Arousal of NPC‘s

猫乃麗雅

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Chapter 1/最初の国

№62 来襲⑧

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ポーション類を買い揃えた[イッチューズ]は、中央広場に【瞬間移動】してきた。
すると、ヤトの正面に再び[薄型の横長スクリーン]が自動で出現する。
「じゃ、いくぞ?」
リーダーに伺われ、メンバーが頷く。
そうして、ヤトが〝イベントに参加〟したところ、全員の眼前が暗くなった。
「え??」
カリンや、
「何これ?」
エイトが、驚いた流れで、皆の視界が開ける。
周りを〝キョロ キョロ〟して、
「近くにいた他のプレイヤー達が見当たらなくなっているのと…、辺りをうろつくNPCが増えたね。」
誰ともなく述べたクマッシーに、
「ああ。」
「間違いなく転送・・されたな。」
このように答えるヤトだった。
カリンとエイトが揃って〝ん~??〟と首を傾げたら、
「ここは〝プレイヤーごとに発生するイベント用ルームの1つ〟だよ。」
そうニケが説明したのである。
女子2名が一層に難しそうな表情となるなか、
「へぇー、成程ね。」
理解を示すセブンであった。
こうしたところに、何個もの警鐘が鳴り響き、またもヤトの[画面]が自然と展開される。“緊急クエスト”の内容を教えたリーダーに、
「どっちに行くの?」
カリンが尋ねる。
「そうだなぁ……。」
にしてみっか。」
そのように決めて歩きだすヤトに、誰もが続いてゆく。
「なんか怖いなぁ。」
いささか不安がって呟いたエイトに、緊張しながらも勇気をもって、
「だ、大丈夫だよ。」
「僕が護るから。」
こっそりと伝えるクマッシーだった。
一瞬だけ目を合わせるも、すぐに俯いたエイトが、
「ありがとう。」
恥ずかしそうに嬉しがったところ、
「いや、その…、うん。」
クマッシーが顔を真っ赤にして照れたのである……。

“東の大通り”で[昆虫型モンスター集団]と戦っているパーティーがいた。
人間と獣人の混合で、全員が“鉄製の武器と防具”を装備している。
“10人組”ではあるが、[オクシーズ]ではなさそうだ。
なお、1M級~3M級といった魔物らは、“蟷螂カマキリアリサソリ蜘蛛クモハチ”といった面子で、二体ずつ・・・・であった。
それ・・は、[Teamチーム Sエス]などの時に比べて、半分である。
どうやら、これもまた、プレイヤー数によって変動するらしい。
ともあれ。
モンスターが、一匹ずつ、[イッチューズ]へと向かいだす。
カリンやエイトは〝ひぃッ!!〟と青ざめた。
眉間にシワを寄せて〝うっわぁ〟と引いたのはセブンだ。
ただでさえ虫が苦手な[女子グループ]である。
それらが巨大化しているともなれば、嫌がって当然だった。
例え仮想・・だったとしても…。
“鉄刀”を手にしたヤトが、
「やるぞ!」
味方を促す。
しかし、
「いっやぁ――ッ!!!!」
カリンが蛾へとった矢は、大きく外れた。
迫る蜂に、
「来ないでぇ~ッ!!」
鉄製の“魔法の杖”を振り回しているのはエイトだ。
セブンは、
「ふんッ! ふんッ! ふんッ! ふんッ!」
蟻に“鉄の短剣ダガー”を何度となく突きだし、距離を詰められないよう牽制している。
……、女子三名はテンパッていた!!
この光景に、
「ちょ、落ち着いて!」
クマッシーと、
「普段どおりスキルとかを使えば、対処していけるから!!」
ニケが、声をかけた。
ヤトは、蟷螂&蠍とのバトルになっている。
そこへ、蜘蛛にまで近づかれ、
「頼むッ!」
「早いとこ加勢してくれ!!」
「俺だけじゃもちそうにねぇ―!」
おもいっきり困るヤトであった…。

およそ二分後……。
魔物らを殲滅したところで、女子3名が肩で息をする。
男子も疲れているみたいだ。
これらを余所よそに、20代後半らしき[女性剣士]が、中剣を鞘に収め、兜を脱ぐ。
ロングの髪は銀色で、肌が褐色だ。
瞳は緑色であり、凛とした顔立ちをしている。
軽く〝ふぅ〟と息を吐いた彼女の頭上に“金のダイヤマーク”が現れた。
「お。」
「なんだ、“ノンプレキャラ”だったのか。」
独り言を口にしたヤトが、
「状況は??」
そう質問したら、
「私の名は、アスタ。」
「エイディズというパーティーを率いている。」
「それにしても大変な事になったわね。」
「帝都が魔物の群れに襲撃されるなんて…。」
「おそらくだけど、先ほど倒したのは第一陣といったところでしょう。」
「そのため、これより、第二陣、第三陣、と、続いてくるのが予想されるわ。」
「きっと、戦闘が厳しくなるでしょううね……。」
「そこで、どうかしら?」
「生き残るためにも協力しない??」
このように提案して、自身で開いた[画面]を操作し、ヤトに“共闘”を求めた。
それを知り、
「受けたがいいと思う。」
ニケが勧めたところ、
「僕も同感だよ。」
クマッシーが続いたのである。
これらによって、
「だな。」
申し出を承諾すべく、“YES”の文字に指先で触れるヤトだった―。
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