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1章「運命の幕開け」
10話 誰も信じない
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「……っきゃ!」
屋敷の坂を下りきったところで誰かとぶつかった。転びそうになったところを受け止められる。
「リラ!?」
顔をあげるとリオンが立っていた。
かなり慌てていたのか、いつもきっちりとまとめられている髪が乱れていた。
「リオン……リオン! 大変なの、今屋敷に……!」
「……っ、遅かったか。すまない。リラ、君を一人にしたのは私のミスだった」
「ねぇ、どういうこと! あの人たちがクランを継ぐって!」
わたしはリオンにつかみかかった。その衝撃で彼が持っていた傘が地面に落ちる。
「フィスはお父様が邪魔だったって! みんな仲良く領地で生活してきたのに! わたしたちが邪魔だって……」
「リラ、落ち着いて。このままでは雨に濡れて風邪を引いてしまう。一度場所を移して、ゆっくり二人で話そう」
わたしを落ち着かせようと伸びてきたリオンの手を思い切りわたしは叩き払った。
「いやっ! いやよっ! みんな、わたしを裏切る! だから、わたしは一人になろうって思ったのに!」
目の前が涙で霞む。
怒りで頭の中が真っ赤に染まっていた。
感情任せに叫ぶと、今世と前世の記憶が混ざりあう。
由良はオンラインゲームで信じていたはずの仲間に裏切られた。それ以来ずっとソロプレイを貫いていた。
また誰かを信じて、裏切られて悲しい思いをしないように。孤高で強くあろうと決めた。
リラはそのことを忘れかけていた。
優しいお父様と頼りになるリオンがいたからだ。みんな優しくて、お嬢様とちやほやしてくれたから浮かれてしまった。
でも駄目だった。人を信用してはいけなかったんだ。
わたしはまた、一人になる。たとえ転生したとしても、人の生き方というのはそう簡単には変わらないらしい。
「リオンもわたしを……裏切るの?」
「――リラ」
縋るように呟かれた言葉。
するとリオンは悲しそうに微笑んでわたしを抱きしめた。
「私はリラを裏切らない。ノエルにリラを託された。だから絶対に私は貴女を裏切ったりはしない」
その優しくて力強い腕にそのまま縋りたかった。
でも、脳裏に過る先程の記憶。わたしは彼に裏切られたら今度こそ壊れてしまう。
――信じてはいけない。
「信じない! 信じられないよっ! わたしは体が弱いし、子供だし……足手まといだもの! きっとリオンだってわたしを捨てていなくなるのよっ!」
両手でリオンの胸を叩く。完全にだだをこねる子供だ。
あ、いまわたし最低なこといってるなと頭の中では理解していたがリラの感情は止まらなかった。
「…………」
無言のリオンが気になって恐る恐る顔をあげると、彼は真顔でわたしを見下ろしていた。
あ、怒ってる。
その恐ろしさに言葉が詰まる。顔をさっと青ざめさせると、リオンは無言のままわたしを抱き上げた。
「いやっ! 離して! どうするの!」
「離さない。大人の話を聞かないレディには実力行使するしかないんでね」
全力で体をじたばたさせるけれど、一切びくともしない。
そしてリオンは無言で歩き続け、一軒の建物までやってきた。
「……ここ、は」
「領内の教会だよ。とはいえ、教会は中立組織。領外の人間だって入れるんだ」
重い扉をリオンは片手で開いた。
「シスターアクーラ。いるか。私だ」
誰もいない聖堂にリオンの声が響く。
「はいはい、いるよ。どうしたんだいリオン」
奥から現れたのは白髪がとても綺麗な六十代くらいの素敵なシスターだった。
屋敷の坂を下りきったところで誰かとぶつかった。転びそうになったところを受け止められる。
「リラ!?」
顔をあげるとリオンが立っていた。
かなり慌てていたのか、いつもきっちりとまとめられている髪が乱れていた。
「リオン……リオン! 大変なの、今屋敷に……!」
「……っ、遅かったか。すまない。リラ、君を一人にしたのは私のミスだった」
「ねぇ、どういうこと! あの人たちがクランを継ぐって!」
わたしはリオンにつかみかかった。その衝撃で彼が持っていた傘が地面に落ちる。
「フィスはお父様が邪魔だったって! みんな仲良く領地で生活してきたのに! わたしたちが邪魔だって……」
「リラ、落ち着いて。このままでは雨に濡れて風邪を引いてしまう。一度場所を移して、ゆっくり二人で話そう」
わたしを落ち着かせようと伸びてきたリオンの手を思い切りわたしは叩き払った。
「いやっ! いやよっ! みんな、わたしを裏切る! だから、わたしは一人になろうって思ったのに!」
目の前が涙で霞む。
怒りで頭の中が真っ赤に染まっていた。
感情任せに叫ぶと、今世と前世の記憶が混ざりあう。
由良はオンラインゲームで信じていたはずの仲間に裏切られた。それ以来ずっとソロプレイを貫いていた。
また誰かを信じて、裏切られて悲しい思いをしないように。孤高で強くあろうと決めた。
リラはそのことを忘れかけていた。
優しいお父様と頼りになるリオンがいたからだ。みんな優しくて、お嬢様とちやほやしてくれたから浮かれてしまった。
でも駄目だった。人を信用してはいけなかったんだ。
わたしはまた、一人になる。たとえ転生したとしても、人の生き方というのはそう簡単には変わらないらしい。
「リオンもわたしを……裏切るの?」
「――リラ」
縋るように呟かれた言葉。
するとリオンは悲しそうに微笑んでわたしを抱きしめた。
「私はリラを裏切らない。ノエルにリラを託された。だから絶対に私は貴女を裏切ったりはしない」
その優しくて力強い腕にそのまま縋りたかった。
でも、脳裏に過る先程の記憶。わたしは彼に裏切られたら今度こそ壊れてしまう。
――信じてはいけない。
「信じない! 信じられないよっ! わたしは体が弱いし、子供だし……足手まといだもの! きっとリオンだってわたしを捨てていなくなるのよっ!」
両手でリオンの胸を叩く。完全にだだをこねる子供だ。
あ、いまわたし最低なこといってるなと頭の中では理解していたがリラの感情は止まらなかった。
「…………」
無言のリオンが気になって恐る恐る顔をあげると、彼は真顔でわたしを見下ろしていた。
あ、怒ってる。
その恐ろしさに言葉が詰まる。顔をさっと青ざめさせると、リオンは無言のままわたしを抱き上げた。
「いやっ! 離して! どうするの!」
「離さない。大人の話を聞かないレディには実力行使するしかないんでね」
全力で体をじたばたさせるけれど、一切びくともしない。
そしてリオンは無言で歩き続け、一軒の建物までやってきた。
「……ここ、は」
「領内の教会だよ。とはいえ、教会は中立組織。領外の人間だって入れるんだ」
重い扉をリオンは片手で開いた。
「シスターアクーラ。いるか。私だ」
誰もいない聖堂にリオンの声が響く。
「はいはい、いるよ。どうしたんだいリオン」
奥から現れたのは白髪がとても綺麗な六十代くらいの素敵なシスターだった。
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