が頷いた後。
「まあ、逆のパターンも別の隊にいるけどな。…尤も、隊長自体がおかしいという突っ込みはするなよ、聞き飽きてるから」
左横でやや後ろからついてくる兵士が、頬に当たる草をかき分けながら声をあげた。
「そりゃそうだ。…どうした新兵、目が潤んでるぞ」
「坊ちゃんはやめてくださいよ。…皆さんは平気なんですか?これ…」
新兵の質問には、誰もが鼻を鳴らして笑うのみだった。
「帝国の正騎士隊を夢見る貴族の坊ちゃんが、なんだってうちの分隊なんかに配属になるかねえ。大人しく第一大隊に行っときゃ今頃後陣で温かいハムエッグ片手に待機だったろうに…ったく、上級貴族はいいよなあ」
「いくら貴族の出とはいえ、配属先まで勝手には決められませんよ」
新兵の苦情を気にせず、右横の兵士が笑う。
「まあ隊長なんか天上も天上、公爵家のお人だけどな…」
そうぽつりと呟く囁きが、後ろの方からも聞こえた。
「改めて言われればそうなんだが、なんでそんな殿上人が毎回最前線で自分から死地に向かって泥の中這ってんだよ…本当おかしいよ…」
「だから隊長は何から何まで全部がおかしいんだからしょうがねえだろ。ま、隊長に拾われた俺達も言えたこっちゃねえけど」
会話がひと段落したタイミングで、件の隊長から号令がかかる。
出口に差し掛かり、街道が現れた。
一本道で、横に通り抜けてきた平野から蛇行しながら続いている。
分隊が到着したあたりの街道は林よりも地面が下がっており、まるで塹壕の内洞のような通り道。
周辺の丘からは死角にあたるだろう。
これが緩やかな坂を昇って、丘を越えれば一気に広がった平野に辿り着く。
そちらにいけば、既に帝国騎士大隊の本陣営が集合している。
「…3班編成で分ける。ルーク、ソロムバルはモレルを連れて対面に迂回しろ。オサー、レーシィとここで待機…ここからだと第3が近いな。ニクサ、第3大隊に伝令急げ」
それぞれが了解のサインを取ると、あれ?と新兵モレルが声を上げる。
「…隊長はどうされるのですか?」
「余計な事は気にするな。行くぞ」
先程、すぐ後ろで会話していた2人の先輩に引きずられるように連れて行かれる。
到着後の指示や時間について聞く前に離れたということは、二人は既に作戦の内容を聞かされているのだろう。
「え?…ルーク副長、どういう事です?」
振り向くと、伝令に何かを託した隊長がぬるりと背景に溶け込むように消えた。
「はぁー…」
傍からはあんなふうに見えるのか、とモレルはほんの少し感心する。
内情を知っている自分ですら見失うのだ。
この街道を進んでくるであろう敵には想像もつかないだろう。
「昔、隊長が南方の蛮族に習った戦法らしい。奴らは帝国をはじめとする先進的文化国に浸透している騎士道とは一切無縁な連中だからな」
ルークがモレルにそう説明する。
「隊長が…蛮族に?…しかし、今回の紛争では帝国も条約通りに正々堂々行われているはずですが」
騎士道精神に則り、開始を宣言してから両国が指定した平原で行われる。
少なくともモレルはそう聞かされていた。
「いいか、新兵。今のうちに覚悟決めとけよ。戦争においてのルールは"殺すか、殺されるか"だが、うちの分隊はそれより酷いからな」
ソロムバルが笑う。その言葉に、ルーク副長もつられて苦笑いをした。
「…なんです?」
生唾を呑んで一言一句漏らさず聞く態勢を作ると、二人は同時に声をあげた。
「「"隊長から離れない"」」
そう言って先導する先輩達二人の後で、モレルは首を傾げた。
「…はあ?」
いかに新兵とはいえ、一通りの訓練は受けている。
隊から遅れて離れるようなことなどはまずありえない。
先輩二人の言葉の意味を頭の中で深く巡らせたまま、後を追った。
実を言うと、モレルは不満を溜めていた。
誇りある大帝国の宮廷貴族であるセニャーヴィン伯爵家の嫡男に生まれ、幼少から"地位ある者たる振舞い"を叩きこまれている。
帝国皇帝を守護し、最も高貴で名誉ある正騎士隊…その正騎士隊長にも弟子入りして修練に励んでいた。
剣や槍の腕にも、馬上での一騎討ちにも自信はある。戦でそれが遺憾なく発揮されることも疑っていない。
この戦争でも戦果を挙げれば父から爵位を譲り受け、堂々と一人前の貴族として仲間入りがでる。
そう思っていた。
…それなのに、配属されたのはユーリー・アンドロポフ・オルラン騎士隊長率いる第1特殊工作分隊。
帝国北方全土を所有する大貴族…オルラン公爵家の次男であり、インペラートル皇帝一族の遠縁…つまるところ王侯貴族の一画である。
オルラン公爵といえば、現当主ラザレフ・オルラン公爵はそれこそ帝国民の誰もが憧れる英雄だ。
文武に優れ幾千、幾万の巨軍を相手に真っ向から立ち向かい、常勝をもぎ取る紛う事なき生きた伝説。
自分とて、オルラン公の華々しい戦果と勇猛果敢な勝利の話は子供のころから聞かされ、憧れに憧れ抜いた身。
その息子であり新英雄と評されるユーリーの隊に配属されたと聞かされた時は興奮で夜も寝つけなかった。
だが、実際はこの通り、戦場から離れて惨めたらしく地面を這っている。
隊長が異例の若さで皇帝が与える"英雄"に選ばれているのも、所詮はその地位によるものだったのだという落胆すら飲み込める。
伯爵家に連なる自分もそうだが、公爵家の次男ともなれば最低でも佐官位が保証されているどころか、そもそもなら将官ですらおかしくないのだから。
前線基地になどまず送られることはないのだから、本国で椅子に座って紅茶でも飲みながら予算がどうだ、備蓄がどうだと盤上で頭を悩ませていればいいはずなのだ。
もしくは本国の防衛として周囲をぐるりと回り、その勲章を見せびらかす程度しか望まれないはず。
実際に、いくら公爵家の息子とはいえ会議に出席することはできないのだろう。
与えられているのは特殊工作という名の分隊…新兵である自分を含めてもたった7名の、名ばかりのお飾り隊。重装歩兵隊どころか、騎士ですらない。
大隊からも外れたこの遊軍分隊は、帝国軍の中でもかなり特殊な位置にある。
それもそうだろう。
かの公爵家のご子息が隊長を張るのだから、その身に何かあってはいけない。
かといって、本国でのんびりとしていては、帝国一の武力を誇るオルラン公爵家の名誉が傷つくといったところか。
その為か、隊長自らが調練でまともに指揮をしたところも、訓練に励んでいるところも見たことがない。
実のところ、モレルが隊長の姿を見たのは部隊配属の挨拶時の1回のみ。
今回の招集でようやく2度目である。
かつてモレルの師事していた騎士隊長は、自ら率先して部下に規範を示し、厳しくも温かく鍛えていた。
騎士とはかくあるべしという姿を焼き付けられて離れない。
誉ある帝国騎士とは、そういう人々なのだと騎士隊長から直々に教わってきた。
それに比べて。
目の前のこの年下の隊長についてハッキリと言えば…隊長足り得る素質を持っていないとしか思えない。
平野では大隊同士が太鼓を鳴らし、喇叭の音と共に戦場を駆け、勇猛果敢に生身ひとつで争っているにもかかわらず。
自分たちは戦線から離れた林の中で、甲冑もつけず槍も持たずに全身を泥と草と虫、蜘蛛の巣や動物の糞を喜んで顔面に受けている始末。
戦場まで共に歩いた愛馬ですら作戦基地につなぎとめている。
待ち伏せし、奇襲を仕掛けようとしているのは解る。
しかし、舞台は平野の真っただ中であるのに、何故わざわざ離れた街道に出るのか。
この先に敵の待ち伏せや別動隊があるわけでもない。
強いて言えば、敵国の軍隊が引き揚げる時にこの街道を通るだろうという事だけは予測できる。
しかし、待ち伏せにしたってここまで泥にまみれて隠れる必要はない。
心配しなくとも林の中は薄暗く、人の手が入っていない為雑草が盛大に伸び盛っている。
しかも散々伸び放題繁殖し放題を尽くしてきた季節なのだから、ここぞとばかりに所狭しと主張している。
普通にその場で伏せているだけでも十分、姿を隠せるのだ。
はっきりと言えば、臆病が過ぎる。
それに、この分隊の数では引き上げる大隊群をどうにかできるものではない。
街道の道が多少狭いので大きな罠を仕掛ければ足止めにはなるだろうが、
残念ながら7人という人数で大掛かりなトラップを仕掛けるには時間も道具も足りない。
所詮はお飾り騎士隊、せいぜい大隊の足手纏いにならないように、目立たずにいろという命令だろう事は容易に推測できた。
何故自分がこの分隊に送られたかといえば、恐らく父の進言があったのだろう。
お飾り騎士隊でも一応は前線で奮闘したという『大義』が保証されるのだから。
…結局のところ、父はまだ自分を未熟だと考えているのだ。
そうぶつぶつと考えていると、
ルーク副長が見ろ、と頭を低くしながら草むらをかき分けて前方を指す。
自分たちから向かって対面側の街道に、ガラガラと車輪の回る音と共に蹄の音、そして数十人規模の足音が響いてきた。
敵の兵站輸送部隊。
その割には数が少ないので、恐らくその先遣隊だろう。
幌馬車2台。幌馬車1台につき馬1頭。御者番1人。
馬車の前方に3名1横列、
路幅が狭いため側面(おそらく両側)2名1縦列、
後方3名1横列。
そして前方1、中央1、後方1に散兵計24名。
数にしておよそ1個小隊。
この後に続々と兵站輸送本隊が続いてくるのだろう。
「…まさか、あれを?」
モレルの疑問に、両脇の上官が頷く。
「ですが、挟撃には人員が足りませんよ!」
これが分隊ではなく小隊であれば、街道とはいえ抑え込むことは十分可能だ。
しかし、こちらは7人分隊。その上、一人は伝令のために隊を離れている。
たった6人で、小隊規模とはいえ輸送隊を足止めすることは不可能だろう。
それを分かっているのか、それとも何か策があるのか、
上官はじっと固まって前方を注視し続けていた。
黙って放っておけば敵国の大隊へ兵站が補給され、戦争は長引くだろう。
しかし、このまま出ていけば返り討ちにあうだけ、ただの犬死。
本当にどういうつもりなのだろう。
まさか、隊長もお飾りなりに功を焦っているのだろうか。
そう考えていると、
突然、対面からボンッ、という軽い爆発音と共に土煙が上がり、輸送部隊を巻き込む。
突然の爆発音に、馬車馬がそれぞれ悲鳴を上げて前足を上げ、御者を落とし、ないしはバランスを崩させ、前列の兵士たちに足を振りかぶる。
失神した御者番が馬の手綱を落としたことで、前方の兵士たちは負傷していた。
兵士たちが混乱と警戒で声をあげ、馬車を囲んで臨戦態勢を取る。
その時、モレルはその土煙の中でふっと、黒い影が空を横切ったのを目撃していた。
モレルは目を見開いて、その影を追う。
「…たいち…ガッ!?」
思わず頭を上げてしまい、ソロムバルに後頭部を殴られた。
しかし、無理もないだろうと思う。
何故なら、先ほどぬるりと消えたはずの隊長が。
対面の崖から馬車の幌の上に音もなく飛び乗ったのだ。
「な、、何をやってるんだ、あの人は…ガッ!!?」
「いい加減黙らねえとその口に鹿の糞を詰め込むから覚悟しておけよ」
ソロムバルの丸太のような手が、モレルの後頭部をしっかりと掴んで地面ぎりぎりまで押さえつける。
上官二人も、対面に待機している筈の二人も、隊長の後に続かず、動かずにじっとしている。
「いいか、新兵。オルラン隊長が何故少数の特殊工作隊を率い、騎士道とはかけ離れた行動をとるのか、そこでよく見ておけ」
ルーク副長が、隊長から視線を逸らさず…いつもの優しさが抜け落ちたように冷たく告げた。
土煙が晴れ、特に何の奇襲がかけられたわけでもない状態で、兵士たちは困惑した。
発生源と思わしき崖は崩れている。
幌の上に泥と草にまみれた大きな土塊が落ちてきたことで、簡単な…地雷のような罠が仕掛けられていた事に気が付く。
街道に仕掛けられているであろう罠の警戒に当たり、隊長と思わしき兵が数名に前方周辺に探らせた。
馬も未だ錯乱しており兵士たちが落ち着かせようと試みているものの、負傷者や御者番の中には骨を折られている者も多数出ていた。
後続は馬と前方以外に被害はないものの、爆発による混乱と前方の足止めで周囲を警戒し、荷馬車の守りを固める程度に留まっている。
幸いにも、林の中の方までは探ってこない。
そのわずか数十秒の間に、黒い塊は転がるようにゆっくりと幌馬車の側面から落ち、どさりという音と共に消える。
「ギャアッ!」
「ディ…っアギィッ!」
「!?」
土塊が完全に払われたと同時に、落ちた側から短い悲鳴が響く。
悲鳴を聞きつけた馬車背後の兵士が駆け付けると、側面を警護していた兵士2名が失神していた。
兵士の頭から肩にかけて、土泥と草にまみれている。
それは先程の大きな土塊に当たったのだろうと、容易に想像させた。
『2名負傷!救護兵!』
兵隊長らしき男が怒鳴るように叫び、後方から救護兵が駆け付ける。
『聖国側とはいえ、罠の警戒をしていなかったのは油断したな。だが、向こうも大隊を平野に集中させていて街道までは警戒はしていないらしい。』
『まさかこんなもので足止めを食らうとは思わなかったが、先にも仕掛けられているかもしれん。注意せよ』
『…この先は何もないようです。威嚇のつもりでしょうか、もしくは何らかの合図とか…』
兵が戻り、隊長に伝えると隊長も頷く。
『負傷者は一旦幌馬車に置いておけ。本隊に合流させるにしても道が狭く方向転換するのも困難、ここに置いていくわけにもいかない。馬が落ち着き次第、前線まで直進し大隊に合流する!』
そう号令を唱え、兵たちがそれぞれの列に戻っていく。
救護兵が負傷者を荷台に積めようと持ち上げていると。
突然。救護兵が立ち止まる。
『…どうした?』
側面に顔を出した兵が、救護兵を見つめる。
『ぎ、あ、アア…?!』
どうしたことか、救護兵が突然、未だ失神している兵の上にどさり、と倒れこむ。
救護班の異変に兵たちがまた駆け付けると。
『なんだ!一体どうした?!…ギャアア!!!』
救護兵とは反対側の側面兵が次々と倒れていく。
今度は、鎧の脇…小さな隙間から血がどくどくと流れていた。
『刺し傷…!?』
流石にここまで来て完全に異変だと悟った敵兵たちが、
反対側にも罠が仕掛けられていたのだと思って周辺を手あたり次第探る。
しかし。
『グア!』
『ギャア!』
『アアア!?』
しかし、駆け付けた兵士たちからも血が吹き、膝から崩れ落ちていく。
『!!!!』
ぎょっとして固まる兵たちが見たものは、
馬車の下から蠢く黒い土の塊…そこから伸びる黒い手。
『ッ…っあ、あ、…鬼、鬼が…ガボァッ!!!』
息の合った兵が馬車の下と引きずり込まれ。
気が付けば、無残に死体となって転がり落ちた。
後方から加勢にでた兵士たちが馬車の下に、一斉に槍を突き立てる。
しかし、そのどれもが空虚を貫くばかりで手ごたえがなかった。
『…?』
兵の一人が馬車の下を覗き込むも、何もない。
『う、上!上だァッ!』
後方か、側面かはわからない。
だが、誰かが幌馬車の上を見上げて指を指す。
先程落ちてきたはずの土塊が、何故かまた上に乗っている事に兵たちは驚きと悲鳴をあげる。
それは幌馬車の上に動きだし、ゆっくりと立ち上がった。
体自体は大きくない。
全身泥土と雑草にまみれ、外套の中からは黒い軍服。黒い髪に黒い目。
ただし、その表情に覇気があるようには見えない。
上の空という訳ではないが、その目は敵軍を眺めているようで眺めていないようにも見える。
片手に握られている軍刀からは、今し方刺して回っただろう兵たちの鮮やかな血がぼたりぼたりと幌の上を赤黒く染めていく。
顔の泥を袖で拭い、かえって袖口についていた血で顔中が染まる。
その姿は人間であるにも関わらず、ただただ異様でしかなかった。
ユーリー・アンドロポフ・オルラン士爵、帝国第1特殊工作分隊長。
18という異例の若さで帝国の"英雄"章を受勲した、オルラン公爵家の次男。
身長は同年代よりやや低めで、癖の強い跳ね曲がった黒髪と黒い目。
小動物を思わせるような童顔で、かつ少し気弱そうな雰囲気を漂わせているため威厳のかけらもない。
初見の誰もが、間違いなく親の地位を利用した七光りだと笑う。
しかし帝国騎士隊に入隊した誰もが…彼を侮ることなど決してない。
『な、なんだあれは!?…子鬼か!?』
『い、いえ、あの刀は…帝国軍の刀です!』
突如現れた男に戸惑う者、口々に確認し合い状況把握に手間取るもの。
勘の鋭いものに至っては素早く槍を振り上げたり、手近の石を投げつけたりしているが。
のらりとそれらをすべて、柔らかく…まるで落ち葉のように躱して再び幌馬車から飛び降りる。
着地場所は…彼に攻撃した兵士の頭…もとい、甲冑に覆われた肩。
『グギ!?』
両肩に足を滑らせ、座るように兵士の頭を太ももで挟む。
飛び降りた負荷が男跳ね返そうとするも丸ごと足に挟まれていた兵士の頭へと衝撃が伝わり、倒れこむように頭が地面へ目指す。
反対に黒い男は逆さの姿勢で地面に両手をつけると、兵士の頭をクッションにして受け身を取る。
瞬間、ボギリと痛々しく鈍い音をたて、地面に突き立てられた兜によって首をへし折られ無残に横たわる兵士の姿があった。
『うわああああああッッ!』
突然降ってきた敵に困惑と悲鳴をあげながら両脇の兵が手持ちの剣を振りかぶるも、既に体制を立て直していた黒い敵はそのどちらの剣も両手で受け止める。
片手は軍刀、もう片手にナイフ。
兵士たちとて大の大人であり、振りかぶる重みも足されたその剣は一太刀受けるだけでも相当の負荷が掛かる。
にもかかわらず、背の低い黒い男はそれをいとも簡単に片手ずつに受け、ぴくりとも動かない。
『アアアアアアッ!!』
しかし両腕が塞がっている今なら、と、新たに兵が槍で突撃するが。
『な、な…!?』
突然、兵士たちの負荷が消える。
全身全霊で力を込めていたそれは行き場を無くし、そのまま合互いにその剣先が振りかぶられる。
目の前の、味方に対して。
『まて、まて、まて、うわあああ!!』
黒い塊はするりと地面を滑るように這いつくばり、突撃した兵士の足を水平に蹴り払う。
兵士の鉄の具足に対し、黒い塊は革のブーツ。
にもかかわらず、まるで大きな岩塊に当たったかのような強い衝撃と共に、バランスを崩した兵は槍を構えたまま目の前の兵士たちに衝突した。
つんざくような悲鳴。
一瞬、その光景を前に、後に続こうとした兵士たちが思わずその場から足を動かせずにいた。
黒い塊はその一瞬の隙に溶け消えるように兵士たちの視界から消える。
左右上下、馬車の下を、幌の上を、兵士たちが探し回る。
馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、ありえない。
人が消えるなどという事は、決してあり得ない。
これが闇夜の出来事ならばまだ理解はできる。
しかし、今はまだ、午後を過ぎたばかりだ。
曇天とはいえ、雨が降っているわけでもない。
それなのに、何故。
何故、あの黒い塊は視界から消えてしまうのだ!
…そう思ってる間にどこからともなく、どさり、と一人の兵士が倒れる。
今度は片足の関節を外され、泡を吹いて失神していた。
更に周囲を見回すと、今度は後方馬車横から再び爆発音が響く。
緊張し注視していた兵たちは、一瞬にして弾かれたように爆発音に釘付けになり。
もくもくと土煙が舞い上がると同時に砂が目や口に、鼻に舞い込む。
『やられた…やられた!』
爆発に巻き込まれた兵士もいるだろう。
馬は2度目の爆発音にパニックを起こし、所かまわず暴れ散らしている。
いつの間にか手綱が切られていたのか、狭い街道の中で馬は目の前の障害…兵士たちを踏みつけてその場から逃げていく。
土煙に乗じて、更に声にならない悲鳴の数が増えていく。
…次は誰だ。
兵士たちの見えない背後に、恐怖の文字が蛇のようにぬるりと這いまわる。
…次こそは、自分かもしれない。
嫌だ。
あんな、何もできずにただ待つだけの死に方は嫌だ!
足元からきつい不快臭が立ち込め、生温かく下半身に広がる感触が後から追い付いてくる。
『ウワアアア、ワアアア、アアアアアア!』
視界が晴れない為に、がむしゃらに持っていた剣をふるう。
何かに当たった。
赤い液体が飛び散る。
肉を切った手ごたえに思わずやったか?と、頬が緩む。
しかし。
『な、なんで…』
目の前から聞こえてくるのは、…耳に馴染んだ同期の声。
錯乱した兵士は、頭の中の何かが解けて落ちていく感覚と共に剣を落とし、その場に崩れ落ちた。
『何で!何で!何で!なんでだ!どうなってんだよおおおお!』
兵士たちは気が付くことはできないが、その錯乱も一箇所だけではなく、砂煙がまき散る街道すべてに伝播していた。
「…ッ!」
モレルは目の前の光景を疑った。
果たしてこんなことが、有り得るのだろうか。
…街道に爆薬を仕掛けていたのは恐らく、対面に回った二人だろう。
しかし。
それを抜きにしていても。
あの隊長は一体、何なのだろうか。
隊長が動いていた間、その時間にして五分もかかっていない。
たったそれだけの間に。
気が付けば敵小隊の半数近くが、地面に転げ落ちている。
モレルの丁度視線の先に、隊長に首の骨を折られた兵士の顔が向き合った。
だらりと空いた口から泡と共に垂れ流される唾液。
焦点の合わない目の、…鬱血して桃色に染まる眼の、開いた瞳孔が合ってしまう。
「…ッ!!」
全身に怖気が走り、震え強張って動けない。
こんなものは、戦争ではない。
こんなものは、知らない。
初めて見る、人の死。
恐怖と痛みに歪んだ形相。
こんな風に、殺されてしまうものなのか。
こんなにあっけなく、死んでしまうものなのか。
いや、いくら自分とて殺し殺される覚悟はできていた、つもりになっていた。
「少尉」
ぽん、と肩を叩かれた瞬間、電撃が走ったかのように体が跳ね上がった。
「…ッあ、…は…?」
「突入する。浮足立ったでくの坊の掃討だ。お前は先に回り込んで逃げ出した兵を討て」
至って冷静なルーク副長が告げる。
「へ…あ、は、」
そう言いながらも。
足が、動かない。
「…俺が行く」
モレルの腰が抜けているのを見て、ソロムバルが先に動き出す。
軽いため息を吐いて、ルークが再び声を掛けた。
「…待機してろ。絶対に動くな」
言葉すら忘れている新兵の肩をもう一度軽く叩いて、ずるりと土の塊が転がるように落ちていった。
目の前では、どんどん人の形をした何かが生まれていく。
血と共に転がっていく。
増援による強襲もあってか、それはどんどん増産されていった。
『た、たすけ…』
小さな悲鳴と共に、砂煙から敵兵の一人がよろよろと這いずる。
背中から大きな刀傷がばっくりと開き、だらだらと血が流れている。
ふと。
助けを求める顔が。目が。しっかりとモレルと合致する。
『た、すけ、て、』
その手が、縋るように伸びる。
「い、い、い、…っ、」
思わず、体がのけぞっていた。
周囲の草がばさばさと大きな音をたてたが、誰も気付かない。
気付くところではなかったのだろう。
ふと、息絶え絶えにモレルの方へと這う兵士の背後…砂煙の向こうから、泥と草に塗れた黒いシルエットが歩いてきた。
「…た、…たい、ちょ…う、」
この一方的な虐殺が始まる前までは臆病だと侮り、心の底で軽蔑していたユーリー隊長は。
…たった一人で、たった数分で、小隊の半数以上を殺して回った隊長の顔は。
入隊の際…そして、作戦が開始し指揮を始めた際の顔と、何一つ変わらない。
気弱そうな童顔は、特に眉を下げるでも上げるでもなく、笑いもせず。
『アギャアッ!!』
毎朝の薪を割る日常のように、兵士の脹脛をめがけて垂直に剣を突き立てた。
「ヒィッ!!」
苦痛に叫び、金切声をあげのたうつ兵士を下に、まっすぐと隊長はモレルを見据える。
「止めを刺せ。モレル少尉」
入隊時に初めて挨拶とした時と違うのは、吃音交じりの口調ではない事だけ。
モレルの置かれた状況を、そして目の前で恐怖に顔を歪めながら少しでも逃げようと這う兵士を見て、ただ一度頷いた後。
そのまま兵士を引き摺り、モレルの目の前に突き出す。
痛みに呻く声と共に、口から吐き出されたまだ生温かい血が、モレルの服にかかる。
「…!」
「今こそ貴様の勇猛果敢さが発揮されるべき時だ」
ハッとして目を見開き、隊長と、目下の兵士を見つめる。
「し、しかし…この兵は…、この兵士は、既に、」
戦意を失っている。そう続けようとしたが、やんわりと遮られる。
「助からない命だ。情けをかけるなら、楽にしてやれ」
「で、できません、隊長、」
「剣を構えろ」
淡々と告げる隊長の目下では、意識が混濁し始めているのか、兵士が手を伸ばしてこちらに対し何かをずっと呻き続けている。
祈りだろうか。
罵倒だろうか。
懇願だろうか。
怨嗟だろうか。
「できません、無理です、こんな…!」
「剣を構えろ、少尉」
ゆっくりと隊長が歩き出す。
…まさか、自分も命令違反で殺される?
これまで自分は隊長に対して、反抗的な態度だった。
ここでなら、乱戦の最中の落命と処理されても…誰も不審に思わない。
歯の奥ががたがたと震える。
後ずさろうにも、体が言う事を聞かなかった。
頭の奥で、必死で頭を回転させながらモレルはようやく理解する。
ユーリーが決して金や権力などでその地位を得た訳ではないことを。
―――決して、この分隊が『お飾りの騎士隊』などではないことを。
隊長はゆっくりと目の前で腰を下ろすと、
モレルの腰に下げている剣を引き抜いて持ち手を変える。
片手で目の前に柄を差し出し、片手でモレルの利き腕を取って握らせた。
「お前は何をしにここへ来た?」
「…!」
「騎士として死を前に苦しむ敵を楽にするか、それとも剣からペンに持ち変えるか、二つに一つだ」
「わ、私は、…っ、」
「…貴様は何者だ?」
「わ、わた、わたし…、わたしは…、」
隊長の大きく、深く黒い目がしっかりとモレルを見据える。
深く、暗く、どこまでも冷静な黒い目が、瞳を通して脳の奥まで追いかけてくる。
「私は…帝国騎士連隊…、第1特殊工作分隊所属…、モレル…、モレル・セニャーヴィン少尉であります…!」
そう答えている間に。
自分でも気づかない間に、目の前の兵士の心臓に切っ先を突き立てていた。
硬くどっしりとした重さと、柔らかくねばりつく肉に押し込む感触。
ずっと呻き声で何かを呟いていたが、程なくして事切れたのか。
兵士の目がぐるりと回った後白目を向いて、すっぽりと体の力が抜け落ちる。
大木の様な塊の、その全体重がそのままモレルに圧し掛かった。
ドクン、ドクン、と、心臓の音だけが耳元で爆発するように聞こえており。
鼻先から全身が冷える感覚と同時に、体中の震えが止まっていた。
「よくやった、モレル・セニャーヴィン少尉」
隊長の目が少しだけ細まり、切っ先を抑えていた手を離して立ち上がり、くるりと背後を向けた。
砂煙が晴れている。
先遣部隊はとっくに全滅しており、先達の隊員たちは死体を並べたり、補給物資の確認等忙しなく動いている。
「総員集合、傾聴!」
副長の号令に、隊員たちが集合する。
一歩遅れてモレルも立ち上がり、列に並んだ。
「ニクサが戻り次第、また別地点まで移動、待機する。解っていると思うが、ここからが本番だ。…負傷したものは?」
隊長の隣で、ルーク副長が叫ぶ。
「かすり傷が少々ですね。あと喉が痛いんで、酒がありゃ治ると思うんですが?」
ソロムバルが笑って、最低限の補給物資が積まれている幌馬車を指す。
「支障をきたさない範囲で頂戴しておこう。次の囮に使ってやるから安心して飲んでいいぞ」
「そいつはいいですね、隊長が終わるまで寝てられる」
付き合いの長い隊員たちはソロムバルの言葉にくっくっと笑いだす。
「モレル。次は貴様が伝令をやるか?ニクサよりも足は遅いだろうが」
隊長がモレルの方を向くと、モレルは柄を強く握りしめながら俯く。
モレルの両手にねっとりとこびりついた感覚を、ゆっくりと手の中に仕舞い込む。
不思議と頭は冴えていた。
やがてゆっくりと顔を上げ、真っ直ぐに隊長の目を睨む。
深淵を覗き込むような黒い目もまた、真っ直ぐにモレルを見つめていた。
「…いえ、やれます、隊長。」
そのハッキリとした返答に、横に並ぶ兵達は茶化すことなくにやりと口を歪めた。
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