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Chapter 1/最初の国
№39 アオハル①
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宿屋の“305号室”にて。
「なぁ。」
「クマッシー…、つーか、“くがっち”て、サカエダの事が好きなのか?」
何気なく尋ねたのは、ヤトである。
完全に不意を突かれて、
「なッ??!」
クマッシーこと“クガ・マサシ”が固まるなか、
「おぉ~。」
「鈍感な“たかやん”が、よく分かったな。」
ニケが少なからず驚く。
「鈍感って……。」
「まぁ、あんだけサカエダをフォローしまくってたら、そりゃ気づくだろう、さすがに。」
本名“タカヤマ・トオル”が述べたところ、
「…………、うん。」
「そうなんだ。」
恥ずかしそうに俯くクマッシーだった。
「そっか。」
理解を示したヤトが、
「“にしざ”は?」
「恋してたりすんのか??」
ふと窺う。
「おま…、どうした? 急に。」
「なんかあったのか??」
ニケこと“ニシザワ・タケル”に目を丸くされ、
「いや……。」
「ま、別に、いいよ。」
ヤトが有耶無耶に終わらせようとする。
しかし、
「いるよ…。」
「トミタだ。」
やや照れくさそうに伝えたニケによって、
「セブンか!?」
話しを戻すヤトであった。
「まぁな。」
「で??」
「“たかやん”は?」
「誰か気になる女子がいるから、こういう事を聞いてきたんじゃないのか??」
ニケに指摘され、
「うーん。」
「……、そう、だな。」
自身の本音を確認するかのようにヤトが頷く。
「もしかして、ハヤシさん??」
このようにクマッシーが質問したら、
「いや、違う。」
「カリンではない。」
キッパリと否定したヤトである。
「ん~?」
「じゃあ、オレらと同じクラスの子か??」
そう推測するニケに、
「いぃーや。」
「俺もよくは知らないんだ。」
ヤトが首を横に振った。
ニケ&クマッシーが、
「は?!」
揃って不思議がったところ、
「実はさ…。」
ヤトがゲームを開始した時に中央広場で見かけた[金髪の少女剣士]について説明していったのである……。
“304号室”では。
「ねぇ。」
「“とわとわ”って、クガと交際してんの??」
突然、カリンが訊ねた。
「え?!!」
「いや、そ、そそ、そういんじゃないけど?」
「な、なんで??」
あからさまに慌て出したのは、本名“サカエダ・トワ”である。
おもいっきり狼狽えるエイトに、
「いや、なんとなく?」
カリンが普通に答えた。
枕を抱きしめながら〝すぅ~、はぁ~〟と深呼吸して、
「お付き合いはしていないけど、異性として気になってはいるよ。」
こう答えたエイトは顔を真っ赤にしている。
「そっかぁ。」
納得した様子のカリンが、
「“ななっち”は?」
「〝ニシザワが好き〟とかだったりするの??」
セブンこと“トミタ・ナナ”に視線を送った。
「ぜぇーんぜん。」
右の掌を〝ヒラヒラ〟させたセブンは、
「私、同年代から下の男子には一切トキメかないし。」
「なんか、ガキっぽいじゃん。」
「できれば〝大人のイケメン〟がいい。」
「それが、私の好み!」
そのように告げたのである。
これに、
「へぇー、そうなんだぁ。」
カリンと、
「初耳ぃ~。」
エイトが、反応を示す。
「そ、れ、で?」
「“みかりん”は、誰に惚れてんのかなぁー??」
「てか、ほぼ間違いなく、タカヤマでしょ?」
セブンの図星によって、本名“ハヤシ・ミカ”は〝ギクッ!!〟としたようだ。
フリーズしてしまったカリンを、
「あ。」
「言っちゃダメだった??」
いささか心配するセブンだった。
「い、いや、大丈夫。」
カリンが再び動きだしたところで、
「そうだったんだぁ~。」
「ね、どういうとこに惹かれたの?」
興味津々にエイトが伺う。
そこからは“恋バナ”に盛り上がっていく女性陣であった…。
▽
[ノースイーストギルド]の玄関先にて。
「マジで閉まってんのかよ!」
「使えねぇなぁッ!!」
怒りを露わにしたのは、[Team Z]のリーダーこと“ゾース”である。
こうした光景をみながら、[女神様の愛子]たるゼシューが、
「だから教えたのに。」
「〝この時間帯は緊急事態でない限り営業していない〟って。」
小声で呟いた。
「取り敢えず、何処かで暇を潰しましょう。」
「例えば、食堂とかで。」
「飲食すればHPやMPにSPを回復できるみたいだから、“一石二鳥”とかいうやつになるでしょ。」
そう提案したのは[女性武闘家]のジリーである。
「……、ふんッ!」
「ま、いいだろう。」
「他に手立てもねぇし、許可してやんよ!!」
何かと偉ぶるゾースに、キレそうになるのを堪える面々だった―。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
[イッチューズ]の本名など
【武士】のヤト = タカヤマ・トオル
※シューラを気にしている
【戦士】のニケ = ニシザワ・タケル
※セブンに片想い
【シールダー】のクマッシー = クガ・マサシ
※エイトと両想い(まだ本人は知らない)
【弓術士】のカリン = ハヤシ・ミカ
※ヤトに片想い
【忍】のセブン = トミタ・ナナ
※今のところは誰にも恋してない
【精霊術士】のエイト = サカエダ・トワ
※クマッシーと両想い(まだ本人は知らない)
「なぁ。」
「クマッシー…、つーか、“くがっち”て、サカエダの事が好きなのか?」
何気なく尋ねたのは、ヤトである。
完全に不意を突かれて、
「なッ??!」
クマッシーこと“クガ・マサシ”が固まるなか、
「おぉ~。」
「鈍感な“たかやん”が、よく分かったな。」
ニケが少なからず驚く。
「鈍感って……。」
「まぁ、あんだけサカエダをフォローしまくってたら、そりゃ気づくだろう、さすがに。」
本名“タカヤマ・トオル”が述べたところ、
「…………、うん。」
「そうなんだ。」
恥ずかしそうに俯くクマッシーだった。
「そっか。」
理解を示したヤトが、
「“にしざ”は?」
「恋してたりすんのか??」
ふと窺う。
「おま…、どうした? 急に。」
「なんかあったのか??」
ニケこと“ニシザワ・タケル”に目を丸くされ、
「いや……。」
「ま、別に、いいよ。」
ヤトが有耶無耶に終わらせようとする。
しかし、
「いるよ…。」
「トミタだ。」
やや照れくさそうに伝えたニケによって、
「セブンか!?」
話しを戻すヤトであった。
「まぁな。」
「で??」
「“たかやん”は?」
「誰か気になる女子がいるから、こういう事を聞いてきたんじゃないのか??」
ニケに指摘され、
「うーん。」
「……、そう、だな。」
自身の本音を確認するかのようにヤトが頷く。
「もしかして、ハヤシさん??」
このようにクマッシーが質問したら、
「いや、違う。」
「カリンではない。」
キッパリと否定したヤトである。
「ん~?」
「じゃあ、オレらと同じクラスの子か??」
そう推測するニケに、
「いぃーや。」
「俺もよくは知らないんだ。」
ヤトが首を横に振った。
ニケ&クマッシーが、
「は?!」
揃って不思議がったところ、
「実はさ…。」
ヤトがゲームを開始した時に中央広場で見かけた[金髪の少女剣士]について説明していったのである……。
“304号室”では。
「ねぇ。」
「“とわとわ”って、クガと交際してんの??」
突然、カリンが訊ねた。
「え?!!」
「いや、そ、そそ、そういんじゃないけど?」
「な、なんで??」
あからさまに慌て出したのは、本名“サカエダ・トワ”である。
おもいっきり狼狽えるエイトに、
「いや、なんとなく?」
カリンが普通に答えた。
枕を抱きしめながら〝すぅ~、はぁ~〟と深呼吸して、
「お付き合いはしていないけど、異性として気になってはいるよ。」
こう答えたエイトは顔を真っ赤にしている。
「そっかぁ。」
納得した様子のカリンが、
「“ななっち”は?」
「〝ニシザワが好き〟とかだったりするの??」
セブンこと“トミタ・ナナ”に視線を送った。
「ぜぇーんぜん。」
右の掌を〝ヒラヒラ〟させたセブンは、
「私、同年代から下の男子には一切トキメかないし。」
「なんか、ガキっぽいじゃん。」
「できれば〝大人のイケメン〟がいい。」
「それが、私の好み!」
そのように告げたのである。
これに、
「へぇー、そうなんだぁ。」
カリンと、
「初耳ぃ~。」
エイトが、反応を示す。
「そ、れ、で?」
「“みかりん”は、誰に惚れてんのかなぁー??」
「てか、ほぼ間違いなく、タカヤマでしょ?」
セブンの図星によって、本名“ハヤシ・ミカ”は〝ギクッ!!〟としたようだ。
フリーズしてしまったカリンを、
「あ。」
「言っちゃダメだった??」
いささか心配するセブンだった。
「い、いや、大丈夫。」
カリンが再び動きだしたところで、
「そうだったんだぁ~。」
「ね、どういうとこに惹かれたの?」
興味津々にエイトが伺う。
そこからは“恋バナ”に盛り上がっていく女性陣であった…。
▽
[ノースイーストギルド]の玄関先にて。
「マジで閉まってんのかよ!」
「使えねぇなぁッ!!」
怒りを露わにしたのは、[Team Z]のリーダーこと“ゾース”である。
こうした光景をみながら、[女神様の愛子]たるゼシューが、
「だから教えたのに。」
「〝この時間帯は緊急事態でない限り営業していない〟って。」
小声で呟いた。
「取り敢えず、何処かで暇を潰しましょう。」
「例えば、食堂とかで。」
「飲食すればHPやMPにSPを回復できるみたいだから、“一石二鳥”とかいうやつになるでしょ。」
そう提案したのは[女性武闘家]のジリーである。
「……、ふんッ!」
「ま、いいだろう。」
「他に手立てもねぇし、許可してやんよ!!」
何かと偉ぶるゾースに、キレそうになるのを堪える面々だった―。
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[イッチューズ]の本名など
【武士】のヤト = タカヤマ・トオル
※シューラを気にしている
【戦士】のニケ = ニシザワ・タケル
※セブンに片想い
【シールダー】のクマッシー = クガ・マサシ
※エイトと両想い(まだ本人は知らない)
【弓術士】のカリン = ハヤシ・ミカ
※ヤトに片想い
【忍】のセブン = トミタ・ナナ
※今のところは誰にも恋してない
【精霊術士】のエイト = サカエダ・トワ
※クマッシーと両想い(まだ本人は知らない)
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