56 / 519
【28.5話】 リリアは床上手
しおりを挟む
「おい、お前明日は予定あるのか?」男が女に聞く。
夜更けになり食堂も静かになってきた。
宿屋の一室では男女がベッドにあられもない姿で転がっている。先ほどまでどってんばったんと騒音公害を引き起こしていたが、今しがた静かになったところ。男も女も汗ばんで上気した体のクールダウン中だ。
「おい、明日何か予定あるのか?」
同じ質問が来た。が、リリアは今、とても満足気分だ、このまま眠りに落ちていきたい。夕食を済ませ、適当にお酒も入り、ちょっと気の利いた口説き文句で誘われ、今心ゆくまでどってんばったん楽しんだところだ、寝落ちの条件は整った、これ以上人は何が必要だろうか。
「… んん…」リリアは目をつぶって顔を男の胸に寄せる。リリアはこのまま寝落ち希望。
「おい、お前しばらく俺と一緒になれよ」
一晩だけじゃなく、リリアと毎晩過ごしたいのね?まぁ無理はない、リリアは頑張りましたからね。
「… んん…」リリアは少しだけ片目をうっすら開けて、相手と視線を合わせてあげる。気の利いた口説き文句なら聞いてあげてもいいわよ合図。
「どこか町を移動するのか?明日からどうするんだ」
「… ふぅん…」やっぱり目を閉じますね。口説きではないのね。どちらにせよリリアは今のところ誰かに所属する気はないのよね。
「おい、俺達上手くいくと思わないか?」
町中で石を投げたら2回に1回は異性に当たるのよ、お互いわざわざ相手を限定する必要ないじゃないねぇ。リリアはコロっと寝返りを打つと男と反対方向に向く。もう寝ましょう。
「おい!」男はちょっと強引にリリアを掴んで自分の方に向ける。
「ぁ… ぅぅん…」ちょっと声がでる。さっきまで大暴れしていたので、まだ体の細胞がざわついているよう。
そうねぇ… 男は見栄っ張りでちょっと自信過剰でちょっと強引なくらでないとねぇ。
リリアもそういうの嫌いじゃなわ。リリアは腕を相手の腰にまわして頭を胸につけながら、足でベッドの冷たい場所を探る。体がポカポカなのだ。
「俺が守ってやるぜ、しばらく一緒に町を巡ろう」
“守ってやる”ですか… 口説きとして良いじゃない?リリアは重い瞼をゆっくりと押し上げて相手をうっすらと見る。切れ長の目、長いまつ毛の間から覗かせる、輝く瞳。ゆっくりと瞬きするリリア。その先を聞いてあげますよ。
「お前、弓士なんだろう、俺の剣盾と組めば遠距離も接近も最強だ」
「… んん…」最強かどうか知らないけど、戦術的に相性はいいわよね。でも、リリアには戦術的相性とかどうでもいいの。リリアちゃんをゲットするにはもっと違うことなのよ。リリアはちょっと顎をあげて、相手と視線を合わせる。もう一度チャンスよ、リリア獲得のラストチャンスなのだ。
「俺はここから西に行く予定だ。お前も一緒に来いよ」
「…………ふぅ…」リリアは大きく呼吸する。豊かな胸が弾む。残念ね、時間切れ。リリアは誰にも属さない。
「残念ね、あたしは東よ」リリアはベッドから身を起こして、コップを手に乾いた喉を潤す。
「日の出前にはお別れね… 気に入ってくれたのなら、もう一回?」ちょっと悪戯っぽく笑うリリア。
男は無言でリリアの腕を引き込んだ。
大柄な男女が暴れるので、声が、ベッドの軋みが部屋いっぱいに満ちていく。
リリアは17歳だ、計算でないのなら弓とベッドは天性の素質としかいいようがない。
夜更けになり食堂も静かになってきた。
宿屋の一室では男女がベッドにあられもない姿で転がっている。先ほどまでどってんばったんと騒音公害を引き起こしていたが、今しがた静かになったところ。男も女も汗ばんで上気した体のクールダウン中だ。
「おい、明日何か予定あるのか?」
同じ質問が来た。が、リリアは今、とても満足気分だ、このまま眠りに落ちていきたい。夕食を済ませ、適当にお酒も入り、ちょっと気の利いた口説き文句で誘われ、今心ゆくまでどってんばったん楽しんだところだ、寝落ちの条件は整った、これ以上人は何が必要だろうか。
「… んん…」リリアは目をつぶって顔を男の胸に寄せる。リリアはこのまま寝落ち希望。
「おい、お前しばらく俺と一緒になれよ」
一晩だけじゃなく、リリアと毎晩過ごしたいのね?まぁ無理はない、リリアは頑張りましたからね。
「… んん…」リリアは少しだけ片目をうっすら開けて、相手と視線を合わせてあげる。気の利いた口説き文句なら聞いてあげてもいいわよ合図。
「どこか町を移動するのか?明日からどうするんだ」
「… ふぅん…」やっぱり目を閉じますね。口説きではないのね。どちらにせよリリアは今のところ誰かに所属する気はないのよね。
「おい、俺達上手くいくと思わないか?」
町中で石を投げたら2回に1回は異性に当たるのよ、お互いわざわざ相手を限定する必要ないじゃないねぇ。リリアはコロっと寝返りを打つと男と反対方向に向く。もう寝ましょう。
「おい!」男はちょっと強引にリリアを掴んで自分の方に向ける。
「ぁ… ぅぅん…」ちょっと声がでる。さっきまで大暴れしていたので、まだ体の細胞がざわついているよう。
そうねぇ… 男は見栄っ張りでちょっと自信過剰でちょっと強引なくらでないとねぇ。
リリアもそういうの嫌いじゃなわ。リリアは腕を相手の腰にまわして頭を胸につけながら、足でベッドの冷たい場所を探る。体がポカポカなのだ。
「俺が守ってやるぜ、しばらく一緒に町を巡ろう」
“守ってやる”ですか… 口説きとして良いじゃない?リリアは重い瞼をゆっくりと押し上げて相手をうっすらと見る。切れ長の目、長いまつ毛の間から覗かせる、輝く瞳。ゆっくりと瞬きするリリア。その先を聞いてあげますよ。
「お前、弓士なんだろう、俺の剣盾と組めば遠距離も接近も最強だ」
「… んん…」最強かどうか知らないけど、戦術的に相性はいいわよね。でも、リリアには戦術的相性とかどうでもいいの。リリアちゃんをゲットするにはもっと違うことなのよ。リリアはちょっと顎をあげて、相手と視線を合わせる。もう一度チャンスよ、リリア獲得のラストチャンスなのだ。
「俺はここから西に行く予定だ。お前も一緒に来いよ」
「…………ふぅ…」リリアは大きく呼吸する。豊かな胸が弾む。残念ね、時間切れ。リリアは誰にも属さない。
「残念ね、あたしは東よ」リリアはベッドから身を起こして、コップを手に乾いた喉を潤す。
「日の出前にはお別れね… 気に入ってくれたのなら、もう一回?」ちょっと悪戯っぽく笑うリリア。
男は無言でリリアの腕を引き込んだ。
大柄な男女が暴れるので、声が、ベッドの軋みが部屋いっぱいに満ちていく。
リリアは17歳だ、計算でないのなら弓とベッドは天性の素質としかいいようがない。
0
あなたにおすすめの小説
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
4人の勇者とЯΔMЦDΛ
無鳴-ヴィオ-
ファンタジー
5人の少年少女が勇者に選ばれ世界を救う話。
それぞれが主人公的存在。始まりの時代。そして、彼女達の物語。
炎の勇者、焔-ほむら- 女 13歳
水の勇者、萃-すい- 女 14歳
雷の勇者、空-そら- 女 13歳
土の勇者、楓-ふう- 女 13歳
木の勇者、来-らい- 男 12歳
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる