ちょっとエッチな短編集

さち

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痴漢

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 朝の満員電車。ドアのすぐ前に立つ学生服の少年はうつむいて唇を噛んでいた。一見具合が悪いのかと思いきや、少年の頬は赤らみ、ふーふーと呼吸は荒かった。
 少年の背後、人が密集しているそこには少年の体を撫でまわす手があった。尻を撫でる手。股間を撫でる手。胸を撫でる手。ひとりではない。数人の手が少年の体を愛撫するように撫でまわしている。
「ふ、ぅ…」
少しずつ与えられる刺激に少年の口から吐息が零れる。それを合図にしたかのように、ひとつの手が少年の股間を揉みしだいた。
「んんんんっ!」
途端に少年が仰け反って体を震わせる。だが、その体を隠すように周りにいた男たちが少年の体を抱き込んだ。
 体を支えられた少年はズボンの上からぺニスを揉まれてビクビク震えながら、それでも声を出さないようにと唇を噛んで耐えていた。
「そんなに噛んだら傷になるよ」
聞こえたのは耳に心地いい優しい男の声。少年が声のほうに顔を向けようとすると、その目を誰かの手が塞いでしまった。
「ん…」
驚いた少年の唇に柔らかい感触が重なる。キスだと思う間もなく少年の唇が割って舌が入り込んできた。
「んん、んふ…」
歯列をなぞられ上顎をくすぐられ、いいように咥内を蹂躙された少年の体から力が抜ける。抵抗をやめた少年の体にまた無数の手がのび、学生服の上から乳首を摘ままれ、ズボンの上からぺニスを揉みしだかれた少年はガクガクと震えながらあっけなく射精してしまった。
「ぁ、ぁ…」
快楽の余韻に震えながら細い声を漏らす少年。するとちょうど少年が下車する駅を告げるアナウンスが流れる。少年がハッとして周りを見回すと、すでに自分の体を弄っていた手はどこにもなかった。
 電車が駅に入ってホームに停まる。少年は濡れた下肢を気にしながら電車をおりた。
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