ちょっとエッチな短編集

さち

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ストリップショー・表

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 地下にある看板もない会員制のバー。そこは普段は静かな音楽が流れ、日常の喧騒を忘れてゆっくり酒を楽しむ場所だった。だが、週に1度、土曜日の夜だけは、そこは静かだが異様な熱気に包まれる。

「んんっ、はぁ…」
いつものクラシックとは違いどこか艶っぽい音楽が流れる店内。証明は1ヶ所を除いて落とされ、テーブル席にいる客たちは互いの顔も見えないようになっていた。そんな店内に男の甘い吐息が零れる。店の中央には小さな舞台が用意され、唯一の証明に照らされている。その上で2人の美青年が絡まりあいながら身に付けているものを1枚1枚扇情的に脱ぎ捨てていた。

 ひとりは襟足が長めの金髪に白い肌。そして青い瞳をしていた。黒いワイシャツの上からでも筋肉質なのがわかるしっかりした体はきっと脱げば彫刻のように美しいのだろうと見るものの想像をかきたてた。
 もうひとりは背中の中ほどまである長い黒髪をひとつに結っていた。瞳も黒で典型的な日本人。冷たくも見える切れ長の目。白人とも違うキメの細かい白い肌が美しかった。その体はほどよく筋肉がついたしなやかなもの。まるで豹のようだった。

「んふ…ふぁ…」
2人が唇を重ね、互いに貪りながら見せつけるように服を脱いでいく。黒髪の青年の目は甘く潤み、見るものの嗜虐心を煽った。
 先に上半身の肌をさらしたのは黒髪の青年だった。しなやかな体があらわになると各テーブルからほうっとため息が零れる。金髪の青年が見せつけるように乳首を摘まむと、黒髪の青年は喉を反らせて体を捩った。
「んんっ!あう…」
お返しとばかりに黒髪の青年が金髪の青年のシャツを脱がせてその肩に噛みつく。歯形がつくほど噛みついた青年が股間を撫で上げると、金髪の青年はビクッと体を震わせてうっとりした表情を浮かべた。

 時間をかけて互いの服を脱がせた2人は下着姿だった。下着といっても布の面積が少ないメンズ用のTバックだ。金髪の青年は黒。そして黒髪の青年は赤のTバックを身につけていたが、悪戯に刺激しあったためにその股間はどちらもキツそうだった。その盛り上がった股間を見せつけるように足を開いてテーブルに向ける。扇情的なポーズをする金髪の青年の股間を黒髪の青年がいやらしい手付きで撫で上げた。
「んぁ、ゃ…」
ピクッと震えて腰を突き出す金髪の青年。黒髪の青年はクスッと笑うとこちょこちょと擽るように股間を弄った。
「あぅ、はぁん…も、ちゃんと触って…」
弱い刺激に焦れた金髪の青年が黒髪の青年を舞台に押し倒す。金髪の青年はそのまま黒髪の青年の腰を跨ぐと股間と股間を密着させて腰を揺らした。
「ぁっ、あっ!」
「んんっ!あぁっ!」
互いに甘い声をあげてながら腰を揺らす。金髪の青年はそれだけでは足りないのか自分で乳首も弄っていた。黒髪の青年は腰を突き上げるように浮かしている。まるで挿入のない疑似セックス。
 店内にいる客たちは酒を飲むのも忘れて2人の淫靡で美しいショーに見いっていた。
「ひぅっ、あぁぁっ!」
「ひゃあぁっ!」
2人が同時に悲鳴をあげてビクビクと仰け反る。ぐったりと脱力した2人は体を重ねてゆっくりキスをしながら乱れた呼吸を整えた。ゆっくりと、名残惜しむように銀糸をひいて唇が離れる。それがショーの終わりを告げるいつもの合図だった。
 テーブル席からはパチパチと拍手が送られる。2人はそのままの姿で各テーブルをまわって挨拶をし、チップをもらった。

 そこは会員制のゲイバー。知る人ぞ知る隠れた店。そこでは毎週土曜日だけ、一夜限りの淫らなストリップショーが行われる。
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